3.2 パラメータとユーザー プロパティ
この章で学ぶこと
- パラメータの役割と、イベントとの関係
- すべてのイベントに自動で付くパラメータ
- 自分で定義するカスタム パラメータ
- ユーザーに紐づく属性を表すユーザー プロパティ
- データの単位を表す「スコープ」という考え方
パラメータの役割
前の章で、イベントは「何が起きたか」を表す記録だと説明しました。しかし、イベント名だけでは情報が足りません。たとえば page_view だけでは、どのページ が表示されたのかがわかりません。
そこで、イベントには パラメータ という追加情報を付けます。パラメータは「名前」と「値」の組み合わせです。
イベント: page_view
├─ page_location = https://www.example.co.jp/products/
├─ page_title = 製品一覧 | サンプル株式会社
└─ page_referrer = https://www.example.co.jp/
イベント: purchase
├─ transaction_id = T-20261028-0012
├─ value = 5980
├─ currency = JPY
└─ items = [ { item_id: "SKU-001", item_name: "T シャツ", price: 2990, quantity: 2 } ]
イベントとパラメータの関係は、文章にたとえると「動詞」と「目的語や補足」のようなものです。
- イベント名:「表示した」「購入した」「クリックした」(動詞)
- パラメータ:「どのページを」「いくらで」「どのボタンを」(目的語・補足)
ポイント パラメータには、文字列(テキスト)と数値のどちらも入れられます。数値のパラメータは、カスタム指標として登録すると合計や平均を計算できます(第 5 章)。
自動で付くパラメータ
ウェブのイベントには、何も設定しなくても、次のようなパラメータが自動的に付きます。
| パラメータ | 内容 |
|---|---|
page_location | イベントが発生したページの URL |
page_referrer | 直前のページの URL(参照元) |
page_title | ページのタイトル(<title> の内容) |
language | ブラウザの言語設定 |
screen_resolution | 画面の解像度 |
ga_session_id | セッションの識別子 |
ga_session_number | そのユーザーの何回目のセッションか |
engagement_time_msec | エンゲージメント時間(ミリ秒) |
このほか、デバイスの種類、OS、ブラウザ、地域(国・都道府県・市区町村)なども、イベントの送信時の情報から自動的に判定されて記録されます。こうした情報は、レポートでは「デバイス カテゴリ」「地域」などのディメンションとして使えます。
自動で付くパラメータの活用
自動で付くパラメータのうち、ga_session_number は意外と便利です。たとえば、「初回の訪問(ga_session_number = 1)で問い合わせた人」と「3 回目以降の訪問で問い合わせた人」を比べると、検討期間の長さがわかります。こうした分析は、BigQuery(第 10 部)や探索レポートで行えます。
カスタム パラメータ
自動で付くパラメータや推奨イベントのパラメータだけでは足りない場合、自分で カスタム パラメータ を定義できます。
例:記事の属性を送る
オウンドメディアで、記事のカテゴリや著者別に読まれ方を分析したい場合、page_view に次のようなパラメータを追加して送ります。
gtag('config', 'G-XXXXXXXXXX', {
article_category: 'ga4-basics',
article_author: 'yamada',
article_published: '2026-09-15',
});
config に指定したパラメータは、そのページで送られる page_view などのイベントに付きます。
例:ボタンの種類を送る
CTA ボタンのクリックをカスタム イベントで計測する場合、どのボタンかをパラメータで送ります。
gtag('event', 'cta_click', {
cta_name: 'download_whitepaper',
cta_position: 'sidebar',
});
カスタム パラメータはそのままでは見えない
注意が必要なのは、カスタム パラメータは送っただけでは標準レポートや探索レポートで使えない ことです。レポートで分析軸として使うには、カスタム ディメンション または カスタム指標 として登録する必要があります(第 5 章)。
| 状態 | DebugView | リアルタイム | 標準レポート・探索 |
|---|---|---|---|
| 送っただけ | 見える | 一部見える | 見えない |
| カスタム ディメンションに登録済み | 見える | 見える | 登録した時点以降のデータが見える |
注意 カスタム ディメンションの登録は、登録した時点以降のデータ にしか適用されません。パラメータを送り始めたら、できるだけ早く登録しましょう。
ユーザー プロパティ
パラメータは「イベント」に付く情報でした。これに対して、ユーザー プロパティ は「ユーザー」に付く情報です。
たとえば、会員サイトで「会員ランク」を分析に使いたい場合を考えてみましょう。会員ランクは、ページを見るたびに変わるものではなく、ユーザーが持っている属性です。このような情報は、ユーザー プロパティとして送ります。
gtag('set', 'user_properties', {
member_rank: 'gold',
plan_type: 'annual',
});
一度送ったユーザー プロパティは、そのユーザーのその後のイベントにも引き継がれます。値が変わった場合(会員ランクが上がったなど)は、新しい値を送り直します。
ユーザー プロパティの使いどころ
| ユーザー プロパティの例 | 分析の例 |
|---|---|
| 会員ランク | ランク別の購入頻度や、よく見るコンテンツの違い |
| 契約プラン | 無料プランと有料プランのユーザーの使い方の違い |
| 会員かどうか | 会員と非会員の回遊やキーイベント率の違い |
| 業種(BtoB で、フォームで取得した情報) | 業種別の関心のあるコンテンツ |
注意 ユーザー プロパティにも、個人を特定できる情報(氏名、メールアドレス、電話番号など)を入れてはいけません。「会員ランク」や「プラン」のように、多くの人に共通する区分を入れましょう。
ユーザー プロパティの上限
ユーザー プロパティは、1 つのプロパティにつき 25 個まで登録できます(執筆時点)。また、パラメータと同様に、レポートで使うには ユーザー スコープのカスタム ディメンション として登録する必要があります。
スコープという考え方
パラメータとユーザー プロパティの違いを理解するには、スコープ という考え方が役に立ちます。スコープとは、「その情報がどの単位に紐づいているか」を表すものです。
GA4 には、主に次の 4 つのスコープがあります。
| スコープ | 紐づく単位 | 例 |
|---|---|---|
| イベント | 1 件のイベント | ページ URL、クリックしたボタン名 |
| セッション | 1 回の訪問 | セッションの参照元、ランディング ページ |
| ユーザー | 1 人のユーザー | 会員ランク、最初の参照元、デバイス |
| アイテム | e コマースの 1 つの商品 | 商品名、商品カテゴリ、ブランド |
スコープが違うと、数値の意味が変わる
スコープを意識しないと、レポートの数値を読み違えることがあります。たとえば、「参照元」に関するディメンションには、スコープの異なる 3 種類があります。
| ディメンション | スコープ | 意味 |
|---|---|---|
| 最初のユーザーの参照元 | ユーザー | そのユーザーが初めて来たときの参照元 |
| セッションの参照元 | セッション | そのセッションが始まったときの参照元 |
| 参照元 | イベント | そのイベントに紐づく参照元(キーイベントのアトリビューションに使われる) |
同じユーザーが、最初は検索から来て、2 回目は SNS から来た場合、「最初のユーザーの参照元」は検索のまま、「セッションの参照元」は 2 回目のセッションでは SNS になります。どちらのディメンションを使うかで、「SNS の貢献」の見え方が大きく変わるのです(第 4 部)。
スコープの組み合わせの注意
スコープの異なるディメンションと指標を組み合わせると、意図しない結果になることがあります。
- ユーザー スコープのディメンション × イベント数:そのユーザーのすべてのイベントが、そのディメンションの値に集計される
- イベント スコープのディメンション × ユーザー数:1 人のユーザーが複数の値に重複して数えられ、合計が全体のユーザー数より多くなることがある
たとえば、「ページ タイトル」(イベント スコープ)ごとに「ユーザー数」を表示すると、複数のページを見た人はそれぞれのページで 1 人ずつ数えられます。そのため、各行のユーザー数を足し合わせても、全体のユーザー数にはなりません。
ポイント レポートの行を足し合わせて全体を計算するのは、スコープによっては正しくありません。合計が必要なときは、表の一番上に表示される合計値を使いましょう。
まとめ
- パラメータは、イベントに付く「どのページか」「いくらか」などの追加情報である
- ウェブでは、ページの URL やタイトル、セッションの情報などのパラメータが自動で付く
- カスタム パラメータは、カスタム ディメンションやカスタム指標として登録しないとレポートで使えない
- ユーザー プロパティは、会員ランクなどユーザーに紐づく属性を表す
- 情報が紐づく単位を「スコープ」と呼び、イベント・セッション・ユーザー・アイテムの 4 つがある
次の章では、GA4 がユーザーをどのように見分けているのか、識別子の仕組みを詳しく見ていきます。