4.2 ユーザー系の指標
この章で学ぶこと
- 「総ユーザー数」の意味と使いどころ
- GA4 で「ユーザー」と言えば基本的に指す「アクティブ ユーザー数」
- 新規ユーザーとリピーター(再訪問ユーザー)の数え方
- DAU / WAU / MAU と、その比率でわかること
- ユーザーの粘着性(定着度)の考え方
総ユーザー数
GA4 には、ユーザーを数える指標がいくつかあります。まずは全体像を確認しましょう。
| 指標 | 数える対象 | レポートでの表示 |
|---|---|---|
| 総ユーザー数 | 期間内に 1 回以上イベントを記録したユーザー | 「総ユーザー数」 |
| アクティブ ユーザー数 | 期間内にアクティブだった(エンゲージメントがあったなど)ユーザー | 多くのレポートで「ユーザー」「アクティブ ユーザー」 |
| 新規ユーザー数 | 期間内に初めて訪れたユーザー | 「新規ユーザー数」 |
| リピーター数 | 期間内に、過去にも訪れたことがあり、再び訪れたユーザー | 「リピーター数」(探索などで利用) |
総ユーザー数 は、期間内にサイトやアプリで何らかのイベントを記録した、すべてのユーザーの数です。最も単純な「来た人の数」と考えてかまいません。
総ユーザー数の使いどころ
総ユーザー数は、UA で「ユーザー」として表示されていた指標に近い考え方です。次のような場面で使います。
- サイトに訪れた人の「最大規模」を知りたいとき
- アクティブ ユーザー数と比べて、すぐに離脱した人(アクティブでない人)がどれくらいいるかを知りたいとき
ただし、GA4 の標準レポートでは、多くの場合「アクティブ ユーザー数」が「ユーザー」として表示されます。総ユーザー数を見るには、探索レポートを使うか、レポートをカスタマイズして指標を追加します。
アクティブ ユーザー数
アクティブ ユーザー数 は、GA4 で最も重視されているユーザーの指標です。GA4 の標準レポートで「ユーザー」と書かれている場合、基本的にはこのアクティブ ユーザー数を指しています。
アクティブ ユーザーとは、期間内に次のいずれかを満たしたユーザーです。
- エンゲージのあったセッションがあった
- 初めて訪れた(ウェブの
first_visit、アプリのfirst_open) - エンゲージメント時間が記録された(ウェブ・アプリでの
engagement_time_msecが 0 より大きい)
つまり、サイトを開いてすぐに閉じたような、ほとんど関わりのなかったユーザーを除いた数 と考えるとわかりやすいでしょう。
ポイント 定義の細部は GA4 の仕様の更新によって変わることがありますが、「アクティブ ユーザー ≒ 実際にサイトを利用したユーザー」という考え方は変わりません。社内のレポートで「ユーザー数」と書くときは、総ユーザー数かアクティブ ユーザー数かを明記しておきましょう。
総ユーザー数との関係
一般的に、次の関係が成り立ちます。
総ユーザー数 ≧ アクティブ ユーザー数
両者の差が大きい場合は、「来たけれど、ほとんど何もせずに離れた人」が多いことを意味します。広告のランディング ページなどで、差が大きくなっていないかを確認してみましょう。
新規ユーザー数と再訪問
新規ユーザー数
新規ユーザー数 は、期間内に初めてサイトやアプリを訪れたユーザーの数です。ウェブでは first_visit、アプリでは first_open のイベントが発生したユーザーを数えます。
新規ユーザー数は、主に 集客の成果 を見るために使います。
- 広告やキャンペーンで、新しい人にどれだけリーチできたか
- SEO の取り組みで、検索から新しく来る人が増えたか
- SNS で話題になったときに、どれだけ新しい人が来たか
リピーター(再訪問ユーザー)
リピーター は、過去にも訪れたことがあり、期間内に再び訪れたユーザーです。「新規 / リピーター」の区分は、「新規 / 既存」というディメンションで分けて見ることができます。
| ディメンション「新規 / 既存」の値 | 意味 |
|---|---|
| new | その期間に初めて訪れたユーザー |
| returning | 以前にも訪れたことがあるユーザー |
新規とリピーターの合計は総ユーザー数にならない
注意したいのは、「新規ユーザー数 + リピーター数」が、総ユーザー数やアクティブ ユーザー数と一致しないことがある点です。
たとえば、10 月 1 日に初めて訪れ、10 月 20 日にもう一度訪れた人を、10 月 1 日〜31 日の期間で見た場合、この人は「新規ユーザー」にも「リピーター」にも数えられます。
10 月 1 日 初めて訪問 → 新規ユーザーとして数えられる
10 月 20 日 再び訪問 → リピーターとしても数えられる
期間(10/1〜10/31)のユーザー数 → 1 人
新規 1 人 + リピーター 1 人 = 2 人(重複)
注意 第 3 部で説明したとおり、Cookie の制限などにより、本当はリピーターなのに新規ユーザーとして数えられることがあります。そのため、新規ユーザーの割合は実際よりも高めに出る傾向があります。
DAU / WAU / MAU
DAU / WAU / MAU は、一定期間内のアクティブ ユーザー数を表す指標で、特にアプリやサービスの利用状況を見るときによく使われます。
| 指標 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| DAU | Daily Active Users | 1 日のアクティブ ユーザー数 |
| WAU | Weekly Active Users | 過去 7 日間のアクティブ ユーザー数 |
| MAU | Monthly Active Users | 過去 30 日間のアクティブ ユーザー数 |
GA4 では、「ユーザー スナップショット」や、レポートのカスタマイズ、探索の指標として、「1 日のアクティブ ユーザー数」「7 日間のアクティブ ユーザー数」「30 日間のアクティブ ユーザー数」が用意されています。
期間のユーザー数は日別の合計ではない
前の章でも触れたように、月間のユーザー数は、日別のユーザー数を足したものではありません。同じ人が何日も訪れれば、日別の数では毎日 1 人ずつ数えられますが、月間では 1 人として数えられます。
ユーザー A:10 月 1 日、2 日、3 日に訪問
日別のユーザー数の合計 = 3
10 月 1〜3 日の期間のユーザー数 = 1
そのため、「DAU × 30 = MAU」にはなりません。月間の数値が必要なときは、期間を 1 か月に指定して表示した数値を使いましょう。
ユーザーの粘着性
粘着性(スティッキネス)は、ユーザーがどれくらい頻繁に戻ってくるかを表す考え方です。DAU / MAU などの比率で表します。
| 指標 | 計算 | 意味 |
|---|---|---|
| DAU / MAU | 1 日のアクティブ ユーザー数 ÷ 30 日間のアクティブ ユーザー数 | 月に来る人のうち、毎日来る人の割合 |
| DAU / WAU | 1 日のアクティブ ユーザー数 ÷ 7 日間のアクティブ ユーザー数 | 週に来る人のうち、毎日来る人の割合 |
| WAU / MAU | 7 日間のアクティブ ユーザー数 ÷ 30 日間のアクティブ ユーザー数 | 月に来る人のうち、毎週来る人の割合 |
たとえば DAU / MAU が 20% なら、月に 1 回以上来る人のうち、平均して 5 人に 1 人が毎日来ている、という意味になります。
サイトの種類による違い
粘着性の高さは、サイトやサービスの種類によって大きく異なります。
| サイトの種類 | 粘着性 | 理由 |
|---|---|---|
| SNS、メッセージ アプリ、ニュース | 高い | 毎日使うことが前提のサービス |
| 業務用の SaaS | 高め(平日) | 仕事で毎日使う |
| EC サイト | 低め | 買い物は毎日するものではない |
| BtoB の製品サイト | 低い | 検討期間中に数回訪れる程度 |
| 不動産、自動車、ブライダル | 低い | 一生に数回しか検討しない |
粘着性が低いこと自体は悪いことではありません。BtoB の製品サイトに毎日来る人はほとんどいないのが普通です。自社のサイトの性質に合った指標を選ぶ ことが大切です。
ポイント 粘着性は、過去の自社の数値と比べたり、施策(メルマガ、プッシュ通知、新機能の追加など)の前後で比べたりすると、効果を判断する材料になります。
よくある質問
Q. レポートの「ユーザー」は、総ユーザー数とアクティブ ユーザー数のどちらですか。
A. GA4 の標準レポートで「ユーザー」と表示される指標は、多くの場合 アクティブ ユーザー数 です。探索で指標を選ぶときは、「総ユーザー数」と「アクティブ ユーザー数」の両方があるので、どちらを使っているかを確認しましょう。社内の資料に載せるときは、どちらの指標かを明記すると、数値の食い違いの議論を防げます。
Q. 日別のユーザー数を合計すると、月間のユーザー数より大きくなります。
A. 同じユーザーが複数の日に訪れると、日別のユーザー数ではそれぞれの日に 1 人ずつ数えられますが、月間のユーザー数では 1 人として数えられます。そのため、日別の合計は月間の値より大きくなります。ユーザー数は 足し算できない指標 です(この部の第 1 章)。
Q. 新規ユーザーが多すぎる気がします。
A. GA4 の新規ユーザーは、Cookie などの識別子が新しいユーザーです。Cookie の削除、ブラウザの違い、スマホとパソコンの使い分け、アプリ内ブラウザ(第 8 部)などで、同じ人が新規ユーザーとして何度も数えられることがあります。User-ID を使うと、ログインしているユーザーについては、より正確になります(第 3 部)。
Q. DAU / MAU は、どのくらいが良い値ですか。
A. サービスの性質によって大きく違います。毎日使うことを想定したアプリと、月に数回見るだけの企業のサイトでは、適切な水準がまったく違います。他社と比べるより、自社の推移(施策のあとに上がったか)を見るのがおすすめです。
実践ワーク
探索の自由形式で、次の表を作ってみましょう。
| 行 | 値 |
|---|---|
| 月(年月) | 総ユーザー数、アクティブ ユーザー数、新規ユーザー数 |
過去 6 か月分の表ができたら、次のことを確認します。
- 総ユーザー数とアクティブ ユーザー数の差は、月ごとに大きく変わっていないか
- 新規ユーザー数がアクティブ ユーザー数に占める割合は、どれくらいか(新規の割合が高いほど、リピーターが少ない)
- 新規ユーザーの割合が急に変わった月に、何があったか(広告、SNS での話題、サイトの変更など)
確認した結果を、「集客の力(新規ユーザー)」と「定着の力(リピーター)」の 2 つの観点で、1 行ずつまとめてみましょう。
まとめ
- GA4 の標準レポートの「ユーザー」は、基本的にアクティブ ユーザー数を指す
- 総ユーザー数は「来た人すべて」、アクティブ ユーザー数は「実際に利用した人」に近い
- 新規ユーザー数は集客の成果を、リピーターは継続利用の状況を見るために使う
- 期間のユーザー数は日別のユーザー数の合計ではない
- DAU / MAU などの比率で粘着性を見られるが、サイトの性質に合わせて評価する
次の章では、セッションに関する指標と、GA4 で新しくなった「エンゲージメント率」「直帰率」の定義を詳しく見ていきます。