4.6 流入元のディメンション
この章で学ぶこと
- 参照元とメディアの意味と組み合わせ
- デフォルト チャネル グループの分類
- ユーザー・セッション・イベント単位の流入元ディメンションの違い
- キャンペーンと UTM パラメータの関係
- (not set) と (direct) が表示される理由
参照元 / メディア
ユーザーがどこからサイトに来たのかを表す、最も基本的なディメンションが 参照元(ソース)と メディア です。
| ディメンション | 意味 | 値の例 |
|---|---|---|
| 参照元 | ユーザーが来た元のサイトやサービス | google、yahoo、bing、facebook.com、newsletter、(direct) |
| メディア | 流入の種類 | organic(自然検索)、cpc(クリック課金広告)、referral(他サイトのリンク)、email、(none) |
2 つを組み合わせた「参照元 / メディア」として見ることが多く、次のように表示されます。
| 参照元 / メディア | 意味 |
|---|---|
| google / organic | Google の自然検索 |
| google / cpc | Google 広告(検索広告など) |
| yahoo / organic | Yahoo! の自然検索 |
| facebook.com / referral | Facebook のリンク(UTM なし) |
| newsletter / email | メールマガジン(UTM で指定した場合) |
| (direct) / (none) | 参照元がわからない流入(ブックマーク、URL の直接入力など) |
参照元とメディアはどう決まるか
GA4 は、ユーザーがサイトに来たときに、次の情報から参照元とメディアを判定します。
- UTM パラメータ:URL に
utm_sourceやutm_mediumが付いていれば、その値を使う - 広告のクリック ID:Google 広告の
gclidなどが付いていれば、広告の流入として判定する - 参照元 URL(リファラー):直前のページの URL から判定する。検索エンジンなら
organic、それ以外のサイトならreferral - いずれもない:
(direct) / (none)とする
UTM パラメータが最も優先されるため、自分で URL を管理できる流入(メール、SNS の投稿、広告など)には UTM パラメータを付けておくと、正確に区別できます(第 8 部)。
デフォルト チャネル グループ
参照元 / メディアは細かすぎて、全体の傾向がつかみにくいことがあります。そこで使うのが デフォルト チャネル グループ です。GA4 があらかじめ決めたルールに従って、流入を大まかな「チャネル」に分類したものです。
| チャネル | 主な判定条件(概要) | 例 |
|---|---|---|
| Organic Search | 検索エンジンからの、広告以外の流入 | google / organic |
| Paid Search | 検索エンジンからの広告の流入 | google / cpc |
| Direct | 参照元が (direct) でメディアが (none) または (not set) | ブックマーク、URL の直接入力 |
| Referral | ほかのサイトのリンクからの流入 | example.com / referral |
| Organic Social | SNS からの、広告以外の流入 | facebook.com / referral、x / social |
| Paid Social | SNS からの広告の流入 | facebook / paid_social |
メディアが email、e-mail など | newsletter / email | |
| Display | ディスプレイ広告 | メディアが display、banner など |
| Paid Video / Organic Video | 動画サイトからの広告・広告以外の流入 | youtube.com / referral |
| Affiliates | アフィリエイト | メディアが affiliate |
| Cross-network | Google 広告の P-MAX など、複数のネットワークにまたがる広告 | — |
| Unassigned | どのルールにも当てはまらない | 独自の UTM の値など |
ポイント 「Unassigned」が多い場合は、UTM パラメータの
utm_mediumに、GA4 が認識できない独自の値(例:sns、line_postなど)を使っている可能性があります。チャネルの判定ルールに合う値(socialなど)に統一しましょう(第 8 部)。
SNS の判定
SNS からの流入は、参照元のドメイン(facebook.com、instagram.com、t.co、line.me など)が、GA4 の持つ SNS のサイトの一覧に含まれているかで判定されます。
ただし、スマホの SNS アプリの中から外部のサイトを開いた場合、リファラーが送られず (direct) になってしまうことがあります。SNS の投稿には、UTM パラメータを付けておくのが確実です(第 8 部)。
ユーザー・セッション・イベント単位の違い
第 3 部と第 1 章で説明したとおり、流入元のディメンションには、スコープの異なる 3 つの種類があります。これは GA4 の流入元の分析で最も混乱しやすいポイントなので、もう一度詳しく見ておきましょう。
| 種類 | ディメンションの名前の例 | 意味 | 主なレポート |
|---|---|---|---|
| ユーザー スコープ | 最初のユーザーの参照元 / メディア、最初のユーザーのデフォルト チャネル グループ | そのユーザーが 初めて 来たときの流入元 | ユーザー獲得 |
| セッション スコープ | セッションの参照元 / メディア、セッションのデフォルト チャネル グループ | その セッションが始まった ときの流入元 | トラフィック獲得 |
| イベント スコープ | 参照元 / メディア、デフォルト チャネル グループ | そのキーイベントの 貢献 が割り当てられた流入元(アトリビューション) | 広告、アトリビューション |
具体例で考える
あるユーザーが、次のような経路で訪問し、最後に購入したとします。
1 回目の訪問:Google の自然検索から(10 月 1 日)
2 回目の訪問:Instagram の投稿から(10 月 5 日)
3 回目の訪問:メールマガジンから → 購入(10 月 10 日)
このとき、10 月の期間で見ると、それぞれのディメンションでは次のように集計されます。
| ディメンション | 1 回目のセッション | 2 回目のセッション | 3 回目のセッション(購入) |
|---|---|---|---|
| 最初のユーザーのチャネル | Organic Search | Organic Search | Organic Search |
| セッションのチャネル | Organic Search | Organic Social | |
| チャネル(購入のアトリビューション) | データドリブンなどのモデルで、購入の貢献が 3 つのチャネルに配分される |
- ユーザー獲得レポート では、このユーザーは「Organic Search で獲得した新規ユーザー」として数えられる
- トラフィック獲得レポート では、3 つのセッションがそれぞれのチャネルに 1 つずつ数えられ、購入は Email のセッションのキーイベントとして数えられる
- アトリビューション では、購入の貢献がモデルに従って配分される(ラストクリックなら Email に 100%)
ポイント 「どのチャネルが新しい人を連れてきているか」はユーザー スコープ、「どのチャネルからの訪問が多いか・質が高いか」はセッション スコープ、「どのチャネルが成果に貢献したか」はイベント スコープ(アトリビューション)で見る、と使い分けましょう。
キャンペーンと UTM
キャンペーン は、マーケティング施策の単位を表すディメンションです。Google 広告のキャンペーン名や、UTM パラメータの utm_campaign で指定した値が入ります。
UTM パラメータの一覧
| パラメータ | GA4 のディメンション | 例 |
|---|---|---|
utm_source | 参照元 | newsletter、instagram |
utm_medium | メディア | email、social、cpc |
utm_campaign | キャンペーン | 2026_autumn_sale |
utm_term | 手動キーワード | 広告のキーワード |
utm_content | 手動広告コンテンツ | banner_a、text_link |
utm_id | キャンペーン ID | 費用データのインポートなどで使う ID |
UTM パラメータを付けた URL は、次のようになります。
https://www.example.co.jp/sale/?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=2026_autumn_sale
キャンペーンのディメンションにも、ユーザー・セッション・イベントのスコープがあります(「最初のユーザーのキャンペーン」「セッションのキャンペーン」「キャンペーン」)。UTM の設計と運用は、第 8 部で詳しく解説します。
(not set) と (direct) の理由
流入元のレポートを見ていると、「(not set)」や「(direct)」という値によく出会います。
(direct) / (none)
(direct) / (none) は、参照元を特定する情報がなかった流入です。主な原因は次のとおりです。
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| ブックマーク、URL の直接入力 | 本当の意味での直接の訪問 |
| メールソフトのリンク | メールアプリはリファラーを送らないことが多い(UTM がない場合) |
| SNS アプリ、メッセージ アプリ | アプリの中のブラウザがリファラーを送らないことがある |
| PDF や Office 文書の中のリンク | リファラーが送られない |
| QR コード | 印刷物の QR コードからの訪問(UTM がない場合) |
| HTTPS から HTTP へのリンク | 安全なページから安全でないページに移るとき、リファラーが送られない |
| 一部のブラウザのプライバシー機能 | リファラーが制限される |
(direct) が多すぎる場合は、メールや SNS、QR コードなどに UTM パラメータを付けて、本来の流入元がわかるようにしましょう。
注意 GA4 では、すでに流入元がわかっているユーザーが、後で (direct) で訪れた場合、キーイベントのアトリビューションでは (direct) より前の流入元が優先されることがあります(ラストクリックのモデルでも、直接の流入は除外して判定する仕様)。そのため、「Direct」のキーイベントは、アトリビューションのレポートでは少なめに表示されることがあります。
(not set)
(not set) は、そのディメンションの値が設定されていない、または取得できなかったことを表します。流入元のディメンションで (not set) が出る主な原因は、次のとおりです。
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| セッションの開始が計測されていない | session_start の前にイベントが送られた、タグの設置位置や同意の設定に問題がある |
| 計測用のプロトコル(Measurement Protocol)で送ったイベント | セッションの情報がないイベント |
| Google 広告の自動タグ設定とリンクの問題 | 広告の流入なのにキャンペーンの情報がとれない |
| 日付をまたぐセッション | まれに、日をまたいだ後のデータで (not set) になる |
| データの処理中 | 処理が終わっていない直近のデータ |
(not set) が全体の数%程度であれば、大きな問題ではありません。急に増えた場合や、全体の 1 割を超えるような場合は、タグの設定や同意モードの設定を確認しましょう(付録のトラブルシューティング集も参照)。
まとめ
- 参照元は来た元のサイトやサービス、メディアは流入の種類を表す
- デフォルト チャネル グループは、参照元とメディアをルールに従って大まかに分類したもの
- 流入元のディメンションには、ユーザー(初回)・セッション(訪問)・イベント(貢献)の 3 種類がある
- キャンペーンの計測には UTM パラメータを使い、
utm_mediumの値はチャネルの判定ルールに合わせる - (direct) は参照元の情報がない流入、(not set) は値が取得できなかったことを表す
次の章では、どのページが見られているかを表す、ページとコンテンツのディメンションを見ていきます。