3.1 すべてはイベント
この章で学ぶこと
- GA4 におけるイベントの考え方と構造
- ページビューもイベントの一種であること
- イベントの 4 つの分類と、どれを使うべきかの判断
- イベント名の命名規則
- イベントに関する上限
イベントとは何か
GA4 のデータは、すべて イベント という単位で記録されています。イベントとは、「ユーザーがいつ、何をしたか」を表す 1 件の記録です。
イベントは、次の要素で構成されています。
| 要素 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| イベント名 | 何が起きたかを表す名前 | page_view、click、purchase |
| タイムスタンプ | いつ起きたか | 2026-10-28 10:15:32.123 |
| ユーザーの識別子 | 誰(どのブラウザ・アプリ)が行ったか | クライアント ID、User-ID |
| パラメータ | 追加の情報 | page_location、value、currency |
| 自動で付く情報 | 端末、地域、流入元など | デバイス カテゴリ、国、参照元 |
たとえば、ユーザーがブログ記事を開いたときには、次のようなイベントが記録されます。
イベント名: page_view
日時: 2026-10-28 10:15:32
ユーザー: 1234567890.1730000000
パラメータ:
page_location = https://www.example.co.jp/blog/ga4-basics/
page_title = GA4 の基本 | サンプル株式会社
page_referrer = https://www.google.com/
自動で付く情報:
デバイス = mobile、国 = Japan、ブラウザ = Safari …
GA4 のレポートに表示されるユーザー数、セッション数、表示回数、キーイベント数などは、すべてこうしたイベントの記録を集計して計算されたものです。
ポイント 「イベント」という言葉は、UA を知っている人にとっては「クリックなどの特別な行動」のイメージがあるかもしれません。GA4 では、ページの表示を含む すべての行動がイベント です。まずはこの頭の切り替えが大切です。
ページビューもイベント
GA4 では、ページの表示も page_view という名前のイベントです。UA ではページビューとイベントは別の「ヒットタイプ」でしたが、GA4 では区別がありません。
同様に、次のようなものもすべてイベントとして記録されます。
| 行動 | イベント名 |
|---|---|
| 初めてサイトを訪れた | first_visit |
| セッションが始まった | session_start |
| ページを表示した | page_view |
| ページを前面に表示していた | user_engagement |
| 90% までスクロールした | scroll |
| 外部サイトへのリンクをクリックした | click |
| 商品をカートに入れた | add_to_cart |
| 購入した | purchase |
ユーザー数やセッション数は、こうしたイベントから計算されます。たとえば「新規ユーザー数」は first_visit(アプリでは first_open)が発生したユーザーの数、「セッション数」は session_start の数をもとに計算されます。
イベント レポートで確認する
プロパティで記録されているイベントは、「レポート」→「エンゲージメント」→「イベント」で一覧できます。
| イベント名 | イベント数 | 総ユーザー数 | ユーザーあたりのイベント数 |
|---|---|---|---|
| page_view | 52,300 | 12,100 | 4.32 |
| user_engagement | 31,800 | 9,850 | 3.23 |
| session_start | 18,400 | 12,050 | 1.53 |
| first_visit | 9,200 | 9,200 | 1.00 |
| scroll | 14,600 | 6,300 | 2.32 |
| click | 2,150 | 1,420 | 1.51 |
(数値は例)
自分のプロパティでどんなイベントが記録されているかを、一度確認してみましょう。設定した覚えのないイベントがあれば、拡張計測機能や GTM、CMS のプラグインなどが送っている可能性があります。
イベントの 4 分類
GA4 のイベントは、どのように計測されるかによって、次の 4 つに分類されます。
| 分類 | 内容 | 設定・実装 | 例 |
|---|---|---|---|
| 自動収集イベント | タグを設置するだけで自動的に記録される | 不要 | first_visit、session_start、page_view、user_engagement |
| 拡張計測機能イベント | 拡張計測機能をオンにすると記録される | 管理画面でオン・オフ | scroll、click、file_download、view_search_results |
| 推奨イベント | Google が名前とパラメータを定義しているが、実装は自分で行う | 必要 | login、sign_up、generate_lead、purchase |
| カスタム イベント | 自分で名前とパラメータを決めて実装する | 必要 | cta_click、pricing_tab_change など |
どの分類を使うべきか
新しく行動を計測したいときは、次の順番で検討します。
- 自動収集・拡張計測機能で取れないか:取れるなら、新たな実装は不要
- 推奨イベントに当てはまるものはないか:あれば、その名前とパラメータで実装する
- どれにも当てはまらない場合:カスタム イベントとして実装する
推奨イベントを優先する理由は、次のとおりです。
- GA4 のレポートの一部(e コマース、収益化など)は、推奨イベントを前提にしている
- 予測指標など、推奨イベントのデータを使う機能がある
- 将来、GA4 に新しい機能が追加されたときに、自動で対応できる可能性が高い
- 名前を考える手間が省け、ほかの人が見ても意味がわかる
主な推奨イベント
推奨イベントは、すべてのサイトに共通するもの、業種別のものなどに分かれています。よく使うものを紹介します。
| イベント名 | 意味 | 主なパラメータ |
|---|---|---|
login | ログイン | method |
sign_up | 会員登録 | method |
generate_lead | 見込み顧客の獲得(問い合わせ、資料請求など) | value、currency |
search | 検索 | search_term |
share | コンテンツの共有 | method、content_type、item_id |
select_content | コンテンツの選択 | content_type、content_id |
view_item | 商品詳細の表示 | currency、value、items |
add_to_cart | カートへの追加 | currency、value、items |
begin_checkout | 購入手続きの開始 | currency、value、items |
purchase | 購入 | transaction_id、currency、value、items |
注意 推奨イベントと同じ名前で、違う意味のイベントを送ってはいけません。たとえば、メルマガ登録を
purchaseという名前で送ると、売上のレポートが正しく表示されなくなります。
予約済みのイベント名
GA4 には、自動収集イベントなどで使われるため、自分で送ってはいけないイベント名 があります。たとえば first_visit、session_start、user_engagement などがこれにあたります。また、firebase_、google_、ga_ で始まる名前も使えません。
イベント名の命名規則
カスタム イベントを作るときは、名前の付け方に一定のルールを設けておきましょう。
GA4 の技術的なルール
- 英字で始める(数字や記号から始めない)
- 使える文字は英数字とアンダースコア(
_) - 40 文字以内
- 大文字と小文字は区別される(
CTA_Clickとcta_clickは別のイベントになる)
おすすめの命名ルール
| ルール | よい例 | 悪い例 |
|---|---|---|
| すべて小文字のスネークケースにする | cta_click | CTAClick、cta-click |
| 「対象_動作」の順でそろえる | video_play、form_submit | play_video と form_submit が混在 |
| 意味がわかる名前にする | pricing_plan_select | event1、click_a |
| 値はパラメータに入れる | cta_click + cta_name=hero | cta_click_hero、cta_click_footer |
特に最後の「値はパラメータに入れる」は重要です。ボタンごとに別のイベント名を作ると、イベントの種類がどんどん増え、管理が難しくなります。イベント名は「行動の種類」にとどめ、「どのボタンか」「どのページか」といった違いはパラメータで表しましょう。
// よい例: イベント名は 1 つ、違いはパラメータで表す
gtag('event', 'cta_click', { cta_name: 'hero_contact', cta_position: 'top' });
gtag('event', 'cta_click', { cta_name: 'footer_contact', cta_position: 'bottom' });
// 悪い例: ボタンごとにイベント名を作っている
gtag('event', 'hero_contact_click');
gtag('event', 'footer_contact_click');
イベントの上限
GA4 には、イベントやパラメータに関するいくつかの上限があります。主なものを紹介します(数値は執筆時点の無料版のもの)。
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| イベント名の長さ | 40 文字 |
| 1 つのイベントに付けられるパラメータの数 | 25 個 |
| パラメータ名の長さ | 40 文字 |
| パラメータの値の長さ | 100 文字(page_location などは 1,000 文字) |
| アプリ 1 つあたりの固有のイベント名の数 | 500 種類(ウェブには明確な上限の記載なし) |
| ユーザー プロパティの数 | 25 個 |
注意 パラメータの値が上限の文字数を超えると、超えた部分は切り捨てられます。長い URL やタイトルを独自のパラメータで送る場合は注意しましょう。
上限そのものに達することは多くありませんが、「イベント名を際限なく増やさない」「1 つのイベントに詰め込みすぎない」という設計の意識は大切です。
まとめ
- GA4 のデータは、ページの表示も含めてすべてイベントとして記録される
- イベントは、イベント名・タイムスタンプ・ユーザーの識別子・パラメータなどで構成される
- イベントは「自動収集」「拡張計測機能」「推奨」「カスタム」の 4 つに分類され、推奨イベントを優先して使う
- イベント名は小文字のスネークケースで、違いはパラメータで表す
- イベント名やパラメータには文字数や個数の上限がある
次の章では、イベントに付随する追加情報である「パラメータ」と、ユーザーに紐づく「ユーザー プロパティ」について学びます。