7.1 キーイベントの設定
この章で学ぶこと
- キーイベントとは何か、コンバージョンとの関係
- 既存のイベントをキーイベントにする方法
- 管理画面でイベントを作成・変更する方法
- キーイベントのカウント方法の選び方
- 何をキーイベントにすべきかの判断基準
キーイベントとは
キーイベント は、ビジネスにとって重要な行動(成果)として指定したイベントです。第 4 部で指標としての読み方を学びましたが、この章では設定の方法を詳しく見ていきます。
コンバージョンからキーイベントへ
GA4 では、2024 年 3 月に、それまでの「コンバージョン」が「キーイベント」という名前に変わりました。名称が変わった理由は、Google 広告など Google のほかのサービスとの間で、「コンバージョン」の定義を統一するためです。
| 用語 | 意味 | 使われる場所 |
|---|---|---|
| キーイベント | GA4 で、重要な行動として指定したイベント | GA4 のレポート、探索 |
| コンバージョン | Google 広告などで、広告の成果として計測・最適化に使うもの | Google 広告、GA4 の広告セクション |
GA4 のキーイベントを Google 広告にインポートすると、Google 広告の「コンバージョン」として扱われます(第 8 部)。
ポイント 古い解説記事や社内資料で「GA4 のコンバージョン」と書かれているものは、現在の「キーイベント」のことだと読み替えましょう。
既存のイベントをキーイベントにする
すでに GA4 で計測されているイベントをキーイベントにするのは、とても簡単です。
手順
- 管理画面の「データの表示」→「イベント」を開く
- 一覧から、キーイベントにしたいイベントを探す(例:
generate_lead、purchase) - そのイベントの「キーイベントとしてマークを付ける」のスイッチ(星のアイコン)をオンにする
または、
- 管理画面の「データの表示」→「キーイベント」を開く
- 「新しいキーイベント」を押す
- イベント名を入力して保存する
後者の方法は、まだ一度も発生していないイベントを、あらかじめキーイベントとして登録しておくときに使います。
注意 キーイベントの設定は、設定した時点以降のデータ にしか反映されません。過去のイベントをさかのぼってキーイベントとして数えることはできないので、計測を始めたらすぐに設定しましょう。
purchase は最初からキーイベント
推奨イベントの purchase(ウェブ)は、最初からキーイベントとして設定されています(アプリでは first_open、in_app_purchase などもあります)。e コマースを計測しているサイトでは、購入の数がそのままキーイベント数に含まれます。
イベントの作成と変更
計測しているイベントの中に、キーイベントにしたい行動がそのままの形でない場合は、管理画面で イベントを作成 できます。
イベントの作成
イベントの作成 は、既存のイベントの条件をもとに、新しいイベントを作る機能です。コードや GTM を変更せずに、管理画面だけで設定できます。
よく使うのが、「特定のページの表示」をイベントにする方法です。
- 管理画面の「データの表示」→「イベント」→「イベントを作成」を開く
- 対象のデータストリームを選び、「作成」を押す
- 次のように設定する
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| カスタム イベント名 | contact_complete |
| 一致する条件 1 | パラメータ event_name、演算子「次と等しい」、値 page_view |
| 一致する条件 2 | パラメータ page_location、演算子「次を含む」、値 /contact/thanks/ |
| ソース イベントからパラメータをコピー | オン |
- 「作成」を押す
- 新しいイベントが発生したら(データが届いたら)、キーイベントにマークする(または事前にキーイベントとして登録しておく)
これで、「問い合わせの完了ページ(/contact/thanks/)が表示されたとき」に、contact_complete というイベントが発生し、キーイベントとして数えられるようになります。
イベントの変更
イベントの変更 は、送られてきたイベントの名前やパラメータを、管理画面で書き換える機能です。
| 使いどころ | 例 |
|---|---|
| イベント名の表記揺れを直す | Contact_Submit を contact_submit に統一する |
| 推奨イベントの名前に合わせる | 独自の inquiry を generate_lead に変える |
| パラメータを追加・変更する | 特定のイベントに form_name パラメータを追加する |
注意 イベントの作成と変更は、データが GA4 に届いたあと に処理されます。BigQuery にエクスポートされるデータにも反映されますが、変更は設定した時点以降のデータだけです。また、作りすぎると管理が難しくなるので、本来はタグや GTM の側で正しい形で送るのが理想です。
イベントの作成と GTM の使い分け
| 方法 | 向いているケース |
|---|---|
| 管理画面でイベントを作成 | 「特定のページの表示」など、既存のイベントとパラメータの条件だけで表せる行動。すぐに設定したいとき |
| GTM でイベントを送る | クリックやフォームの送信など、既存のイベントでは表せない行動。パラメータを細かく設定したいとき |
カウント方法
キーイベントには、カウント方法 を設定できます。
| カウント方法 | 数え方 | 向いているもの |
|---|---|---|
| イベントごとに 1 回(推奨・既定) | イベントが発生するたびに数える | 購入、資料のダウンロード(複数回が意味を持つもの) |
| セッションごとに 1 回 | 1 回の訪問で何回発生しても 1 回と数える | 問い合わせ、会員登録(重複して数えたくないもの) |
設定の手順
- 管理画面の「データの表示」→「キーイベント」を開く
- 対象のキーイベントの「︙」→「カウント方法を変更」を押す
- カウント方法を選んで保存する
ポイント 問い合わせの完了ページを再読み込みしたり、ブラウザの「戻る」で完了ページに戻ったりすると、
page_viewが再び送られ、キーイベントが重複して数えられることがあります。こうした重複が気になるキーイベントは「セッションごとに 1 回」にしておくと安心です。
何をキーイベントにすべきか
キーイベントは、1 つのプロパティに最大 30 個(執筆時点の無料版)まで設定できます。しかし、多ければ良いわけではありません。
キーイベントにすべきもの
キーイベントにするのは、ビジネスの成果に直結する行動 です。第 1 部で作った KPI ツリーの、KGI に近い行動を選びましょう。
| サイトの種類 | キーイベントの例 |
|---|---|
| EC サイト | 購入(purchase) |
| BtoB サイト | 問い合わせ、資料請求、無料トライアルの申し込み(generate_lead、sign_up) |
| メディア | 会員登録、メルマガ登録 |
| 店舗サイト | 来店予約、電話のタップ、経路検索のクリック |
| 採用サイト | エントリー |
キーイベントにしないほうがよいもの
| 行動 | キーイベントにしない理由 |
|---|---|
| ページのスクロール | ほとんどのユーザーが行うため、成果とは言えない |
| 2 ページ以上の閲覧、一定時間以上の滞在 | エンゲージメントの指標で十分に見られる |
| すべてのボタンのクリック | 成果ではなく途中の行動。イベントとして計測し、分析に使う |
| フォームの入力開始 | 成果の手前の行動。ファネルで分析する |
キーイベントを絞る理由
キーイベントが多すぎると、次のような問題が起こります。
- キーイベント数の合計が意味を持たなくなる:スクロールと購入を同じ「1」として合計しても、何を表しているのかわからない
- アトリビューションや広告の最適化がぶれる:Google 広告で、重要でない行動に向けて最適化されてしまう
- 報告がわかりにくくなる:「キーイベントが増えました」と言っても、何が増えたのかを毎回説明する必要がある
ポイント 迷ったら、「この行動が 1 件増えたら、事業にとって嬉しいか」を考えましょう。嬉しいと言える行動だけをキーイベントにし、それ以外は通常のイベントとして計測して、分析に使います。
マイクロ コンバージョンの考え方
成果に至るまでの途中の行動(料金ページの閲覧、資料のダウンロード、動画の視聴など)を、マイクロ コンバージョン と呼ぶことがあります。マイクロ コンバージョンは、最終的な成果の数が少ないサイトで、施策の効果を早く判断するのに役立ちます。
GA4 では、マイクロ コンバージョンをキーイベントにするかどうかは、運用の方針次第です。キーイベントにする場合は、最終的な成果と区別できるように、レポートでは必ずキーイベントを個別に選んで見るようにしましょう。
まとめ
- キーイベントは、ビジネスにとって重要な行動として指定したイベントで、以前の「コンバージョン」にあたる
- 既存のイベントは、管理画面でスイッチをオンにするだけでキーイベントにできる。設定は過去にさかのぼらない
- 管理画面の「イベントを作成」で、特定のページの表示などを新しいイベントにできる
- カウント方法は、重複して数えたくないものを「セッションごとに 1 回」にする
- キーイベントは、事業の成果に直結する行動に絞って設定する
次の章では、BtoB サイトや店舗型ビジネスで重要な、フォームや問い合わせの計測方法を学びます。