7.4 商品分析
この章で学ぶこと
- アイテム レポートで商品ごとの成果を確認する方法
- カート追加率と購入率で、商品の課題を見つける方法
- アイテム リストとプロモーションの効果の測り方
- クーポンの効果の測り方
アイテム レポート
e コマースの計測を実装すると、商品(アイテム)単位 の分析ができるようになります。第 5 部で紹介した「e コマース購入数」レポートが、商品分析の出発点です。
主なディメンション
| ディメンション | 内容 |
|---|---|
| アイテム名 | 商品の名前 |
| アイテム ID | 商品の ID |
| アイテムのブランド | ブランド |
| アイテム カテゴリ(〜5) | 商品のカテゴリ(階層ごと) |
| アイテムのバリエーション | 色、サイズなど |
| アイテム リスト名 | 商品が表示された一覧の名前 |
| アイテムのプロモーション名 | 関連するプロモーション |
主な指標
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 閲覧されたアイテム数 | view_item で閲覧された回数 |
| カートに追加されたアイテム数 | add_to_cart で追加された数 |
| 購入されたアイテム数 | purchase で購入された数量 |
| アイテムの収益 | その商品の売上(価格 × 数量) |
| 閲覧後カートに追加された商品の割合 | カート追加率 |
| 閲覧後購入された商品の割合 | 購入率 |
| アイテムの払い戻し額 | 返金された金額 |
注意 アイテムのディメンション(アイテム名など)は、アイテム スコープ です。セッション数やユーザー数などの指標とは組み合わせられません(第 4 部)。アイテムの分析には、上の表のようなアイテムの指標を使いましょう。
探索でのアイテム分析
標準レポートより細かく分析したい場合は、探索の自由形式で、行に「アイテム名」や「アイテム カテゴリ」、値にアイテムの指標を置きます。列に「デバイス カテゴリ」を置くと、デバイスごとの売れ方の違いもわかります。
カート追加率と購入率
商品分析で特に役立つのが、カート追加率(閲覧後カートに追加された商品の割合)と 購入率(閲覧後購入された商品の割合)です。
4 象限で商品を分類する
閲覧数とカート追加率の 2 軸で商品を分類すると、それぞれの商品の課題が見えてきます。
| カート追加率が高い | カート追加率が低い | |
|---|---|---|
| 閲覧数が多い | 主力商品:在庫切れに注意し、関連商品の提案を強化する | 見られるが買われない:商品ページの改善が最優先(価格、写真、説明、レビュー) |
| 閲覧数が少ない | 隠れた人気商品:露出を増やせば売上が伸びる可能性 | 見直し候補:品ぞろえや見せ方を見直す |
例)アイテム別の閲覧数とカート追加率
商品 A:閲覧 5,000、カート追加率 12% → 主力商品
商品 B:閲覧 4,200、カート追加率 3% → 見られるが買われない
商品 C:閲覧 400、カート追加率 15% → 隠れた人気商品
商品 D:閲覧 300、カート追加率 2% → 見直し候補
(数値は例)
「見られるが買われない」商品の改善
閲覧数が多いのにカート追加率が低い商品は、多くの人が関心を持っているのに、購入を決められていない 商品です。改善の効果が大きいため、優先して取り組みましょう。
| 確認すること | 改善の例 |
|---|---|
| 価格は適正か、競合と比べてどうか | 価格の見直し、セット販売、送料無料の条件の工夫 |
| 写真は十分か | 角度の違う写真、使用シーンの写真、拡大できる写真の追加 |
| 説明は十分か | サイズ表、素材、使い方の説明の追加 |
| レビューはあるか | レビューの表示、レビュー投稿の促進 |
| 在庫はあるか | 在庫切れの表示、再入荷の通知 |
| スマホで見やすいか | スマホでの表示の確認 |
カートに入れたのに買われない商品
カート追加率は高いのに、購入率が低い商品もあります。これは、カートに入れたあと、購入手続きの途中で離脱している、または「とりあえずカートに入れておく」使われ方をしている可能性があります。
- 送料や手数料が加わった最終金額を見て、離脱していないか
- ほかの商品と比べるために、カートに入れているのではないか
- 在庫や配送日の問題で、手続きの途中で購入できなくなっていないか
アイテム リストとプロモーション
アイテム リスト
アイテム リスト は、商品が表示された一覧(「おすすめ商品」「ランキング」「関連商品」「検索結果」など)のことです。view_item_list と select_item のイベントで item_list_name を送っていると、一覧ごとの成果を比べられます。
| アイテム リスト名 | 表示回数 | クリック数 | クリック率 | 購入されたアイテム数 |
|---|---|---|---|---|
| ランキング | 20,000 | 1,600 | 8.0% | 210 |
| おすすめ商品 | 35,000 | 1,050 | 3.0% | 95 |
| 関連商品 | 18,000 | 900 | 5.0% | 120 |
| 最近見た商品 | 8,000 | 640 | 8.0% | 85 |
(数値は例)
この例では、「おすすめ商品」は表示回数が多いのにクリック率が低いことがわかります。おすすめのロジックや、表示する位置を見直す価値がありそうです。
プロモーション
プロモーション は、トップページのバナーやキャンペーンの告知など、社内で企画した販促の枠のことです。view_promotion と select_promotion のイベントで promotion_name などを送ると、プロモーションごとの効果を比べられます。
| パラメータ | 内容 | 例 |
|---|---|---|
promotion_id | プロモーションの ID | 2026_autumn_sale |
promotion_name | プロモーションの名前 | 秋のセール |
creative_name | クリエイティブ(バナー画像など)の名前 | banner_autumn_a |
creative_slot | 表示した枠の位置 | top_hero_1 |
creative_name を使えば、同じプロモーションの中で、バナーのデザイン A と B のどちらがよくクリックされたかも比べられます。
ポイント プロモーションの計測は、「トップページのバナーは本当に効果があるのか」という、EC サイトでよくある疑問に答えるのに役立ちます。表示回数に対するクリック率と、クリック後の購入の両方を見て判断しましょう。
クーポンの効果
クーポンを使っている EC サイトでは、purchase などのイベントの coupon パラメータで、クーポンの利用状況を分析できます。
クーポンの分析の観点
| 観点 | 見る指標 |
|---|---|
| どのクーポンがよく使われているか | クーポンごとの購入数 |
| クーポンの利用で売上が伸びたか | クーポンごとの収益、平均購入収益額 |
| クーポンで新規顧客を獲得できたか | クーポンを使った購入のうち、初回購入者の割合 |
| 値引きのしすぎになっていないか | クーポンごとの値引き額と収益の関係 |
クーポンの効果を判断するときの注意
クーポンを使った購入が多いからといって、クーポンが売上を 増やした とは限りません。もともと買うつもりだった人が、たまたまクーポンを使っただけかもしれないからです(相関と因果の違い。第 4 部)。
クーポンの本当の効果を知るには、次のような比べ方を検討しましょう。
- クーポンを配布した期間と、配布しなかった期間の売上や購入者数を比べる
- クーポンを配布したユーザーと、配布しなかったユーザー(ランダムに分けた)の購入率を比べる(A/B テスト。第 12 部)
よくある質問
Q. アイテムのレポートで、商品名が (not set) になっています。
A. EC のイベントで、items の配列に item_name(または item_id)が入っていない場合に起きます。イベントごとに、items の形が推奨の形になっているかを、DebugView や GTM のプレビュー モードで確認しましょう。特に、add_to_cart や begin_checkout など、購入以外のイベントで items が抜けていることがよくあります(第 7 部の第 3 章、第 9 部の第 4 章)。
Q. 「閲覧後カートに追加された率」が 100% を超える商品があります。
A. 商品ページを見ずに、一覧のページや、おすすめの枠から直接カートに追加できるサイトでは、カートへの追加の数が、商品の閲覧の数より多くなることがあります。また、view_item の計測が漏れている場合も起きます。サイトの作りと、イベントの計測の範囲を確認しましょう。
Q. 商品のカテゴリは、いくつまで送れますか。
A. items には、item_category から item_category5 までの 5 つの階層のカテゴリを送れます。「大分類 → 中分類 → 小分類」のように、上の階層から順に使いましょう。階層の付け方は、すべての商品で同じルールにすることが大切です。
Q. クーポンの効果は、クーポンを使った購入の数だけで判断してよいですか。
A. クーポンを使った購入の中には、クーポンがなくても購入していた人 も含まれます。クーポンの本当の効果を知るには、クーポンを配った人と配らなかった人を比べる、クーポンを使った人の平均購入単価や、その後のリピートを確認する、などの見方が必要です(第 8 部の増分効果、第 12 部の A/B テスト)。
実践ワーク
自社の商品を、この章の指標で分類してみましょう。
| 商品 | 閲覧数 | カート追加率 | 購入率(閲覧から) | 収益 | 分類 |
|---|---|---|---|---|---|
| (上位 10 商品を書き出す) |
分類は、「よく見られ、よくカートに入る」「よく見られるが、カートに入らない」「あまり見られないが、カートに入る率が高い」「あまり見られず、カートにも入らない」の 4 つです(第 12 部の第 3 章)。
分類ができたら、「よく見られるが、カートに入らない」商品の商品ページを開いて、価格・送料・在庫・レビュー・写真のうち、足りない情報がないかを確認しましょう。サイト内検索のキーワードや、問い合わせの内容に、その商品についての質問がないかも探してみると、改善のヒントになります。
まとめ
- アイテムのディメンションは、アイテムの指標(閲覧・カート追加・購入・収益)と組み合わせて分析する
- 閲覧数とカート追加率の 2 軸で商品を分類すると、改善すべき商品が見えてくる
- 「見られるが買われない」商品は、価格・写真・説明・レビュー・在庫を確認して優先的に改善する
- アイテム リストとプロモーションの計測で、一覧やバナーの効果を比べられる
- クーポンの効果は、利用数だけでなく、配布の有無による比較で判断する
次の章では、カートから購入完了までのボトルネックを見つけ、購入ファネルを改善する方法を学びます。