4.6 流入元のディメンション

参照元・メディア・チャネル・キャンペーンの関係を整理します。
基礎書籍換算 約 12 ページ

この章で学ぶこと

  • 参照元とメディアの意味と組み合わせ
  • デフォルト チャネル グループの分類
  • ユーザー・セッション・イベント単位の流入元ディメンションの違い
  • キャンペーンと UTM パラメータの関係
  • (not set) と (direct) が表示される理由

参照元 / メディア

ユーザーがどこからサイトに来たのかを表す、最も基本的なディメンションが 参照元(ソース)と メディア です。

ディメンション意味値の例
参照元ユーザーが来た元のサイトやサービスgoogle、yahoo、bing、facebook.com、newsletter、(direct)
メディア流入の種類organic(自然検索)、cpc(クリック課金広告)、referral(他サイトのリンク)、email、(none)

2 つを組み合わせた「参照元 / メディア」として見ることが多く、次のように表示されます。

参照元 / メディア意味
google / organicGoogle の自然検索
google / cpcGoogle 広告(検索広告など)
yahoo / organicYahoo! の自然検索
facebook.com / referralFacebook のリンク(UTM なし)
newsletter / emailメールマガジン(UTM で指定した場合)
(direct) / (none)参照元がわからない流入(ブックマーク、URL の直接入力など)

参照元とメディアはどう決まるか

GA4 は、ユーザーがサイトに来たときに、次の情報から参照元とメディアを判定します。

  1. UTM パラメータ:URL に utm_source や utm_medium が付いていれば、その値を使う
  2. 広告のクリック ID:Google 広告の gclid などが付いていれば、広告の流入として判定する
  3. 参照元 URL(リファラー):直前のページの URL から判定する。検索エンジンなら organic、それ以外のサイトなら referral
  4. いずれもない:(direct) / (none) とする

UTM パラメータが最も優先されるため、自分で URL を管理できる流入(メール、SNS の投稿、広告など)には UTM パラメータを付けておくと、正確に区別できます(第 8 部)。

デフォルト チャネル グループ

参照元 / メディアは細かすぎて、全体の傾向がつかみにくいことがあります。そこで使うのが デフォルト チャネル グループ です。GA4 があらかじめ決めたルールに従って、流入を大まかな「チャネル」に分類したものです。

チャネル主な判定条件(概要)例
Organic Search検索エンジンからの、広告以外の流入google / organic
Paid Search検索エンジンからの広告の流入google / cpc
Direct参照元が (direct) でメディアが (none) または (not set)ブックマーク、URL の直接入力
Referralほかのサイトのリンクからの流入example.com / referral
Organic SocialSNS からの、広告以外の流入facebook.com / referral、x / social
Paid SocialSNS からの広告の流入facebook / paid_social
Emailメディアが email、e-mail などnewsletter / email
Displayディスプレイ広告メディアが display、banner など
Paid Video / Organic Video動画サイトからの広告・広告以外の流入youtube.com / referral
Affiliatesアフィリエイトメディアが affiliate
Cross-networkGoogle 広告の P-MAX など、複数のネットワークにまたがる広告—
Unassignedどのルールにも当てはまらない独自の UTM の値など

ポイント 「Unassigned」が多い場合は、UTM パラメータの utm_medium に、GA4 が認識できない独自の値(例:mail、sns、line_post など)を使っている可能性があります。チャネルの判定ルールに合う値(email、social など)に統一しましょう(第 8 部)。

SNS の判定

SNS からの流入は、参照元のドメイン(facebook.com、instagram.com、t.co、line.me など)が、GA4 の持つ SNS のサイトの一覧に含まれているかで判定されます。

ただし、スマホの SNS アプリの中から外部のサイトを開いた場合、リファラーが送られず (direct) になってしまうことがあります。SNS の投稿には、UTM パラメータを付けておくのが確実です(第 8 部)。

ユーザー・セッション・イベント単位の違い

第 3 部と第 1 章で説明したとおり、流入元のディメンションには、スコープの異なる 3 つの種類があります。これは GA4 の流入元の分析で最も混乱しやすいポイントなので、もう一度詳しく見ておきましょう。

種類ディメンションの名前の例意味主なレポート
ユーザー スコープ最初のユーザーの参照元 / メディア、最初のユーザーのデフォルト チャネル グループそのユーザーが 初めて 来たときの流入元ユーザー獲得
セッション スコープセッションの参照元 / メディア、セッションのデフォルト チャネル グループその セッションが始まった ときの流入元トラフィック獲得
イベント スコープ参照元 / メディア、デフォルト チャネル グループそのキーイベントの 貢献 が割り当てられた流入元(アトリビューション)広告、アトリビューション

具体例で考える

あるユーザーが、次のような経路で訪問し、最後に購入したとします。

1 回目の訪問:Google の自然検索から(10 月 1 日)
2 回目の訪問:Instagram の投稿から(10 月 5 日)
3 回目の訪問:メールマガジンから → 購入(10 月 10 日)

このとき、10 月の期間で見ると、それぞれのディメンションでは次のように集計されます。

ディメンション1 回目のセッション2 回目のセッション3 回目のセッション(購入)
最初のユーザーのチャネルOrganic SearchOrganic SearchOrganic Search
セッションのチャネルOrganic SearchOrganic SocialEmail
チャネル(購入のアトリビューション)データドリブンなどのモデルで、購入の貢献が 3 つのチャネルに配分される
  • ユーザー獲得レポート では、このユーザーは「Organic Search で獲得した新規ユーザー」として数えられる
  • トラフィック獲得レポート では、3 つのセッションがそれぞれのチャネルに 1 つずつ数えられ、購入は Email のセッションのキーイベントとして数えられる
  • アトリビューション では、購入の貢献がモデルに従って配分される(ラストクリックなら Email に 100%)

ポイント 「どのチャネルが新しい人を連れてきているか」はユーザー スコープ、「どのチャネルからの訪問が多いか・質が高いか」はセッション スコープ、「どのチャネルが成果に貢献したか」はイベント スコープ(アトリビューション)で見る、と使い分けましょう。

キャンペーンと UTM

キャンペーン は、マーケティング施策の単位を表すディメンションです。Google 広告のキャンペーン名や、UTM パラメータの utm_campaign で指定した値が入ります。

UTM パラメータの一覧

パラメータGA4 のディメンション例
utm_source参照元newsletter、instagram
utm_mediumメディアemail、social、cpc
utm_campaignキャンペーン2026_autumn_sale
utm_term手動キーワード広告のキーワード
utm_content手動広告コンテンツbanner_a、text_link
utm_idキャンペーン ID費用データのインポートなどで使う ID

UTM パラメータを付けた URL は、次のようになります。

https://www.example.co.jp/sale/?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=2026_autumn_sale

キャンペーンのディメンションにも、ユーザー・セッション・イベントのスコープがあります(「最初のユーザーのキャンペーン」「セッションのキャンペーン」「キャンペーン」)。UTM の設計と運用は、第 8 部で詳しく解説します。

(not set) と (direct) の理由

流入元のレポートを見ていると、「(not set)」や「(direct)」という値によく出会います。

(direct) / (none)

(direct) / (none) は、参照元を特定する情報がなかった流入です。主な原因は次のとおりです。

原因内容
ブックマーク、URL の直接入力本当の意味での直接の訪問
メールソフトのリンクメールアプリはリファラーを送らないことが多い(UTM がない場合)
SNS アプリ、メッセージ アプリアプリの中のブラウザがリファラーを送らないことがある
PDF や Office 文書の中のリンクリファラーが送られない
QR コード印刷物の QR コードからの訪問(UTM がない場合)
HTTPS から HTTP へのリンク安全なページから安全でないページに移るとき、リファラーが送られない
一部のブラウザのプライバシー機能リファラーが制限される

(direct) が多すぎる場合は、メールや SNS、QR コードなどに UTM パラメータを付けて、本来の流入元がわかるようにしましょう。

注意 GA4 では、すでに流入元がわかっているユーザーが、後で (direct) で訪れた場合、キーイベントのアトリビューションでは (direct) より前の流入元が優先されることがあります(ラストクリックのモデルでも、直接の流入は除外して判定する仕様)。そのため、「Direct」のキーイベントは、アトリビューションのレポートでは少なめに表示されることがあります。

(not set)

(not set) は、そのディメンションの値が設定されていない、または取得できなかったことを表します。流入元のディメンションで (not set) が出る主な原因は、次のとおりです。

原因内容
セッションの開始が計測されていないsession_start の前にイベントが送られた、タグの設置位置や同意の設定に問題がある
計測用のプロトコル(Measurement Protocol)で送ったイベントセッションの情報がないイベント
Google 広告の自動タグ設定とリンクの問題広告の流入なのにキャンペーンの情報がとれない
日付をまたぐセッションまれに、日をまたいだ後のデータで (not set) になる
データの処理中処理が終わっていない直近のデータ

(not set) が全体の数%程度であれば、大きな問題ではありません。急に増えた場合や、全体の 1 割を超えるような場合は、タグの設定や同意モードの設定を確認しましょう(付録のトラブルシューティング集も参照)。

まとめ

  • 参照元は来た元のサイトやサービス、メディアは流入の種類を表す
  • デフォルト チャネル グループは、参照元とメディアをルールに従って大まかに分類したもの
  • 流入元のディメンションには、ユーザー(初回)・セッション(訪問)・イベント(貢献)の 3 種類がある
  • キャンペーンの計測には UTM パラメータを使い、utm_medium の値はチャネルの判定ルールに合わせる
  • (direct) は参照元の情報がない流入、(not set) は値が取得できなかったことを表す

次の章では、どのページが見られているかを表す、ページとコンテンツのディメンションを見ていきます。