11.2 同意モードと Cookie バナー

同意モード v2 の仕組みと設定を理解します。
応用書籍換算 約 10 ページ

この章で学ぶこと

  • 同意モードの仕組みと、4 つの同意の種類
  • 基本モードと詳細モードの違い
  • 同意管理プラットフォーム(CMP)と連携する方法
  • 同意を拒否したユーザーのデータを補う「行動モデリング」

同意モードとは

同意モード(Consent Mode)は、ユーザーが Cookie バナーなどで選んだ 同意の状態 を、Google のタグ(GA4、Google 広告など)に伝え、タグの動作を同意の状態に合わせて変える仕組みです。

ユーザーが Cookie バナーで選ぶ
  「すべて許可」 → 同意の状態:granted(許可)
  「拒否」       → 同意の状態:denied(拒否)
        ↓
同意モードで、同意の状態を Google のタグに伝える
        ↓
タグは、同意の状態に応じて、Cookie を使うか、どんなデータを送るかを変える

4 つの同意の種類

同意モードでは、次の 4 つの種類の同意を、それぞれ granted(許可)または denied(拒否)で管理します。

種類内容
analytics_storage解析のための Cookie などの保存(GA4 の Cookie)
ad_storage広告のための Cookie などの保存
ad_user_dataユーザーのデータを、広告の目的で Google に送ること
ad_personalizationパーソナライズド広告(リマーケティングなど)に使うこと

ad_user_data と ad_personalization は、同意モード v2 で追加された種類です。EEA(欧州経済領域)のユーザーのデータを、Google 広告などの広告の機能で使うには、同意モード v2 への対応が求められています。

ポイント 同意モードには、ほかにも functionality_storage(サイトの機能のための保存)、personalization_storage(おすすめの表示などのための保存)、security_storage(セキュリティのための保存)などの種類があり、CMP によってはこれらも管理できます。

同意の既定値と更新

同意モードは、既定値(ページを開いたときの初期の状態)と、更新(ユーザーが選んだあとの状態)の 2 段階で設定します。

// 1. 既定値:ページの読み込みの最初に、Google のタグより前に実行する
gtag('consent', 'default', {
    analytics_storage: 'denied',
    ad_storage: 'denied',
    ad_user_data: 'denied',
    ad_personalization: 'denied',
    wait_for_update: 500
});

// 2. 更新:ユーザーが Cookie バナーで「すべて許可」を選んだとき
gtag('consent', 'update', {
    analytics_storage: 'granted',
    ad_storage: 'granted',
    ad_user_data: 'granted',
    ad_personalization: 'granted'
});
設定内容
default同意を得る前の状態。事前の同意が必要な地域では denied にする
updateユーザーが選んだ結果で更新する
wait_for_updateCMP が同意の状態を読み込むまで、タグの送信を待つ時間(ミリ秒)
region既定値を地域ごとに変える(例:EEA では denied、それ以外では granted)

注意 既定値を granted にするか denied にするかは、対象の地域の法規制と、自社の方針によって決まります。日本の法令では、解析の Cookie について一律に事前の同意が義務づけられているわけではありませんが、海外のユーザーへの対応や、ユーザーの信頼の観点から、方針を決めておきましょう(前の章)。

基本モードと詳細モード

同意モードの実装には、基本モード と 詳細モード の 2 つの方法があります。

比べる点基本モード詳細モード
同意する前Google のタグを 読み込まないGoogle のタグを読み込み、同意の状態を denied で設定する
拒否したユーザーデータは一切送られないCookie を使わない cookieless ping(Cookie の ID を含まない、限られた情報の送信)が送られる
許可したユーザー許可したあとから、通常どおり計測通常どおり計測
行動モデリング一般的なモデル(サイト固有のデータなし)による推定サイトの cookieless ping を使った、より精度の高い推定
実装の考え方同意するまでタグをブロックするタグは動かし、同意の状態で動作を変える

cookieless ping とは

詳細モードで、ユーザーが拒否した場合(analytics_storage: 'denied')、GA4 のタグは Cookie を読み書きせず、Cookie の ID を含まない、限られた情報(イベントが起きたこと、ページの情報など)だけを送ります。このデータは、GA4 のレポートでユーザーとして数えられるのではなく、行動モデリング の材料として使われます。

注意 詳細モードでも、拒否したユーザーの情報の一部は Google に送られます。対象の地域の法規制や、自社のプライバシーの方針で、拒否したユーザーの情報を一切送らない必要がある場合は、基本モードを選びましょう。どちらのモードを選んだかは、プライバシー ポリシーなどで説明できるようにしておきます。

CMP との連携

CMP(Consent Management Platform、同意管理プラットフォーム)は、Cookie バナーの表示、ユーザーの同意の記録、同意の状態のタグへの連携をまとめて行うツールです。

CMP の主な機能

機能内容
Cookie バナーの表示地域や言語に合わせて、同意を求めるバナーを表示する
同意の記録いつ、どのユーザーが、何に同意したかを記録する
同意の変更ユーザーが、あとから同意の内容を変えられる画面を用意する
同意モードとの連携ユーザーの選択を、同意モードの update として Google のタグに伝える
Cookie の調査サイトで使われている Cookie やタグを調べて、一覧にする

GTM で同意モードを設定する

GTM を使っている場合、多くの CMP は GTM のテンプレート(コミュニティ テンプレート ギャラリー)を提供しています。

  1. GTM で、CMP のテンプレートのタグを追加する
  2. 同意の既定値(地域ごと)を設定する
  3. トリガーに Consent Initialization - All Pages を選ぶ(ほかのすべてのタグより先に動かすため)
  4. 管理 → コンテナの設定で、同意の概要 を有効にする
  5. 各タグの「同意設定」で、追加の同意が必要かを確認する(Google のタグは、同意モードに組み込みで対応している)

動作の確認

確認すること方法
既定値が正しく設定されているかGTM のプレビュー モードの「Consent」のタブで、ページを開いたときの状態を見る
選択によって状態が更新されるかバナーで許可・拒否したあとの「Consent」のタブを見る
拒否したときに Cookie が保存されないかブラウザの開発者ツールで、_ga の Cookie が保存されていないかを見る
許可したときに計測されるかGA4 の DebugView やリアルタイム レポートで確認する

ポイント Cookie バナーの「拒否」のボタンを、「許可」のボタンよりも見つけにくくするなど、ユーザーを許可に誘導するデザイン(ダーク パターン)は、地域によっては規制の対象になり、ユーザーの信頼も損ないます。許可と拒否を、同じように選べるデザインにしましょう。

行動モデリング

ユーザーが同意を拒否すると、そのユーザーの行動は、GA4 で通常どおりには計測されません。その結果、ユーザー数やキーイベント数が、実際よりも少なく見えてしまいます。

行動モデリング は、同意を 許可したユーザー のデータをもとに、機械学習で、拒否したユーザーの行動を推定 して、レポートの数値を補う機能です。

行動モデリングの条件

行動モデリングを使うには、次のような条件があります。

  • 同意モードを 詳細モード で実装している(基本モードでは、サイト固有のデータによるモデリングは使えない)
  • 同意を拒否したユーザーと、許可したユーザーのデータが、一定の量以上ある(量が少ないプロパティでは、モデリングが適用されない)
  • レポート用識別子で ブレンド を選んでいる

具体的な条件は、Google の公式ヘルプで確認してください。

レポートでの確認

確認すること方法
モデリングが適用されているか管理 → データの表示 → レポート用識別子 の画面や、同意の設定の状況を確認する
モデリングの影響レポート用識別子を「観測」(モデリングなし)に切り替えて比べる

注意 行動モデリングで補われた数値は、あくまでも 推定値 です。BigQuery のエクスポートにはモデリングの値は含まれないため、BigQuery の集計と GA4 の画面の数値の差が大きくなります(第 10 部)。社内のレポートでは、モデリングの有無を説明できるようにしておきましょう。

まとめ

  • 同意モードは、ユーザーの同意の状態を Google のタグに伝え、Cookie の使用やデータの送信を、同意に合わせて変える仕組み
  • 同意の種類は analytics_storage、ad_storage、ad_user_data、ad_personalization の 4 つが中心で、v2 で後の 2 つが加わった
  • 基本モードは同意までタグを読み込まず、詳細モードは拒否したユーザーの cookieless ping を送る
  • CMP を GTM のテンプレートで導入し、Consent Initialization のトリガーで既定値を設定し、プレビュー モードで確認する
  • 行動モデリングは、拒否したユーザーの行動を推定して数値を補う機能で、詳細モードと一定のデータ量が必要

次の章では、計測の抜け漏れや異常値に早く気づき、データの品質を保つ方法を学びます。