4.8 ユーザー属性とテクノロジーのディメンション

地域・年齢・デバイスなどの属性データを活用します。
基礎書籍換算 約 10 ページ

この章で学ぶこと

  • 地域と言語のディメンションの仕組みと使い方
  • 年齢・性別・インタレストのデータの取得条件
  • デバイス カテゴリで見るスマホとパソコンの違い
  • ブラウザと OS の活用場面
  • 属性データにしきい値がかかるときの対処

地域と言語

GA4 は、イベントが送られたときの IP アドレス をもとに、ユーザーのおおよその地域を判定しています(IP アドレス自体は保存されません)。

ディメンション内容例
大陸 / 亜大陸大陸や地域Asia / Eastern Asia
国国Japan
地域都道府県Tokyo、Osaka
市区町村市区町村Shinjuku City、Yokohama
言語ブラウザの言語設定Japanese、English

地域データの使い方

  • 店舗ビジネス:店舗のある地域からのアクセスがどれくらいあるかを確認する
  • 地域限定のキャンペーン:キャンペーン対象の地域で、アクセスやキーイベントが増えたかを確認する
  • 海外からのアクセス:想定外の国からの急なアクセスの増加は、ボットやスパムの可能性がある
  • 多言語サイト:言語の設定ごとに、どの言語版のページを見ているかを確認する

地域データの精度

IP アドレスからの地域の判定は、完全に正確ではありません。

  • 会社のネットワーク:本社のある地域の IP アドレスでまとめてインターネットに接続している場合、全国の支社からのアクセスが本社の地域として判定されることがある
  • モバイル回線:携帯電話会社の設備のある地域として判定されることがある
  • VPN やプロキシ:接続先のサーバーの国や地域として判定される

国単位の判定はかなり正確ですが、市区町村単位になると精度が下がります。市区町村のデータは「おおよその傾向」として見るようにしましょう。

年齢・性別・インタレスト

年齢、性別、インタレスト(興味・関心)のデータは、Google シグナルを有効にしている場合などに、Google が持っている情報(Google アカウントの登録情報や、利用状況から推定した情報)をもとに表示されます(第 2 部・第 3 部)。

ディメンション値の例
年齢18-24、25-34、35-44、45-54、55-64、65+
性別male、female
インタレスト カテゴリ旅行好き、テクノロジー好き、料理好き、ビジネス プロフェッショナル など

属性データの注意点

  • すべてのユーザーの値があるわけではない:Google アカウントにログインし、広告のカスタマイズを有効にしているユーザーの一部のみ。属性がわからないユーザーは「unknown」や表示対象外になる
  • 推定を含む:Google の推定に基づくデータも含まれるため、実際の属性と異なることがある
  • しきい値がかかりやすい:個人の推測を防ぐため、ユーザー数が少ないと表示されない

属性データは、「ターゲットとしている層に届いているか」を大まかに確認する用途に向いています。たとえば、30〜40 代の女性向けの商品のサイトで、実際には 50 代以上の男性が多く訪れているといった大きなずれがないかを確認する、という使い方です。

注意 属性データを細かく分析して、「35〜44 歳の女性のキーイベント率は 2.3%」のような精密な数値を出すことには向いていません。属性がわかるユーザーが全体の一部に限られ、推定値も含まれるためです。大まかな傾向として扱いましょう。

デバイス カテゴリ

デバイス カテゴリ は、ユーザーが使っている端末の種類を表すディメンションです。

値内容
mobileスマートフォン
desktopパソコン
tabletタブレット
smart tvテレビ(まれ)

デバイス カテゴリは、アクセス解析で最もよく使われるディメンションの一つです。多くのサイトでは、スマホからのアクセスが過半数を占めるようになっています。

デバイス別の比較でわかること

比較わかること
デバイス別のセッション数ユーザーが主にどの端末で見ているか
デバイス別のエンゲージメント率スマホで見にくい・使いにくいページがないか
デバイス別のキーイベント率スマホでのフォームの入力や購入の手続きに問題がないか
デバイス別のランディング ページスマホとパソコンで、入口となるページが違うか

たとえば、次のような結果が得られたとします。

デバイス カテゴリセッション数エンゲージメント率キーイベント率
mobile12,00055.0%0.8%
desktop5,00068.0%2.4%

(数値は例)

スマホのセッションはパソコンの 2 倍以上あるのに、キーイベント率は 3 分の 1 しかありません。BtoB サイトでは、「スマホで情報収集し、問い合わせはパソコンで行う」という行動がよく見られるため、ある程度の差は自然です。しかし、差が大きすぎる場合は、スマホのフォームの使いにくさが原因かもしれません。実際にスマホで問い合わせフォームを操作してみるなど、定性的な確認もあわせて行いましょう。

ポイント スマホとパソコンで行動を分けて見たいときは、レポートの「比較を追加」で「デバイス カテゴリ = mobile」と「デバイス カテゴリ = desktop」の比較を作ると、すべての指標を並べて確認できます(第 5 部)。

ブラウザと OS

テクノロジー に関するディメンションには、次のようなものがあります。

ディメンション内容例
ブラウザ使っているブラウザChrome、Safari、Edge、Firefox、Samsung Internet
オペレーティング システム端末の OSWindows、iOS、Android、Macintosh
OS のバージョンOS のバージョンiOS 18.1
画面の解像度画面の大きさ(ピクセル)390x844、1920x1080
デバイスのブランド / モデル端末のメーカーや機種Apple / iPhone、Google / Pixel
プラットフォームウェブかアプリかweb、iOS、Android

テクノロジーのデータの使い方

テクノロジーのディメンションは、主に サイトの不具合の発見 と 対応範囲の判断 に使います。

  • 特定のブラウザだけキーイベント率が極端に低い:そのブラウザで表示やフォームに不具合がある可能性がある
  • 古い OS のバージョンのユーザーがどれくらいいるか:古い環境への対応を続けるかどうかを判断する材料になる
  • 画面の解像度の分布:デザインのときに、どの画面サイズを優先して確認するかを決める
例:ブラウザ別のキーイベント率
Chrome   2.1%
Safari   1.9%
Edge     2.3%
Firefox  0.2%  ← 極端に低い。Firefox でフォームが動いていない可能性

ポイント ブラウザ別にキーイベント率を比べて、極端に低いものがあったら、そのブラウザで実際にサイトを操作して確認しましょう。開発者が普段使わないブラウザで、思わぬ不具合が見つかることがあります。

属性データのしきい値

ユーザー属性のディメンション(年齢・性別・インタレスト)を使うと、しきい値 によってデータが表示されないことがよくあります(第 3 部)。

しきい値がかかったときの対処

対処効果
期間を長くする1 行あたりのユーザー数が増え、しきい値を超えやすくなる
組み合わせるディメンションを減らす「年齢 × 性別 × 地域」を「年齢」だけにするなど
指標を変えるユーザー数ではなくセッション数やイベント数にすると、表示されることがある
レポート用識別子を「デバイスベース」にするユーザー属性以外のレポートでは、しきい値がかかりにくくなる(ただし属性データ自体は Google シグナル由来)

注意 ユーザー属性のデータは、Google のプライバシー保護の仕組みの中で提供されるデータです。しきい値の制限を回避して、個人を特定しようとするような分析をしてはいけません。

よくある質問

Q. 年齢や性別のデータが表示されません。

A. 年齢・性別・インタレストのデータは、Google シグナル が有効で、かつ Google が推定できたユーザーについてのみ表示されます。Google シグナルが無効の場合や、ユーザー数が少なく しきい値 が適用された場合は、表示されません。また、表示されたデータも、すべてのユーザーではなく、推定できた一部のユーザーの傾向である点に注意しましょう。

Q. 地域のデータで、実際とは違う都市が多く表示されます。

A. 地域は、IP アドレスなどから推定しています。スマホのモバイル回線や、会社の VPN、クラウドのサービスを経由したアクセスでは、通信事業者の拠点のある都市(東京や大阪など)として判定されることがあります。市区町村の単位のデータは、目安として使いましょう。

Q. ブラウザに「Safari (in-app)」のような値があります。

A. SNS などのアプリの中で開かれたページ(アプリ内ブラウザ)であることを示す値です。アプリ内ブラウザでは、Cookie やリファラーの扱いが通常のブラウザと違うため、流入元やユーザーの計測に影響することがあります(第 8 部)。

Q. デバイス カテゴリの「tablet」は、どのくらい重視すればよいですか。

A. サイトによっては、タブレットの割合が小さいこともあります。割合が小さいうちは、スマホとパソコンの 2 つを中心に見て、タブレットは表示の崩れがないかを確認する程度で十分なことが多いです。割合が大きいサイト(店舗の端末、教育など)では、個別に分析しましょう。

実践ワーク

自社のユーザーの「プロフィール」を、次の表にまとめてみましょう。

項目上位の値と割合気づいたこと
国・地域(都道府県)
言語
デバイス カテゴリ
OS
ブラウザ
画面の解像度
年齢層(表示される場合)

まとめたら、サイトの想定しているターゲットと比べてみましょう。たとえば、「パソコンで見る人が多いと思っていたが、実際は 7 割がスマホだった」「想定していない地域からのアクセスが多い」など、思い込みとの違いが見つかれば、サイトのデザインや集客の改善のきっかけになります。

まとめ

  • 地域は IP アドレスからの推定で、国単位はかなり正確だが、市区町村単位は傾向として見る
  • 年齢・性別・インタレストは一部のユーザーの推定を含むデータで、大まかな傾向の確認に使う
  • デバイス カテゴリは最もよく使うディメンションの一つで、スマホでの使いにくさの発見に役立つ
  • ブラウザや OS のデータは、特定の環境での不具合の発見や、対応範囲の判断に使う
  • 属性データにしきい値がかかったら、期間を長くする・ディメンションを減らすなどで対処する

次の章は第 4 部の締めくくりとして、数値を読み違えないための、統計の基礎的な考え方を学びます。