2.3 拡張計測機能の設定

コードを書かずに計測できるイベントの仕組みと設定を学びます。
入門書籍換算 約 10 ページ

この章で学ぶこと

  • 拡張計測機能で自動的に取れるイベントの一覧
  • スクロール計測の仕様と限界
  • 離脱クリックとファイル ダウンロードの計測
  • サイト内検索の計測と、検索パラメータの設定
  • 動画エンゲージメントとフォーム操作の計測

拡張計測機能で取れるイベント一覧

拡張計測機能 は、Google タグを設置するだけで、よくあるユーザー行動を自動的にイベントとして計測してくれる機能です。UA では、スクロールやファイルのダウンロードを計測するには個別の設定やコードが必要でしたが、GA4 ではスイッチをオンにするだけで計測できます。

拡張計測機能の設定は、管理画面の「データストリーム」→ 対象のウェブ ストリーム →「拡張計測機能」の歯車アイコンから行います。

項目イベント名計測のタイミング主なパラメータ
ページビューpage_viewページが読み込まれたとき、またはブラウザの履歴が変わったときpage_location、page_referrer
スクロール数scrollページの縦方向の 90% まで初めてスクロールしたときpercent_scrolled
離脱クリックclick現在のドメインから別のドメインへのリンクをクリックしたときlink_url、link_domain、outbound
サイト内検索view_search_results検索クエリ パラメータを含む URL が表示されたときsearch_term
動画エンゲージメントvideo_start、video_progress、video_complete埋め込まれた YouTube 動画の再生開始・10/25/50/75% 到達・完了時video_title、video_url、video_percent
ファイルのダウンロードfile_download特定の拡張子のファイルへのリンクをクリックしたときfile_name、file_extension、link_url
フォームの操作form_start、form_submitフォームを初めて操作したとき、送信したときform_id、form_name、form_destination

ポイント 拡張計測機能で計測したイベントは、標準の「イベント」レポートにそのまま表示されます。ただし、パラメータの一部(link_url や file_name など)をレポートの分析軸として使うには、カスタム ディメンションの登録が必要なものもあります(第 3 部)。

基本はすべてオンで始める

拡張計測機能は、特別な理由がなければ すべてオン で始めるのがおすすめです。データは取っておかないと後から見られないため、まずは集めておき、不要なものがあれば後でオフにするほうが安全です。

ただし、次のような場合は個別にオフにすることを検討します。

  • GTM で同じ行動を独自に計測していて、二重計測になる
  • フォームの自動計測が、意図しないフォーム(検索窓など)にも反応して数値がわかりにくい
  • SPA で、ページビューを手動で送っている

スクロール計測の仕様

拡張計測機能のスクロール計測は、ページの 90% までスクロールしたとき に 1 回だけ scroll イベントを送ります。

この仕様にはいくつかの注意点があります。

  • 90% 以外の到達度はわからない:25%、50%、75% のように細かく見たい場合は、GTM のスクロール深度トリガーで計測する必要がある(第 9 部)
  • 短いページではすぐに発生する:画面に収まるほど短いページでは、スクロールしなくても 90% 到達とみなされることがある
  • 1 ページにつき 1 回:同じページで何度スクロールしても、イベントは 1 回だけ

注意 「scroll イベント数 ÷ page_view イベント数」で「最後まで読まれた割合」を計算することがあります。目安としては使えますが、ページの長さによって意味が変わるので、同じくらいの長さのページどうしで比べるようにしましょう。

離脱クリックとファイル ダウンロード

離脱クリック

離脱クリック(click イベント)は、ユーザーが自分のサイトから 別のドメイン へのリンクをクリックしたときに計測されます。outbound パラメータが true になっているのが目印です。

次のような分析に役立ちます。

  • 外部の EC モール(Amazon や楽天など)への送客数を知る
  • 提携先サイトへの送客数を知る
  • 外部の予約システムへの遷移を知る

注意 クロスドメイン測定(第 4 章)で指定したドメインへのリンクは、離脱クリックとしては計測されません。自社の別ドメインのサイトへの移動は「離脱」ではないと GA4 が判断するためです。

ファイルのダウンロード

ファイルのダウンロード(file_download イベント)は、次のような拡張子のファイルへのリンクがクリックされたときに計測されます。

pdf, xlsx, docx, txt, rtf, csv, exe, key, pps, ppt, pptx, 7z, pkg, rar, gz, zip,
avi, mov, mp4, mpe, mpeg, wmv, mid, midi, mp3, wav, wma

資料請求の代わりに PDF のカタログを公開しているサイトでは、このイベントを キーイベント に設定することもよくあります。

サイト内検索の設定

サイト内検索(view_search_results イベント)は、ユーザーがサイト内の検索機能を使ったことを計測します。

GA4 は、ページの URL に特定のクエリ パラメータが含まれているかどうかで、検索結果ページかどうかを判断します。既定では、次のパラメータが対象です。

q, s, search, query, keyword

たとえば、次のような URL が表示されると、search_term パラメータに「GA4 設定」が入った view_search_results イベントが送られます。

https://www.example.co.jp/search?q=GA4+設定

自社サイトのパラメータを追加する

自社サイトの検索結果ページの URL が、既定とは違うパラメータを使っている場合は、設定を追加する必要があります。

  1. 自社サイトで何か検索し、検索結果ページの URL を確認する(例:/search?word=GA4)
  2. 拡張計測機能の設定で「サイト内検索」の「詳細設定を表示」を開く
  3. 「検索キーワードのクエリ パラメータ」に word を追加する(カンマ区切りで最大 10 個)

ポイント サイト内検索のキーワードは、ユーザーが「サイトで探しているのに見つけにくいもの」を知るための宝の山です。よく検索されるのにページがないキーワードは、新しいコンテンツのヒントになります。

URL にキーワードが入らない検索

検索結果ページの URL にキーワードが含まれない仕組み(POST で送信する、JavaScript だけで結果を表示するなど)の場合は、自動計測できません。その場合は、GTM などで view_search_results イベントを手動で送る必要があります。

動画エンゲージメントとフォーム操作

動画エンゲージメント

動画エンゲージメント は、ページに埋め込まれた YouTube 動画 の再生状況を計測します。

イベント名タイミング
video_start再生を開始したとき
video_progress再生時間の 10%、25%、50%、75% を過ぎたとき
video_complete最後まで再生したとき

自動計測するには、YouTube の埋め込みコードの URL に enablejsapi=1 が付いている必要があります。また、ページの読み込み後に JavaScript で動画を差し込んでいる場合などは、計測されないこともあります。YouTube 以外の動画プレーヤー(Vimeo や自社のプレーヤーなど)は対象外なので、別途計測を実装します。

フォームの操作

フォームの操作 は、フォームの入力開始(form_start)と送信(form_submit)を自動で計測します。

便利な機能ですが、次の点に注意が必要です。

  • 送信が完了したとは限らない:form_submit は「送信ボタンが押された」ことを示すだけで、入力エラーで送信できなかった場合も計測されることがある
  • フォームの作り方によっては計測されない:JavaScript で独自に送信しているフォームでは、送信が検知されないことがある
  • 意図しないフォームも対象になる:サイト内検索の入力欄やメルマガ登録欄などにも反応する

そのため、問い合わせや資料請求などの 成果の計測には、拡張計測機能の form_submit を使わず、送信完了ページ(サンクスページ)の表示や、送信完了時に独自のイベントを送る方法をおすすめします(第 7 部)。

まとめ

  • 拡張計測機能は、スイッチをオンにするだけでスクロール・離脱クリック・サイト内検索・動画・ダウンロード・フォームの操作を計測できる
  • 特別な理由がなければ、まずはすべてオンで始める
  • スクロールは 90% 到達のみ、動画は YouTube のみなど、仕様の限界を理解して使う
  • サイト内検索は、自社サイトの検索パラメータを確認して設定する
  • 成果となるフォーム送信は、拡張計測機能ではなく確実な方法で計測する

次の章では、データを正しく集めるために必ず行っておきたい管理画面の初期設定を確認します。