12.6 店舗・地域ビジネスの活用事例
この章で学ぶこと
- 店舗・地域ビジネスのサイトで見るべき KPI
- 電話のタップや、地図・経路の確認を計測する方法
- Google ビジネス プロフィールと GA4 を組み合わせて使う方法
見るべき KPI
飲食店、美容院、クリニック、学習塾、不動産の店舗、工務店など、実際の店舗に来てもらうこと(来店・来院)が目的のビジネスでは、サイトの中では最終的な成果(来店や購入)が発生しません。
来店につながる行動を成果にする
サイトの役割は、来店を決めてもらうこと です。そのため、来店の直前の行動を キーイベント として計測します。
| 来店の前の行動 | イベント名の例 | 計測の方法 |
|---|---|---|
| 電話をかける | phone_click | tel: のリンクのクリック(第 9 部) |
| 予約する(ウェブ予約) | generate_lead、purchase など | 予約の完了ページ、または予約システムとの連携 |
| 地図・経路を確認する | map_click | Google マップへのリンクのクリック、地図の埋め込みの操作 |
| LINE で問い合わせる | line_click | LINE の友だち追加のリンクのクリック |
| クーポンを表示する | view_coupon | クーポンのページの表示 |
| 店舗の詳細ページを見る | page_view | 店舗のページの表示(キーイベントにはしないことが多い) |
店舗のサイトの KPI の例
| KPI | 内容 |
|---|---|
| 地域のユーザー数 | 店舗の商圏(市区町村、都道府県)からのユーザー数 |
| 来店の前の行動の数 | 電話、予約、経路の確認の合計 |
| 来店の前の行動の率 | 上の行動 ÷ セッション数 |
| 店舗ごとの行動 | 複数の店舗がある場合、店舗のページごとの電話・経路の確認 |
ポイント 店舗のビジネスでは、地域 のディメンション(市区町村、都道府県)が重要です。商圏の外からのアクセスが多い場合は、集客の対象がずれている可能性があります。ただし、GA4 の地域は IP アドレスなどからの推定で、特にスマホのモバイル回線では、実際の場所とずれることがある点に注意しましょう。
電話・経路検索の計測
電話のタップの計測
スマホのサイトで、電話番号のリンク(<a href="tel:...">)がタップされたことを計測します。
トリガー:クリック - リンクのみ
条件:Click URL 先頭が一致 tel:
タグ:GA4 イベント
イベント名:phone_click
パラメータ:
phone_number_type = main(代表番号)/ reservation(予約専用)など
store_name = {{店舗名の変数}}(複数の店舗がある場合)
注意 電話番号そのもの(例:03-1234-5678)を、イベントのパラメータに送るのは、店舗の代表番号であれば問題になりにくいですが、送らなくても分析できるように、
store_nameなどの店舗の識別子を送る形にしておくのが安全です。ユーザーの電話番号は、絶対に送ってはいけません(第 11 部)。
電話のタップと、実際の通話の違い
| 計測できること | 計測できないこと |
|---|---|
| 電話番号のリンクがタップされた | 実際に電話がつながったか、予約に至ったか |
| どのページで、どの番号がタップされたか | 電話番号を見て、手で入力して電話した人 |
実際の通話の件数や内容を知りたい場合は、コール トラッキング(サイトに表示する電話番号を、流入元ごとに変えて、通話を計測するサービス)の導入を検討します。
地図・経路の確認の計測
| 方法 | 計測の内容 |
|---|---|
| Google マップへのリンク | 「地図を見る」「経路を調べる」のリンク(google.com/maps を含む URL)のクリック |
| 埋め込みの地図 | iframe の中の操作は、GTM では計測しにくい。地図の近くに「経路を調べる」のボタンを設置して、そのクリックを計測する |
| アクセスのページ | 「アクセス」「店舗の地図」のページの表示 |
Google ビジネス プロフィールとの併用
店舗のビジネスでは、多くのユーザーが、サイトを訪れる前に、Google 検索や Google マップ で店舗の情報を見ています。Google ビジネス プロフィール(旧称:Google マイビジネス)は、Google 検索や Google マップに表示される、店舗の情報を管理するための無料のツールです。
Google ビジネス プロフィールでわかること
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| プロフィールの表示 | 検索やマップで、店舗のプロフィールが表示された回数 |
| 検索の語句 | どんな言葉で検索されて、プロフィールが表示されたか |
| 電話 | プロフィールの「電話」のボタンが押された数 |
| ルート | 「ルート」(経路)のボタンが押された数 |
| ウェブサイトのクリック | プロフィールから、自社のサイトへのリンクがクリックされた数 |
GA4 とつなげる
Google ビジネス プロフィールの ウェブサイトのリンク に、UTM を付けておくと、プロフィールから来たユーザーの行動を、GA4 で分けて分析できます。
https://www.example.co.jp/shibuya/?utm_source=google&utm_medium=organic&utm_campaign=gbp_shibuya
| パラメータ | 値の例 | 理由 |
|---|---|---|
utm_source | google | Google のサービスからの流入 |
utm_medium | organic | 有料の広告ではない(自然検索のチャネルに分類したい場合)。referral や独自の値にする考え方もある |
utm_campaign | gbp_shibuya | Google ビジネス プロフィール(GBP)の、どの店舗のリンクか |
ポイント
utm_mediumを何にするかで、GA4 のデフォルト チャネル グループのどのチャネルに分類されるかが変わります(第 8 部)。社内で値を決めて、すべての店舗で統一しましょう。
2 つのツールを合わせて見る
店舗のビジネスでは、Google ビジネス プロフィールの電話・ルート と、サイトの電話・経路の確認 の両方が、来店の前の行動です。
| ツール | 来店の前の行動 |
|---|---|
| Google ビジネス プロフィール | 電話のボタン、ルートのボタン |
| GA4(サイト) | 電話のタップ、地図・経路の確認、ウェブ予約 |
| 合計 | ウェブ全体からの、来店の前の行動 |
月次のレポートでは、Looker Studio などで、2 つのツールの数値を並べて表示すると、ウェブ全体の集客の状況がわかります(Google ビジネス プロフィールのデータは、管理画面からの書き出しなどで取り込みます)。
来店との関係を確かめる
ウェブの行動と、実際の来店の関係を確かめるには、次のような方法があります。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 来店時のアンケート | 「何を見て来店しましたか」を聞く |
| ウェブ限定のクーポン | ウェブのクーポンの利用数を、店舗で数える |
| 予約システムのデータ | 予約の数と、実際の来店の数を突き合わせる |
| 数値の推移の比較 | ウェブの来店の前の行動の推移と、来店数の推移を並べて比べる |
よくある質問
Q. 複数の店舗があり、店舗ごとの成果を分けて見たいです。
A. 店舗ごとのページ(/shibuya/、/shinjuku/ など)を用意し、電話や経路のクリックのイベントに、store_name のパラメータを付けて送りましょう。store_name をカスタム ディメンションに登録すれば、店舗ごとの電話・経路・予約の数を、1 つの表で比べられます。
Q. スマホのユーザーが電話番号をタップしても、パソコンのユーザーは電話番号を見て電話します。
A. パソコンのユーザーは、画面の電話番号を見て、手元の電話からかけることが多いため、タップの計測では数えられません。パソコンの割合が大きいサイトでは、電話のタップの数を「最低限の数」と考え、コール トラッキングや、電話の受付での聞き取りで補いましょう。
Q. 口コミのサイトやポータル サイトからの流入は、どう扱えばよいですか。
A. グルメ サイトや美容のポータル サイトなどからの流入は、GA4 では Referral(参照)として記録されます。ポータル サイトの中での予約は、ポータル サイトの管理画面で確認し、自社サイトの GA4 のデータと並べて、集客の経路ごとの成果を比べましょう。
実践ワーク
自社の店舗(または店舗ごと)について、ウェブからの来店の前の行動を、次の表にまとめてみましょう。
| 経路 | 電話 | 経路の確認 | 予約 | 合計 | データの出どころ |
|---|---|---|---|---|---|
| 自社サイト | GA4 | ||||
| Google ビジネス プロフィール | GBP の管理画面 | ||||
| ポータル サイト | 各サイトの管理画面 |
毎月この表を作り、来店数や売上の推移と並べて見ることで、どの経路が来店に貢献しているかの傾向をつかめます。
まとめ
- 店舗のビジネスでは、電話・予約・経路の確認など、来店の直前の行動をキーイベントとして計測する
- 地域のディメンションで、商圏からのアクセスを確認する(推定の値である点に注意)
- 電話のタップは
tel:のリンクで計測できるが、実際の通話の件数とは違う。必要に応じてコール トラッキングを検討する - Google ビジネス プロフィールのリンクに UTM を付け、プロフィールの電話・ルートと、サイトの行動を合わせて見る
- アンケートやクーポン、予約のデータで、ウェブの行動と実際の来店の関係を確かめる
次の章では、施策の効果を正しく検証するための A/B テストの考え方を学びます。