9.2 GTM の導入と GA4 設定
この章で学ぶこと
- GTM のアカウントとコンテナを作り、サイトに設置する手順
- GTM で GA4 の Google タグを設定する方法
- プレビュー モードで動作を確認する方法
- 公開とバージョン管理の考え方
コンテナの作成と設置
アカウントとコンテナを作る
- GTM のサイト(tagmanager.google.com)に、Google アカウントでログインする
- 「アカウントを作成」を押す
- アカウント名(会社名など)と国を入力する
- コンテナ名(サイトのドメインなど)を入力し、ターゲット プラットフォームで「ウェブ」を選ぶ
- 利用規約に同意して作成する
作成すると、サイトに設置するための 2 つのコード が表示されます。
2 つのコードを設置する
<!-- 1 つ目:<head> のできるだけ上のほうに貼る -->
<script>(function(w,d,s,l,i){ ... })(window,document,'script','dataLayer','GTM-XXXXXXX');</script>
<!-- 2 つ目:<body> の開始タグの直後に貼る -->
<noscript><iframe src="https://www.googletagmanager.com/ns.html?id=GTM-XXXXXXX" ...></iframe></noscript>
| コード | 場所 | 役割 |
|---|---|---|
<script> のコード | <head> のできるだけ上 | GTM を読み込む本体 |
<noscript> のコード | <body> の開始タグの直後 | JavaScript が無効なブラウザ向けの補助 |
コードは、サイトの すべてのページ に設置します。多くの CMS では、共通のヘッダーのテンプレートに貼るか、GTM の設置用のプラグインや設定欄を使います(第 2 部)。
注意 GA4 の Google タグ(gtag.js)を、すでにサイトの HTML に直接設置している場合、GTM でも同じ GA4 の Google タグを設定すると、二重計測 になります。GTM に移行する場合は、HTML に直接設置したタグを削除するタイミングと、GTM のタグを公開するタイミングを合わせましょう。
Google タグの設定
コンテナを設置したら、GTM で GA4 の Google タグを設定します。
手順
- 変数を作る(任意):「変数」→「ユーザー定義変数」→「新規」→「定数」で、値に測定 ID(
G-XXXXXXXXXX)を入れ、名前を「GA4 測定 ID」などにする - 「タグ」→「新規」を押す
- 「タグの設定」で「Google タグ」を選ぶ
- 「タグ ID」に、測定 ID(または作った変数
{{GA4 測定 ID}})を入れる - 「トリガー」で「Initialization - All Pages」(または「All Pages」)を選ぶ
- タグの名前(例:「GA4 - Google タグ」)を付けて保存する
トリガーの選び方
| トリガー | 発火のタイミング | 使いどころ |
|---|---|---|
| Consent Initialization - All Pages | ページの読み込みの最初(同意の設定用) | 同意モードの既定値の設定(第 11 部) |
| Initialization - All Pages | ほかのタグより先 | Google タグ(推奨) |
| All Pages(ページビュー) | ページの読み込みの開始時 | 一般的なタグ |
| DOM Ready | HTML の読み込みが終わったとき | ページの要素を参照するタグ |
| Window Loaded | 画像などを含め、ページがすべて読み込まれたとき | 読み込みの遅いタグ |
設定パラメータ
Google タグの「設定」の欄に、すべてのイベントに共通のパラメータを入れられます。
| パラメータ | 用途の例 |
|---|---|
send_page_view | false にすると、ページの表示を自動で送らない(SPA などで手動で送る場合) |
page_location など | ページの URL を加工して送りたい場合 |
user_id | ログインしているユーザーの ID を送る(第 3 部) |
プレビュー モード
GTM で設定したタグは、公開するまでサイトに反映されません。公開する前に、プレビュー モード(Tag Assistant)で、タグが正しく動くかを確認します。
確認の手順
- GTM の画面右上の「プレビュー」を押す
- Tag Assistant が開くので、サイトの URL を入れて「Connect」を押す
- 新しいウィンドウでサイトが開く(このウィンドウでは、未公開の設定で GTM が動く)
- サイトでページを移動したり、ボタンを押したりする
- Tag Assistant の画面で、各操作(イベント)ごとに、どのタグが発火したか(Tags Fired)、発火しなかったか(Tags Not Fired)を確認する
Tag Assistant の見方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 左側のイベントの一覧 | Container Loaded、DOM Ready、Click など、ページで起きた出来事の順番 |
| Tags | 選んだ出来事のときに、発火したタグと発火しなかったタグ |
| Variables | 選んだ出来事のときの、各変数の値 |
| Data Layer | 選んだ出来事のときのデータレイヤーの中身 |
GA4 の DebugView と組み合わせる
プレビュー モードで操作すると、GA4 にも デバッグ用の印 が付いたデータが送られ、GA4 の DebugView(管理 → DebugView)で、イベントとパラメータをリアルタイムに確認できます(第 2 部)。
ポイント 「GTM でタグが発火した」ことと、「GA4 に正しいデータが届いた」ことは別です。Tag Assistant でタグの発火を、GA4 の DebugView でイベント名とパラメータの値を、両方確認しましょう。
公開とバージョン管理
公開の手順
- GTM の画面右上の「送信」を押す
- 「バージョンの公開と作成」を選ぶ
- バージョン名 と バージョンの説明 を入れる(例:「v12 CTA ボタンのクリック計測を追加」)
- 変更の一覧を確認して、「公開」を押す
公開すると、数分ほどで本番のサイトに反映されます。
バージョン名と説明を必ず書く
バージョン名と説明を空欄のまま公開すると、あとから「いつ、何を、なぜ変えたか」がわからなくなります。
良い例:
バージョン名:2026-10-28 資料請求フォームの送信イベントを追加
説明:generate_lead イベントを追加。form_id を送る。依頼者:マーケ部 佐藤
悪い例:
バージョン名:(空欄)
説明:(空欄)
以前のバージョンに戻す
公開したあとで問題が見つかった場合は、「バージョン」の画面から、問題のなかった以前のバージョンを選んで 公開 すれば、すぐに元の状態に戻せます。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 公開後にサイトの表示が崩れた | すぐに以前のバージョンを公開して戻し、原因を調べる |
| データが二重に計測されている | 以前のバージョンに戻すか、問題のタグを停止して公開する |
| 特定のタグだけ一時的に止めたい | タグを「一時停止」にして公開する |
注意 GTM のバージョンを戻しても、すでに GA4 に送られたデータは元に戻りません。誤ったデータが入った期間は、作業ログや GA4 の注釈に記録しておき、分析のときに除外できるようにしましょう。
よくある質問
Q. プレビュー モードで、サイトに接続できません。
A. 次の点を確認しましょう。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| GTM のコードの設置 | 接続しようとしているページに、GTM のコンテナのコードが正しく設置されているか(コンテナ ID が正しいか) |
| 広告ブロッカー | ブラウザの広告ブロッカーやプライバシー保護の拡張機能が、GTM の読み込みを止めていないか |
| ポップアップのブロック | Tag Assistant のウィンドウが、ブラウザにブロックされていないか |
| URL | 入力した URL が、実際に GTM が設置されているページか(テスト環境と本番の違い) |
| Cookie バナー | 同意の前に GTM を読み込まない設定になっていないか |
Q. 「Initialization - All Pages」と「All Pages」のどちらを使えばよいですか。
A. Google タグは、ほかのタグより先に動かしたいので、「Initialization - All Pages」を使うのが一般的です。ほかの GA4 のイベント タグや、広告のタグは、それぞれの目的に合ったトリガーを使います。同意モードの既定値を設定するタグだけは、さらに先の「Consent Initialization - All Pages」を使います(第 11 部)。
Q. 公開したのに、変更が反映されません。
A. 公開から本番への反映には、数分かかることがあります。また、ブラウザのキャッシュで、古いコンテナが読み込まれている場合もあります。ブラウザのキャッシュを消すか、シークレット ウィンドウで確認しましょう。それでも反映されない場合は、公開したバージョンが「ライブ」になっているかを、「バージョン」の画面で確認します。
Q. テスト環境と本番で、同じコンテナを使ってもよいですか。
A. 同じコンテナを使う場合は、GTM の 環境 の機能を使うと、テスト環境には未公開のバージョンを、本番には公開したバージョンを配信できます。また、テスト環境のデータが本番の GA4 に入らないよう、測定 ID を環境ごとに切り替える(ルックアップ テーブルの変数を使う)方法もあります。
実践ワーク
テスト用の GA4 プロパティ(または自社のプロパティ)と GTM のコンテナで、次の手順を一通り試してみましょう。
- 測定 ID を定数の変数として作る
- Google タグを作り、Initialization - All Pages のトリガーを設定する
- プレビュー モードでサイトに接続し、Tag Assistant で Google タグが発火していることを確認する
- GA4 の DebugView で、
page_viewが届いていることを確認する - バージョン名と説明を書いて公開する
- 「バージョン」の画面で、1 つ前のバージョンを開き、戻す手順を確認する(実際には戻さなくてよい)
この一連の流れを一度体験しておくと、本番で問題が起きたときにも、落ち着いて対応できます。
まとめ
- GTM のコンテナを作ったら、2 つのコードをサイトのすべてのページに設置する
- GA4 の Google タグは、測定 ID を設定し、Initialization - All Pages などのトリガーで発火させる
- HTML に直接設置した GA4 のタグが残っていると、二重計測になる
- 公開前に、プレビュー モード(Tag Assistant)でタグの発火を、GA4 の DebugView でデータの中身を確認する
- 公開時はバージョン名と説明を必ず書き、問題があれば以前のバージョンを公開して戻す
次の章では、ボタンのクリックやフォームの送信を、GTM でイベントとして計測する方法を学びます。