2.1 GA4 アカウントとプロパティの作成

ゼロから GA4 を開設する手順を一つずつ確認します。
入門書籍換算 約 10 ページ

この章で学ぶこと

  • GA4 を開設する前に準備しておくもの
  • アカウントを作成する手順と、データ共有設定の考え方
  • プロパティを作成する手順と、業種・規模・ビジネス目標の選び方
  • タイムゾーンと通貨を設定するときの注意点
  • 作成が終わったあとに確認しておくこと

作成前の準備

GA4 の開設そのものは 10 分ほどで終わります。ただし、あとから変更しにくい項目もあるので、作業を始める前に次のものを用意しておきましょう。

準備するもの内容注意点
Google アカウントGA4 にログインするアカウント個人の Gmail ではなく、会社で管理しているアカウントが望ましい
アカウント名会社名や組織名あとから変更できる
プロパティ名サイト名やサービス名あとから変更できる
サイトの URL計測するサイトのドメインhttps:// か http:// かも確認する
タイムゾーン・通貨レポートの日付の区切りと金額の単位タイムゾーンの変更は過去データに反映されない
第 1 部で決めた目的サイトの目的と主な成果ビジネス目標の選択に使う

どの Google アカウントで作るか

GA4 を作成した Google アカウントには、そのアカウントの「管理者」の権限が付与されます。担当者の個人アカウントで作成すると、その人が退職したときにアクセスできなくなるおそれがあります。

おすすめは、次のどちらかです。

  • 会社の Google Workspace で管理しているアカウント(例:analytics@example.co.jp)
  • 担当者の会社アカウントで作成し、すぐに 2 人目以上の管理者を追加する

注意 管理者が 1 人しかいない状態は避けましょう。その人のアカウントが使えなくなると、権限の追加も削除もできなくなってしまいます。権限の詳しい考え方は第 5 章で扱います。

アカウントの作成

Google アナリティクスのサイト(analytics.google.com)に、準備した Google アカウントでログインします。初めて使う場合は「測定を開始」ボタンが表示されます。すでにほかのアカウントを持っている場合は、管理画面の「作成」→「アカウント」から始めます。

手順

  1. アカウント名を入力する:会社名や組織名を入れます(例:「株式会社サンプル」)
  2. アカウントのデータ共有設定を選ぶ:後述のチェックボックスを確認します
  3. 「次へ」を押す:続けてプロパティの作成に進みます

データ共有設定

アカウントの作成時には、Google とデータを共有するかどうかを選ぶチェックボックスがいくつか表示されます。

項目内容
Google のプロダクトとサービスGoogle のほかのサービスの改善に使われる。広告連携などの機能に必要になることがある
モデリングのためのデータ提供とビジネス分析情報匿名化したデータが、ベンチマークなどの業界全体の統計に使われる
テクニカル サポートGoogle のサポート担当者が、問い合わせ対応のためにデータにアクセスできる
アカウント スペシャリストへの提供Google の担当者が、運用の提案をするためにデータを利用できる

どれを選ぶかは、自社のデータの取り扱い方針によります。迷ったら既定のまま進め、あとで社内のルールに合わせて見直してもかまいません。データ共有設定は、管理画面の「アカウントの設定」→「アカウントの詳細」からいつでも変更できます。

プロパティの作成と業種・規模の設定

アカウントの作成に続いて、プロパティを作成します。

手順

  1. プロパティ名を入力する:サイト名やサービス名を入れます(例:「サンプル公式サイト」)
  2. レポートのタイムゾーンを選ぶ:日本向けなら「日本」
  3. 通貨を選ぶ:日本円なら「日本円(JPY ¥)」
  4. 「次へ」を押してビジネスの詳細を入力する:業種と規模を選びます
  5. ビジネス目標を選ぶ:サイトの目的に近いものを選びます
  6. 利用規約に同意する:国を選び、利用規約とデータ処理規約に同意します

業種と規模

業種(業種カテゴリ)とビジネスの規模(従業員数)は、Google がおすすめのレポートや機能を提案するときの参考情報として使われます。数値の集計方法には影響しないので、近いものを選べば問題ありません。

ビジネス目標

ビジネス目標では、次のような選択肢から、サイトの目的に近いものを選びます(画面の表記は変わることがあります)。

ビジネス目標向いているサイト
見込み顧客の発掘BtoB サイト、問い合わせ・資料請求が成果のサイト
オンライン販売の促進EC サイト
ブランド認知度の向上ブランドサイト、オウンドメディア
ユーザー行動の調査特定の目的に絞らず、行動を幅広く見たいサイト
基準レポートの取得すべての標準レポートを表示したい場合

選んだビジネス目標によって、左メニューのレポートの並びが変わります。複数選ぶこともできます。

ポイント ビジネス目標で変わるのは、主に レポートのメニュー構成 です。計測されるデータは変わりません。本講座の説明は、すべての標準レポートが表示される状態を前提にしているので、迷ったら「基準レポートの取得」を選ぶか、あとでライブラリ(第 5 部)でメニューを整えましょう。

タイムゾーンと通貨の注意点

プロパティの設定の中で、最も慎重に決めたいのがタイムゾーンと通貨です。

タイムゾーン

タイムゾーンは、「1 日」をどこで区切るか を決める設定です。たとえばタイムゾーンを「米国 太平洋時間」にしたままにすると、日本時間の 17 時(夏時間は 16 時)で日付が切り替わってしまい、日別の数値が実感とずれてしまいます。

  • 日本向けのサイトなら「日本(GMT+09:00)」を選ぶ
  • 海外向けのサイトでも、レポートを見る人が日本にいるなら日本時間にすることが多い
  • タイムゾーンを変更すると、変更した時点以降のデータ に反映される。過去のデータは変わらないため、変更した日の前後でグラフが不自然に見えることがある

通貨

通貨は、売上などの金額をレポートで表示するときの単位です。イベントで送られた金額は、ここで指定した通貨に換算されて表示されます。

  • 日本円で売上を管理しているなら「日本円」を選ぶ
  • 海外向けに複数の通貨で販売している場合も、表示通貨は 1 つ。各イベントで currency パラメータ(例:USD)を送れば、GA4 が表示通貨に換算する

注意 e コマース計測で currency パラメータを送らないと、金額が正しく集計されないことがあります。通貨の設定と、イベントのパラメータの両方をそろえておきましょう(第 7 部)。

作成後に確認すること

利用規約に同意すると、プロパティが作成され、データストリームの作成画面に進みます。データストリームの作成とタグの設置は次の章で扱いますが、その前に、次の点を確認しておきましょう。

確認リスト

  • アカウント名とプロパティ名が正しい
  • タイムゾーンが「日本」になっている
  • 通貨が「日本円」になっている
  • 2 人目の管理者を追加した(第 5 章)
  • プロパティ ID(数字のみの ID)を控えた

プロパティ ID は、管理画面の「プロパティの設定」→「プロパティの詳細」の右上に表示される数字の ID です。測定 ID(G- で始まる ID)とは別のもので、BigQuery や Looker Studio、API などと連携するときに使います。

ID形式どこで使うか
プロパティ ID数字(例:412345678)API、BigQuery、Looker Studio、サポートへの問い合わせ
測定 IDG- + 英数字(例:G-ABC123XYZ9)ウェブサイトへのタグの設置
ストリーム ID数字データストリームの識別(あまり使わない)

テスト用プロパティも作っておく

本番サイトとは別に、開発環境やステージング環境があるなら、テスト用のプロパティ も作っておくと安心です。新しいイベントを試すときにテスト用のプロパティで確認すれば、本番のデータを汚さずに済みます。

よくある質問

Q. 個人の Google アカウントで、会社の GA4 アカウントを作ってしまいました。

A. 作った GA4 アカウントに、会社の管理用の Google アカウント(共有の管理アカウントや、責任者のアカウント)を 管理者 として追加しましょう。そのうえで、個人のアカウントの権限を、必要に応じて下げるか削除します。GA4 のアカウントやプロパティは、作った人の Google アカウントに属するのではなく、権限を持つユーザーで管理されるため、管理者を移せば問題ありません(第 2 部の第 5 章)。

Q. 1 つのアカウントに、プロパティをいくつ作ればよいですか。

A. 基本は、1 つのサービス(ブランド)に 1 つのプロパティ です。同じサービスのウェブとアプリは、同じプロパティにまとめます。まったく別の事業のサイトは、別のプロパティにします。テスト用のプロパティを別に作っておくと、本番のデータを汚さずに設定を試せて便利です。

Q. タイムゾーンを間違えて設定してしまいました。

A. タイムゾーンは、あとから変更できます。ただし、変更すると、変更した日以降のデータ に新しいタイムゾーンが使われ、変更した日の前後で、日別のデータにずれや欠けが生じることがあります。変更する場合は、なるべく早い段階で行い、変更した日を記録しておきましょう。

Q. 業種のカテゴリやビジネスの規模の設定は、何に使われますか。

A. 業種のカテゴリなどの情報は、GA4 の初期の設定や、表示されるレポートの提案などに使われることがあります。分析の数値そのものに大きく影響するものではないので、実態に近いものを選んでおけば十分です。

実践ワーク

GA4 のアカウントとプロパティを作る前に(または、すでにある場合は確認のために)、次の表を埋めてみましょう。

項目内容
アカウント名会社名
アカウントの管理者(2 人以上)
プロパティ名サービス名
計測するサイト・アプリ
タイムゾーン日本(GMT+09:00)
通貨日本円(JPY)
テスト用のプロパティ作る / 作らない
権限を付与する人(社内・社外)

この表は、第 2 部の第 5 章(ユーザー権限)や、第 1 部の第 6 章(計測計画書)と合わせて、社内の「GA4 の管理台帳」として保管しておくと、担当者が変わったときの引き継ぎに役立ちます。

まとめ

  • GA4 は会社で管理している Google アカウントで作成し、管理者は 2 人以上にする
  • アカウント作成時のデータ共有設定は、自社の方針に合わせて選び、あとから変更もできる
  • プロパティの業種・規模・ビジネス目標は、主にレポートのメニュー構成に影響する
  • タイムゾーンは日付の区切りを決める重要な設定で、変更は過去データに反映されない
  • プロパティ ID と測定 ID は別物。用途を区別して控えておく

次の章では、データストリームを作成し、ウェブサイトにタグを設置してデータの収集を始めます。