7.2 フォームと問い合わせの計測
この章で学ぶこと
- サンクスページの表示で問い合わせを計測する方法
- フォーム送信のイベントで計測する方法
- スマホの電話タップを計測する方法
- 資料ダウンロードを計測する方法
- 計測したリードと、営業での「リードの質」をつなげる考え方
サンクスページ方式
問い合わせや資料請求のフォームを計測する最も確実な方法は、送信が完了したときに表示されるページ(サンクスページ、完了ページ)の表示を計測する方法です。
/contact/ 入力画面
/contact/confirm/ 確認画面
/contact/thanks/ 完了画面 ← ここが表示されたら「問い合わせ 1 件」
設定の方法
サンクスページ方式は、次のどちらかの方法で設定します。
| 方法 | 手順 | 特徴 |
|---|---|---|
| 管理画面で「イベントを作成」 | page_view かつ page_location が /contact/thanks/ を含む、という条件で新しいイベントを作る(前の章) | コードや GTM の変更が不要 |
| GTM でイベントを送る | ページビューのトリガー(ページパスが /contact/thanks/)で、generate_lead などのイベントを送る | パラメータを自由に付けられる |
GTM で送る場合の設定例は、次のとおりです。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| タグの種類 | Google アナリティクス:GA4 イベント |
| イベント名 | generate_lead |
| イベント パラメータ | form_name = contact、value = 10000、currency = JPY |
| トリガー | ページビュー(Page Path が /contact/thanks/ と等しい) |
サンクスページ方式の注意点
- URL が変わらないフォーム:入力から完了まで同じ URL のまま画面が切り替わるフォームでは、この方式は使えない(次のイベント方式を使う)
- 完了ページへの直接アクセス:完了ページの URL をブックマークしたり、検索から直接来たりすると、送信していないのにキーイベントが数えられる。完了ページを検索エンジンに登録しない(
noindex)設定をしておく - 再読み込み:完了ページを再読み込みすると、重複して数えられることがある。キーイベントのカウント方法を「セッションごとに 1 回」にする
フォーム送信イベント方式
URL が変わらないフォームや、外部のフォーム サービスを使っている場合は、送信が完了したタイミングでイベントを送る 方法を使います。
方法 1:フォームの送信完了時に dataLayer を送る
最も確実なのは、フォームの送信が サーバー側で正常に完了したあと に、サイトのプログラムから GTM にイベントを伝える方法です。
// フォームの送信が成功したときに実行される処理の中で
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
window.dataLayer.push({
event: 'form_complete',
form_name: 'contact',
});
GTM では、カスタム イベントのトリガー(イベント名 = form_complete)で GA4 のイベントを送ります(第 9 部)。この方法は、開発者にサイトのプログラムを変更してもらう必要がありますが、入力エラーで送信できなかった場合に誤って数えることがありません。
方法 2:GTM のフォーム送信トリガー
GTM には、フォームの送信を検知する フォーム送信トリガー があります。サイトのプログラムを変更せずに設定できますが、次のような注意点があります。
- 入力エラーで送信されなかった場合も、送信として検知されることがある(「検証をチェック」の設定で軽減できる場合がある)
- JavaScript で独自に送信しているフォームでは、検知されないことがある
方法 3:要素の表示トリガー
送信が完了すると「送信が完了しました」というメッセージが表示されるフォームでは、GTM の 要素の表示トリガー で、そのメッセージが表示されたときにイベントを送る方法もあります(第 9 部)。
| 方法 | 確実さ | 開発者の作業 |
|---|---|---|
| サンクスページ方式 | 高い | 不要(完了ページがある場合) |
| dataLayer 方式 | 最も高い | 必要 |
| GTM のフォーム送信トリガー | 中程度 | 不要 |
| 要素の表示トリガー | 高い | 不要(完了メッセージがある場合) |
注意 拡張計測機能の
form_submitは、送信ボタンが押されたことを示すだけで、送信の完了を保証するものではありません(第 2 部)。成果の計測には、上の表のいずれかの方法を使いましょう。
外部のフォーム サービスの場合
フォームを外部のサービス(フォーム作成ツールや、MA ツールのフォームなど)で作っている場合は、サービスによって計測の方法が異なります。
- 完了ページを自社サイトに設定できる:サンクスページ方式で計測する
- サービスが GA4 や GTM との連携機能を持っている:その機能を使う
- iframe(埋め込み)で表示している:iframe の中は自社サイトのタグでは計測できないことが多い。サービスの連携機能や、完了時のリダイレクト先の設定を確認する
電話タップの計測
スマホでは、電話番号のリンク(tel: で始まるリンク)をタップすると、すぐに電話をかけられます。店舗ビジネスや BtoB で、電話の問い合わせが重要な場合は、電話番号のタップ を計測しましょう。
GTM での設定
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| タグの種類 | Google アナリティクス:GA4 イベント |
| イベント名 | phone_tap(または generate_lead に method = phone を付ける) |
| イベント パラメータ | link_url = {{Click URL}} |
| トリガー | クリック - リンクのみ(Click URL が tel: で始まる) |
<!-- 計測対象のリンクの例 -->
<a href="tel:0312345678">03-1234-5678</a>
注意 電話番号のタップは、「電話をかけようとした」ことを示すだけで、実際に通話したかどうかはわかりません。間違ってタップしてすぐに切った場合も数えられます。実際の通話の件数や内容を把握したい場合は、通話を計測する専用のサービス(コール トラッキング)を検討しましょう。
資料ダウンロードの計測
BtoB サイトでは、製品のカタログやホワイトペーパーなどの 資料のダウンロード が重要な成果になることがあります。
ダウンロードの形式による計測の違い
| ダウンロードの形式 | 計測の方法 |
|---|---|
| PDF などのファイルへの直接のリンク | 拡張計測機能の file_download で自動計測される(第 2 部) |
| フォームに入力してからダウンロード | フォームの送信完了を計測する(サンクスページ方式など) |
| ダウンロード用のメールが送られる | フォームの送信完了を計測する(実際のダウンロードは GA4 では計測できない) |
file_download をキーイベントにする場合
フォームなしで自由にダウンロードできる資料の場合、file_download をそのままキーイベントにすると、すべてのファイル(会社案内、採用資料など)のダウンロードがキーイベントとして数えられてしまいます。
特定の資料だけをキーイベントにしたい場合は、管理画面の「イベントを作成」で、次のように新しいイベントを作ります。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| カスタム イベント名 | whitepaper_download |
| 条件 1 | event_name が file_download と等しい |
| 条件 2 | file_name が whitepaper を含む |
リードの質との接続
BtoB サイトでは、問い合わせや資料請求の 数 だけでなく、質 も重要です。100 件の問い合わせがあっても、そのうち商談につながったのが 1 件だけなら、成果としては不十分です。
GA4 だけではリードの質はわからない
GA4 で計測できるのは、「問い合わせが送信された」ことまでです。その問い合わせが、営業の商談や受注につながったかどうかは、GA4 にはわかりません。
リードの質を評価する方法
| 方法 | 内容 | 難易度 |
|---|---|---|
| フォームの種類で分ける | form_name で「見積もり依頼」「資料請求」「一般の問い合わせ」を分け、種類ごとの商談化率を営業と共有する | 低 |
value に想定価値を入れる | フォームの種類ごとに、過去の商談化率から想定される価値を value に入れる | 低 |
| 流入元の情報を CRM に渡す | フォームの隠し項目に、UTM の値などを入れて、CRM に保存する | 中 |
| オフラインのデータを取り込む | 商談や受注のデータを、Measurement Protocol やデータのインポートで GA4 に送る(第 9 部・第 10 部) | 高 |
| BigQuery で結合する | GA4 のデータと CRM のデータを BigQuery で結合して分析する(第 10 部) | 高 |
value に想定価値を入れる例
過去 1 年のデータ(例)
見積もり依頼:商談化率 40%、平均受注額 200 万円、受注率 25%
→ 1 件あたりの想定価値 = 200 万円 × 40% × 25% = 20 万円
資料請求:商談化率 5%、平均受注額 200 万円、受注率 25%
→ 1 件あたりの想定価値 = 200 万円 × 5% × 25% = 2.5 万円
(数値は例)
この想定価値を、フォームの種類ごとの generate_lead イベントの value に入れておくと、GA4 で「チャネルごとのリードの価値の合計」を比べられるようになります。件数だけでなく、価値で評価することで、「件数は少ないが、見積もり依頼が多い広告」を正しく評価できます。
ポイント 想定価値の設定は、営業部門と一緒に決めましょう。半年や 1 年ごとに、実際の商談化率や受注率をもとに見直すと、より実態に近い評価ができます。
まとめ
- 問い合わせの計測は、サンクスページの表示が最も確実で、管理画面のイベントの作成でも設定できる
- URL が変わらないフォームは、dataLayer、GTM のフォーム送信トリガー、要素の表示トリガーで計測する
- スマホの電話タップは、
tel:のリンクのクリックで計測する - 資料ダウンロードは、形式に応じて
file_downloadやフォームの完了で計測し、特定の資料はイベントの作成で区別する - リードの質は、フォームの種類の区別、想定価値の設定、CRM との連携で評価する
次の章では、EC サイトの売上を計測する、e コマース計測の全体像を学びます。