4.3 セッション系の指標
この章で学ぶこと
- セッション数の意味と、増減を読むときの注意点
- 「エンゲージのあったセッション」の 3 つの条件
- エンゲージメント率の読み方
- GA4 で再定義された直帰率
- ユーザーあたりのセッション数でわかること
セッション数
セッション数 は、期間内に始まったセッション(訪問)の数です。第 3 部で説明したとおり、GA4 では session_start イベントをもとに、ユーザーごとのセッションの識別子の数を数えています。
セッション数は、サイトへの 訪問の量 を表す最も基本的な指標です。ユーザー数が「何人来たか」なのに対して、セッション数は「何回来たか」を表します。
ユーザー A:月に 3 回訪問
ユーザー B:月に 1 回訪問
→ ユーザー数 2、セッション数 4
セッション数の増減を読む
セッション数が増えた(減った)ときは、次の 2 つに分解して考えると原因を探しやすくなります。
セッション数 = ユーザー数 × ユーザーあたりのセッション数
- ユーザー数が増えた:新しい人が来るようになった(集客の変化)
- ユーザーあたりのセッション数が増えた:同じ人が何度も来るようになった(再訪の変化)
さらに、チャネルごとに分解すると、どの流入経路で変化が起きたのかがわかります。
ポイント セッション数が急に増えたときは、喜ぶ前に「ボットやスパムではないか」を確認しましょう。特定の国や参照元から、エンゲージメント率が極端に低いセッションが急増している場合は、不正なアクセスの可能性があります(第 11 部)。
エンゲージのあったセッション数
エンゲージのあったセッション は、GA4 で新しく導入された考え方で、「ユーザーがある程度サイトに関わった」と判断できるセッションのことです。
次の 3 つの条件のいずれか を満たすと、エンゲージのあったセッションになります。
| 条件 | 内容 | 既定値 |
|---|---|---|
| 継続時間 | セッションがフォアグラウンド(画面の前面)で一定時間以上続いた | 10 秒以上 |
| キーイベント | キーイベントが 1 回以上発生した | — |
| 表示回数 | ページ(アプリではスクリーン)が 2 回以上表示された | 2 回以上 |
たとえば、ブログ記事を開いて 3 分間読み、そのまま閉じたセッションは、1 ページしか見ていなくても「10 秒以上継続」の条件を満たすので、エンゲージのあったセッションになります。
継続時間の条件の変更
継続時間の条件(既定 10 秒)は、管理画面の「データストリーム」→ ウェブ ストリーム →「タグ設定を行う」→「エンゲージメントのあったセッションの時間を調整する」で、10 秒〜60 秒の範囲で変更できます。
| サイトの特徴 | 考え方 |
|---|---|
| 一般的なサイト | 既定の 10 秒のままでよい |
| 長文の記事が中心で、10 秒では「読んだ」と言えない | 30 秒などに長くする |
| ほかのサイトと比較したい | 既定のままにしておく |
注意 この設定を変えると、変更した時点以降のエンゲージメント率や直帰率が変わります。変更する場合は、日付を記録しておきましょう。
エンゲージメント率
エンゲージメント率 は、セッション全体のうち、エンゲージのあったセッションの割合です。
エンゲージメント率 = エンゲージのあったセッション数 ÷ セッション数
エンゲージメント率は、訪問の質 を表す指標として使います。
エンゲージメント率の使い方
エンゲージメント率は、それ単体の高い・低いよりも、比較 して使うのが効果的です。
| 比較の切り口 | わかること |
|---|---|
| チャネル別 | どの流入経路のユーザーが、サイトに関わってくれているか |
| ランディング ページ別 | どの入口のページが、ユーザーを引き込めているか |
| デバイス別 | スマホでの使いにくさがないか |
| 期間の前後 | サイトの改善やリニューアルの効果 |
| 広告のキャンペーン別 | 広告の訴求とランディング ページが合っているか |
たとえば、広告から来たセッションのエンゲージメント率が、自然検索に比べて極端に低い場合、広告の訴求内容とランディング ページの内容がずれている可能性があります。
エンゲージメント率の目安
エンゲージメント率の「よい値」は、サイトの種類や流入の構成によって大きく異なるため、一概には言えません。一般的には 50〜70% 程度のサイトが多いと言われますが、あくまで参考程度にとどめ、自社の過去の値やチャネル間の比較 で判断しましょう。
直帰率の再定義
UA で最もよく使われていた 直帰率 は、GA4 では定義が大きく変わりました。
| UA の直帰率 | GA4 の直帰率 | |
|---|---|---|
| 定義 | 1 ページだけ閲覧して終わったセッションの割合 | エンゲージのなかったセッションの割合 |
| 計算 | 直帰したセッション数 ÷ セッション数 | 1 − エンゲージメント率 |
| 3 分間記事を読んで帰ったセッション | 直帰 | 直帰ではない |
| 5 秒でボタンを押して別ページへ移動 | 直帰ではない | 直帰ではない |
| 5 秒で閉じた | 直帰 | 直帰 |
GA4 の直帰率は、エンゲージメント率のちょうど裏返しです。
直帰率 = 100% − エンゲージメント率
直帰率とエンゲージメント率のどちらを使うか
どちらも同じ情報を表しているので、社内でどちらかに統一すれば十分です。
- エンゲージメント率:高いほうがよい指標。GA4 の標準レポートで主に表示される
- 直帰率:低いほうがよい指標。UA に慣れた人にはなじみがある。標準レポートには初期状態では表示されないことがあり、レポートのカスタマイズや探索で追加する
注意 UA 時代の直帰率と、GA4 の直帰率を比べてはいけません。定義が違うため、「GA4 にしたら直帰率が下がった」としても、サイトが改善されたわけではありません。
ユーザーあたりのセッション数
ユーザーあたりのセッション数 は、期間内に 1 人のユーザーが平均して何回訪れたかを表します。
ユーザーあたりのセッション数 = セッション数 ÷ アクティブ ユーザー数
この指標は、ユーザーが 繰り返し訪れているか を見るのに役立ちます。
| 値の傾向 | 考えられる状況 |
|---|---|
| 1 に近い | ほとんどのユーザーが 1 回しか来ない。一度きりの情報収集が中心 |
| 1.5〜2 程度 | ある程度の人が繰り返し来ている |
| 3 以上 | 頻繁に訪れるユーザーが多い(会員サービス、業務ツールなど) |
期間によって値が変わる
ユーザーあたりのセッション数は、期間を長くすると大きくなります。1 日では 1 回しか来ない人も、1 か月では何回か来ることがあるからです。比較するときは、同じ長さの期間どうし で比べましょう。
関連する指標
セッションの質を表す指標には、次のようなものもあります。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| ユーザーあたりのエンゲージのあったセッション数 | 1 人あたりの「関わりのあった訪問」の回数 |
| セッションあたりの表示回数 | 1 回の訪問で見られたページ数(回遊の深さ) |
| セッションあたりの平均エンゲージメント時間 | 1 回の訪問で、ページを前面に表示していた平均時間 |
| セッションのキーイベント率 | キーイベントが発生したセッションの割合 |
よくある質問
Q. エンゲージメント率は、どのくらいなら良いと言えますか。
A. エンゲージメント率の水準は、サイトの種類、流入元、ページの役割によって大きく違うため、一律の基準はありません。たとえば、1 ページで答えがわかる用語の解説の記事と、複数のページを見て比べる EC サイトでは、適切な水準が違います。他社の平均と比べるよりも、自社の中で、チャネル別・ページ別・期間別に比べる のがおすすめです。
Q. 10 秒以上滞在したのに、エンゲージメントのあったセッションにならないことはありますか。
A. エンゲージメントの時間は、ページが 前面に表示されている 時間で数えます。ページを開いたまま別のタブを見ていた時間は含まれません。また、10 秒経つ前にページを閉じた場合や、タグの送信が届かなかった場合も、エンゲージメントとして記録されないことがあります。
Q. エンゲージメントのあったセッションの「10 秒」は変えられますか。
A. ウェブのデータストリームの設定(タグの設定の中の「セッションのタイムアウトを調整する」など)で、エンゲージメントのあったセッションの判定に使う時間を変更できます。ただし、変更すると、変更前と後でエンゲージメント率を比べられなくなります。変更する場合は、理由と日付を記録しておきましょう。
Q. UA の直帰率と、GA4 の直帰率を比べてもよいですか。
A. 定義が違うため、そのまま比べることはできません。UA の直帰率は「1 ページだけ見て離脱したセッションの割合」、GA4 の直帰率は「エンゲージメントのなかったセッションの割合」です。1 ページだけ見て帰っても、10 秒以上読んでいれば、GA4 では直帰になりません。
実践ワーク
自社のサイトで、セッション系の指標を、次の 3 つの切り口で比べてみましょう。
| 切り口 | 比べる指標 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| チャネル別 | セッション数、エンゲージメント率 | エンゲージメント率が極端に低いチャネルはないか(広告の訴求とページのずれ、スパム) |
| デバイス別 | エンゲージメント率、ユーザーあたりのセッション数 | スマホの値がパソコンより大きく低くないか(表示や操作の問題) |
| ランディング ページ別 | セッション数、エンゲージメント率 | 入口として多く使われているのに、エンゲージメント率が低いページはないか |
比べた結果から、エンゲージメント率が低い組み合わせを 1 つ選び、「なぜ低いのか」の仮説を 3 つ書き出してみましょう。仮説を確かめる方法(ページを実際に見る、スクロールの計測を見る、など)もあわせて考えると、次の分析につながります。
まとめ
- セッション数は訪問の量を表し、「ユーザー数 × ユーザーあたりのセッション数」に分解して読む
- エンゲージのあったセッションは、10 秒以上の継続・キーイベントの発生・2 回以上の表示のいずれかを満たすセッション
- エンゲージメント率は訪問の質を表し、チャネルやランディング ページで比較して使う
- GA4 の直帰率は「100% − エンゲージメント率」で、UA の直帰率とは比べられない
- ユーザーあたりのセッション数で、繰り返し訪れているかがわかる
次の章では、ユーザーがどれくらいの時間サイトに関わったかを表す、エンゲージメント系の指標を見ていきます。