12.5 メディア・ブログの活用事例

読まれる記事づくりと収益化のための分析を紹介します。
応用書籍換算 約 8 ページ

この章で学ぶこと

  • メディア・ブログのサイトで見るべき KPI
  • 記事を評価するための複数の軸
  • サイト内の回遊を改善する方法
  • 広告収益とアクセス解析の関係

見るべき KPI

ニュース サイト、専門のメディア、企業のオウンド メディア、個人のブログなど、記事を読んでもらうこと が中心のサイトでは、次のような KPI を見ます。

目的ごとの KPI

サイトの目的KGI の例主な KPI
広告収益広告の収益表示回数(ページビュー)、セッションあたりの表示回数、ユーザー数
有料会員・購読有料会員の数、購読の収益会員登録数、記事の読了、再訪問の頻度
オウンド メディア(企業)問い合わせ、資料請求、ブランドの認知新規ユーザー数、エンゲージメント、自社サービスへの送客
アフィリエイト成果報酬の収益外部リンク(アフィリエイトのリンク)のクリック数

メディアで重要な指標

指標内容GA4 での見方
ユーザー数・新規ユーザー数どれくらいの人に届いているかユーザー獲得レポート
表示回数記事がどれくらい見られたかページとスクリーン レポート
セッションあたりの表示回数1 回の訪問で何ページ見たか(回遊)エンゲージメントの概要、探索
平均エンゲージメント時間記事がどれくらい読まれているかページとスクリーン レポート
読了率記事を最後まで読んだ人の割合スクロールのイベント(第 9 部)
再訪問の頻度ファンになってくれているかユーザーの維持率、コホート データ探索

ポイント メディアでは、ユーザーとの 継続的な関係 が、長期的な成長の鍵になります。新規ユーザー数だけでなく、リピートしてくれるユーザーの数(週に複数回訪れるユーザーなど)を KPI に入れておきましょう。

記事の評価軸

記事を 表示回数だけ で評価すると、検索で上位に表示されている記事や、話題になった記事ばかりが高く評価され、「質の高い記事」を見落としてしまうことがあります。

複数の軸で評価する

評価の軸指標わかること
量(届いたか)表示回数、ユーザー数、新規ユーザー数どれくらい多くの人に届いたか
質(読まれたか)平均エンゲージメント時間、読了率、エンゲージメント率内容が読者の期待に応えたか
回遊(ほかの記事も読まれたか)記事を入口にしたセッションの表示回数サイトの入口として機能しているか
成果(目的に貢献したか)会員登録、資料請求、送客のクリックサイトの目的に貢献したか
持続(長く読まれるか)公開から数か月後の表示回数一時的な話題か、長く読まれるか

記事のマトリクス

量(表示回数)と 質(平均エンゲージメント時間や読了率)の 2 つの軸で、記事を分類します。

分類状況施策の例
量が多く、質も高い主力の記事情報を最新に保つ、関連する記事への導線を充実させる
量は多いが、質が低いタイトルや検索のキーワードに期待されたものと、内容がずれている可能性冒頭で答えを示す、内容を見直す(第 8 部のリライト)
量は少ないが、質が高い良い記事なのに、見つけてもらえていないSEO の改善、SNS やメールでの紹介、サイト内の導線
量が少なく、質も低い改善の優先度は低い統合、削除、大幅な書き直しを検討する

記事の評価の注意点

注意点内容
記事の長さ長い記事ほど、平均エンゲージメント時間は長くなりやすい。記事の長さを考慮する
記事の種類ニュースの速報と、詳しい解説の記事では、適切な指標の水準が違う。種類ごとに比べる
公開からの期間公開したばかりの記事と、数年前の記事を、同じ期間で比べない
流入元検索から来た人と、SNS から来た人では、読み方が違う

ポイント 記事のカテゴリ、著者、公開日、記事の種類などを、カスタム ディメンション(イベント パラメータ)として送っておくと、「どのカテゴリの記事が読まれているか」「どの著者の記事の読了率が高いか」を分析できるようになります(第 3 部、第 9 部のデータレイヤー)。

回遊の改善

メディアでは、1 本の記事を読んで帰ってしまうのではなく、ほかの記事も読んでもらう(回遊してもらう)ことが、表示回数の増加や、ファンの獲得につながります。

回遊の状況を把握する

分析方法
記事ごとの回遊探索で、ランディング ページ別に、セッションあたりの表示回数を見る
記事の次に読まれた記事経路データ探索で、記事を起点に、次に見られたページを見る
回遊のきっかけ関連記事の枠、記事の中のリンク、ランキングの枠のクリックを計測する

回遊のきっかけを計測する

GTM で、記事のページのどの部分のリンクがクリックされたかを計測すると、どの導線が効果的かがわかります。

イベント名:select_content(推奨イベント)
パラメータ:
    content_type = related_article(関連記事の枠)/ in_article_link(本文中のリンク)/ ranking(ランキング)
    item_id = クリックされた記事の ID

回遊を増やす施策の例

施策内容
関連記事の質を上げる同じカテゴリの記事を機械的に並べるのではなく、読者が次に知りたいことに合わせて選ぶ
本文中のリンク記事の中で、詳しい説明が必要な言葉に、解説の記事へのリンクを付ける
シリーズ・特集関連する記事をまとめたページを作り、順番に読んでもらう
記事の末尾の導線記事を読み終えた人に、次に読むべき記事を提案する(読了した人は回遊しやすい)
ページの表示速度ページの表示が遅いと、回遊しにくくなる

注意 表示回数を増やすために、記事を不必要に複数のページに分割したり、関連の薄い記事に誘導したりすると、読者の満足度が下がり、長期的にはファンを失う原因になります。回遊の指標と、エンゲージメントの指標をあわせて見ましょう。

広告収益との関係

広告収益で運営されているメディアでは、アクセス解析のデータと、広告の収益のデータ を組み合わせて見ることが大切です。

広告収益の分解

広告収益 = 表示回数(ページビュー) × 1 ページあたりの広告の表示数 × 広告の単価

ページ RPM(1,000 ページビューあたりの収益)= 広告収益 ÷ 表示回数 × 1,000

GA4 と広告の配信サービスのデータ

データどこで見るか
表示回数、ユーザー、行動GA4
広告の表示回数、クリック、収益広告の配信サービス(AdSense、Google アド マネージャーなど)
ページ別の広告収益広告の配信サービスのレポート、または GA4 とのリンク(サービスによって可能)

Google AdSense や Google アド マネージャーは、GA4 とリンクできる場合があり、GA4 の「パブリッシャー広告」のレポートなどで、ページ別の広告の収益を確認できます。

広告収益とユーザー体験のバランス

指標広告を増やしすぎた場合の変化
短期の広告収益増える
平均エンゲージメント時間・読了率下がる
セッションあたりの表示回数下がる
再訪問の頻度下がる
長期の広告収益読者が減り、下がる可能性

ポイント 広告の数や配置を変えたときは、広告の収益だけでなく、エンゲージメント・回遊・再訪問 の指標も、変更の前後で比べましょう。短期の収益と、長期の読者の満足度のバランスを見ることが大切です。

まとめ

  • メディアの KPI は、サイトの目的(広告収益、有料会員、オウンド メディア、アフィリエイト)によって変わる
  • 記事は、量・質・回遊・成果・持続の複数の軸で評価し、量と質のマトリクスで改善の方向を決める
  • 記事のカテゴリや著者をカスタム ディメンションで送っておくと、記事の分析の幅が広がる
  • 回遊のきっかけ(関連記事、本文中のリンク)を計測し、読者が次に読みたい記事への導線を改善する
  • 広告収益は、表示回数と単価に分解し、エンゲージメントや再訪問とのバランスで判断する

次の章では、店舗や地域のビジネスで、ウェブから来店につなげるための活用を紹介します。