4.4 エンゲージメント系の指標

滞在時間やエンゲージメント時間の仕組みと読み方を学びます。
基礎書籍換算 約 10 ページ

この章で学ぶこと

  • 平均エンゲージメント時間の意味と計算方法
  • エンゲージメント時間を計測する user_engagement イベントの仕組み
  • UA の「滞在時間」との違い
  • 表示回数とイベント数の読み方
  • ページ単位で指標を見るときの注意点

平均エンゲージメント時間

エンゲージメント時間 とは、ユーザーがサイトやアプリを 画面の前面に表示していた時間 のことです。ブラウザのタブが表示されている(ほかのタブに切り替えたり、ウィンドウを最小化したりしていない)時間を計測しています。

GA4 には、エンゲージメント時間に関する指標がいくつかあります。

指標計算意味
ユーザー エンゲージメントエンゲージメント時間の合計期間内にユーザーがサイトを前面に表示していた時間の総量
平均エンゲージメント時間(アクティブ ユーザーあたり)エンゲージメント時間の合計 ÷ アクティブ ユーザー数1 人のユーザーが平均してどれくらいの時間サイトを見ていたか
セッションあたりの平均エンゲージメント時間エンゲージメント時間の合計 ÷ セッション数1 回の訪問で平均してどれくらいの時間サイトを見ていたか

標準レポートでは、主に「平均エンゲージメント時間」(アクティブ ユーザーあたり)が表示されます。名前が似ているので、「1 人あたり」か「1 セッションあたり」か を意識して読みましょう。

例)期間内の数値
エンゲージメント時間の合計 = 300,000 秒
アクティブ ユーザー数 = 5,000 人
セッション数 = 7,500 回

平均エンゲージメント時間(ユーザーあたり) = 300,000 ÷ 5,000 = 60 秒
セッションあたりの平均エンゲージメント時間 = 300,000 ÷ 7,500 = 40 秒

エンゲージメント時間の使い方

エンゲージメント時間は、コンテンツがどれくらい見られているか を判断する材料になります。

  • 記事ページのエンゲージメント時間が長い → しっかり読まれている可能性が高い
  • 製品ページのエンゲージメント時間が短い → 内容が伝わっていない、または必要な情報がすぐに見つかった
  • 広告のランディング ページのエンゲージメント時間が極端に短い → 期待と内容がずれている可能性がある

ただし、「長ければよい」とは限りません。問い合わせ先を探しに来た人にとっては、すぐに見つかって短時間で済むほうが良い体験です。ページの目的に照らして 判断しましょう。

user_engagement イベント

エンゲージメント時間は、user_engagement という自動収集イベントによって計測されています。

仕組み

  1. ページが画面の前面に表示されている間、GA4 のタグはその時間を計測し続ける
  2. ユーザーがページを離れる、タブを切り替える、ウィンドウを閉じるなどのタイミングで、計測した時間を engagement_time_msec パラメータ(ミリ秒)に入れて送る
  3. ほかのイベント(page_view や scroll など)にも、前回の送信以降に計測した時間が付いて送られることがある
10:00:00  page_view(ページを開く)
10:00:45  scroll(engagement_time_msec = 45000)
10:01:30  別のタブに切り替え → user_engagement(engagement_time_msec = 45000)
10:05:00  タブに戻る(計測を再開)
10:05:20  ページを閉じる → user_engagement(engagement_time_msec = 20000)
→ このページのエンゲージメント時間は合計 110 秒

タブを切り替えていた 10:01:30〜10:05:00 の間は、エンゲージメント時間に含まれません。

ポイント ページを閉じる瞬間のイベントは、ブラウザやネットワークの状況によって送信に失敗することがあります。エンゲージメント時間は、わずかに短めに計測される可能性があることを覚えておきましょう。

UA の滞在時間との違い

UA の「平均セッション時間」や「平均ページ滞在時間」は、計算の方法がまったく異なっていました。

UA の計算方法

UA では、次のページを開いた時刻との差 で滞在時間を計算していました。

10:00  ページ A を表示
10:03  ページ B を表示 → ページ A の滞在時間 = 3 分
10:10  ページを閉じる → ページ B の滞在時間 = 0 秒(次のページがないため計算できない)

この方式には、次のような問題がありました。

  • 最後に見たページの滞在時間は計算できない(0 秒として扱われる)
  • 1 ページだけ見て帰ったセッションの時間は 0 秒 になる
  • ページを開いたまま別のタブで作業していた時間も、滞在時間に含まれる

GA4 との比較

状況UA の滞在時間GA4 のエンゲージメント時間
1 ページだけを 3 分間読んで閉じた0 秒約 3 分
ページを開いたまま、別のタブで 30 分作業してから戻り、閉じた0 秒または長時間前面に表示していた時間のみ
ページ A(2 分)→ ページ B(1 分)で閉じたページ A の 2 分のみ合計約 3 分

GA4 のエンゲージメント時間は、実際にユーザーがページを見ていた時間に近い 指標になっています。そのため、UA の滞在時間と GA4 のエンゲージメント時間を比べても意味はありません。

表示回数とイベント数

表示回数

表示回数 は、ページ(アプリではスクリーン)が表示された回数です。ウェブの page_view とアプリの screen_view の合計を数えます。UA の「ページビュー数」にあたる指標です。

同じページを何度表示しても、そのたびに 1 回として数えられます。ページを再読み込みした場合も 1 回追加されます。

指標意味
表示回数ページ・スクリーンが表示された総回数
ユーザーあたりのビュー1 人のユーザーが平均して何回ページを表示したか
セッションあたりの表示回数1 回の訪問で平均して何ページ見たか

注意 UA には「ページ別訪問数」(同じセッションで同じページを何度見ても 1 回と数える指標)がありましたが、GA4 には同じ名前の指標はありません。ページを見たセッションの数を知りたい場合は、探索レポートでページのディメンションと「セッション数」を組み合わせます。

イベント数

イベント数 は、イベントが発生した回数です。イベント名ごとに見ると、それぞれの行動が何回行われたかがわかります。

イベント数を読むときは、「回数」と「人数」を区別する ことが大切です。

イベント名イベント数総ユーザー数ユーザーあたりのイベント数
file_download1,2003004.0
cta_click9008001.1

(数値は例)

この例では、ファイルのダウンロードは 1,200 回行われていますが、ダウンロードした人は 300 人で、1 人が平均 4 回ダウンロードしています。一方、CTA のクリックは、ほとんどの人が 1 回ずつ押しています。

「回数」で見るか「人数」で見るかによって、施策の評価が変わることがあります。たとえば、資料のダウンロード数を KPI にする場合、同じ人が何度もダウンロードした回数を数えるべきか、ダウンロードした人の数を数えるべきかを、あらかじめ決めておきましょう。

ページあたりの指標の注意点

「ページとスクリーン」レポートなどで、ページごとの指標を見るときには、いくつか注意点があります。

1. ページのエンゲージメント時間の意味

ページ別の「平均エンゲージメント時間」は、そのページが前面に表示されていた時間の、ユーザーあたりの平均 です。そのページを見た人が、そのページだけを見ていた時間なので、記事の読まれ方を比べるのに使えます。

2. ページ別のユーザー数は合計できない

第 3 部でも説明したとおり、ページ別のユーザー数を足し合わせても、サイト全体のユーザー数にはなりません。複数のページを見た人が、それぞれのページで数えられるからです。

3. セッションの指標はランディング ページで見る

エンゲージメント率やキーイベント率など セッション単位の指標 を、ページ別に見るときは注意が必要です。「ページとスクリーン」レポートのページ パスとセッションの指標を組み合わせると、そのページを含むセッションの値が集計されるため、解釈が難しくなります。

セッションの質をページ別に評価したいときは、ランディング ページ(セッションの最初のページ)を使うのが基本です。「どのページから入ったセッションが、エンゲージメントやキーイベントにつながっているか」を見られます(第 7 章)。

4. 表示回数の少ないページは判断を保留する

表示回数が数十回程度のページでは、エンゲージメント時間などの平均値が、数人の行動に大きく左右されます。判断するときは、一定以上の表示回数があるページに絞りましょう(第 9 章)。

まとめ

  • エンゲージメント時間は、ページが画面の前面に表示されていた時間で、user_engagement イベントで計測される
  • 平均エンゲージメント時間には「ユーザーあたり」と「セッションあたり」があるので区別する
  • UA の滞在時間とは計算方法がまったく違うため、比較してはいけない
  • 表示回数はページの表示の総回数、イベント数はイベントの発生回数で、「回数」と「人数」を区別して読む
  • ページ別に指標を見るときは、合計できないことや、セッションの指標はランディング ページで見ることに注意する

次の章では、キーイベントや収益など、成果に関わる指標を見ていきます。