5.3 集客レポート

ユーザーがどこから来たのかを把握します。
基礎書籍換算 約 12 ページ

この章で学ぶこと

  • 集客サマリーで流入の全体像をつかむ方法
  • ユーザー獲得レポートで新規ユーザーの獲得元を見る方法
  • トラフィック獲得レポートで訪問ごとの流入元を見る方法
  • チャネルごとに何を評価すべきか
  • 実例:自然検索からの流入が落ちたときの調べ方

集客サマリー

「レポート」→「ライフサイクル」→「集客」には、ユーザーがどこから来たのかを分析するレポートがまとめられています。

レポート内容使うディメンションのスコープ
集客サマリー(概要)集客に関する主要なカードの一覧複数
ユーザー獲得新規ユーザーがどこから来たかユーザー(最初のユーザーの〜)
トラフィック獲得セッション(訪問)がどこから来たかセッション(セッションの〜)
ユーザー獲得コホート獲得したユーザーの、その後の行動(表示される場合)ユーザー

集客サマリー では、新規ユーザーのチャネル別の内訳、セッションのチャネル別の内訳、Google 広告のキャンペーンの成果などがカードで表示されます。ここで全体像をつかみ、詳しく見たい部分を「ユーザー獲得」や「トラフィック獲得」で掘り下げます。

ユーザー獲得レポート

ユーザー獲得 レポートは、新規ユーザーがどのチャネルから来たか を表示します。行のディメンションは「最初のユーザーのデフォルト チャネル グループ」などのユーザー スコープのディメンションです。

主な指標は次のとおりです。

指標意味
総ユーザー数 / 新規ユーザー数そのチャネルで獲得したユーザーの数
リピーター数そのチャネルで獲得したユーザーのうち、期間内に再訪したユーザー
アクティブ ユーザーあたりの平均エンゲージメント時間獲得したユーザーの関わりの深さ
キーイベント数獲得したユーザーが期間内に達成したキーイベント
総収益獲得したユーザーが期間内にもたらした収益

ユーザー獲得レポートの読み方

ユーザー獲得レポートは、「新しい人を連れてくる力」 でチャネルを評価するレポートです。

  • どのチャネルが新規ユーザーを最も多く獲得しているか
  • どのチャネルで獲得したユーザーが、その後キーイベントや収益につながっているか

注意したいのは、このレポートのキーイベントや収益は、獲得したチャネルにすべて割り当てられる ということです。たとえば、自然検索で初めて訪れ、1 か月後にメールから訪れて購入したユーザーの収益は、ユーザー獲得レポートでは「Organic Search」の収益として表示されます。

ポイント ユーザー獲得レポートで、獲得したユーザーの収益が大きいチャネルは、「長い目で見て価値のある顧客を連れてきてくれるチャネル」と考えられます。広告の評価で、初回の成果だけでなく長期的な価値を見たいときに役立ちます。

トラフィック獲得レポート

トラフィック獲得 レポートは、セッションがどのチャネルから来たか を表示します。行のディメンションは「セッションのデフォルト チャネル グループ」などのセッション スコープのディメンションです。

主な指標は次のとおりです。

指標意味
ユーザー数そのチャネルから訪れたユーザーの数
セッション数そのチャネルから始まったセッションの数
エンゲージのあったセッション数そのうち、エンゲージのあったセッションの数
エンゲージメント率そのチャネルの訪問の質
セッションあたりの平均エンゲージメント時間そのチャネルの訪問の深さ
イベント数そのチャネルの訪問で発生したイベントの数
キーイベント数そのチャネルの訪問で発生したキーイベントの数
セッションのキーイベント率そのチャネルの訪問のうち、成果につながった割合
総収益そのチャネルの訪問でもたらされた収益

トラフィック獲得レポートの読み方

トラフィック獲得レポートは、「訪問を生み出す力」と「訪問の質」 でチャネルを評価するレポートです。日々の集客の分析では、このレポートを最もよく使います。

例)トラフィック獲得レポート(セッションのデフォルト チャネル グループ)
チャネル          セッション   エンゲージメント率   キーイベント   キーイベント率
Organic Search      8,500         66.2%              170           2.0%
Direct              3,200         58.4%               80           2.5%
Organic Social      2,100         41.3%                8           0.4%
Referral              900         63.0%               18           2.0%
Email                 600         72.5%               30           5.0%
Paid Search           700         60.1%               21           3.0%

(数値は例)

この例からは、次のようなことが読み取れます。

  • 自然検索(Organic Search)が訪問の半分近くを占める主力のチャネル
  • メール(Email)は訪問数は少ないが、エンゲージメント率もキーイベント率も最も高い
  • SNS(Organic Social)は訪問数はそれなりにあるが、エンゲージメント率もキーイベント率も低い

ディメンションの切り替え

表の左上のディメンション名(「セッションのデフォルト チャネル グループ」)をクリックすると、次のようなディメンションに切り替えられます。

  • セッションの参照元 / メディア
  • セッションのメディア
  • セッションの参照元
  • セッションのキャンペーン
  • セッションの Google 広告のキャンペーンなど

チャネルで全体を把握し、気になるチャネルがあれば「参照元 / メディア」に切り替えて、その中身を確認するのが基本の流れです。たとえば、Referral のチャネルが増えていたら、参照元 / メディアに切り替えて、どのサイトからのリンクが増えたのかを確認します。

チャネル別の評価軸

チャネルによって、ユーザーの状態や役割が異なります。すべてのチャネルを同じ基準で評価するのではなく、チャネルの役割に合った評価軸 を持ちましょう。

チャネル主な役割主な評価軸
Organic Search情報を探している人を連れてくるセッション数の推移、ランディング ページ別のエンゲージメント率とキーイベント率
Paid Search今すぐ検討している人を連れてくるキーイベント率、CPA、ROAS(第 8 部)
Organic Social認知を広げる、ファンとの接点を作る新規ユーザー数、エンゲージメント率、再訪率
Paid Social新しい層にリーチする新規ユーザー数、キーイベント率、CPA
Email既存の顧客や見込み顧客を呼び戻すエンゲージメント率、キーイベント率、配信ごとのセッション数
Referral他サイトからの紹介参照元ごとのセッション数とキーイベント率
Direct指名やリピートの訪問(と、判別できない流入)推移の傾向(急な変化に注意)

注意 SNS のキーイベント率が低いからといって、SNS が役に立たないとは限りません。SNS で初めてサイトを知った人が、後で検索やメールから訪れて成果に至ることもあります。チャネルの貢献を正しく評価するには、ユーザー獲得レポートやアトリビューション(第 7 部)もあわせて見ましょう。

実例:自然検索が落ちたとき

最後に、集客レポートを使った分析の実例を紹介します。「先月に比べて、自然検索(Organic Search)からのセッションが 20% 減った」という場合の調べ方です。

ステップ 1:本当に減っているかを確認する

  • 期間の比較で、曜日の並びがそろっているか(28 日単位で比べる)
  • 前年の同じ時期も同じように減っていないか(季節性)
  • ほかのチャネルも同じように減っていないか(サイト全体の問題か、自然検索だけの問題か)

ステップ 2:どの検索エンジンで減っているかを確認する

トラフィック獲得レポートのディメンションを「セッションの参照元 / メディア」に切り替え、google / organic、yahoo / organic、bing / organic などのどれが減っているかを確認します。

  • Google だけが減っている → Google の検索結果での順位の変化を疑う
  • すべての検索エンジンで減っている → 検索の需要そのものの減少や、サイトの問題を疑う

ステップ 3:どのページで減っているかを確認する

探索レポート(第 6 部)や、「エンゲージメント」→「ランディング ページ」レポートで、チャネルを Organic Search に絞り込み、ランディング ページ別のセッション数を前の期間と比べます。

  • 特定のページだけが大きく減っている → そのページの検索順位の低下、タイトルや内容の変更の影響を疑う
  • 全体的に少しずつ減っている → 検索エンジンのアルゴリズムの変更や、季節性を疑う

ステップ 4:Search Console で検索結果の状況を確認する

GA4 だけでは、検索結果での順位や表示回数はわかりません。Search Console(第 8 部)で、該当するページのクエリ別の表示回数・クリック数・平均掲載順位を確認します。

Search Console での状況考えられる原因
表示回数が減った順位の低下、検索の需要の減少
表示回数は変わらないが、クリック率が下がった検索結果の見え方の変化(タイトルの変更、競合の増加、検索結果のレイアウトの変化)
特定のクエリだけ減ったそのキーワードでの順位の低下

ステップ 5:対策を考える

原因の仮説が立ったら、対策を考えます。

  • 順位が落ちたページの内容を見直し、情報を最新にする
  • タイトルや説明文を見直す
  • サイトの技術的な問題(表示速度、インデックスの状況など)を確認する

ポイント このように、「全体 → チャネル → 参照元 → ページ → 外部ツール」と、大きな単位から小さな単位へと順番に絞り込む のが、数値の変化の原因を探す基本の流れです。いきなり細かいデータを見るより、ずっと早く原因にたどり着けます。

よくある質問

Q. ユーザー獲得とトラフィック獲得の数値が違うのは、なぜですか。

A. 集計の単位が違うためです。ユーザー獲得は、ユーザーが 最初に サイトに来たときの流入元で、ユーザーを数えます。トラフィック獲得は、それぞれのセッション の流入元で、セッションを数えます。たとえば、最初は広告から来て、2 回目以降は自然検索から来たユーザーは、ユーザー獲得では広告に、トラフィック獲得では広告と自然検索の両方に数えられます。

Q. Unassigned(未割り当て)のチャネルが増えています。

A. デフォルト チャネル グループのどのルールにも一致しない流入です。多くの場合、UTM の utm_medium の値が、GA4 のルールに合っていない(例:mail、banner、sns など独自の値)ことが原因です。トラフィック獲得のディメンションを「セッションの参照元 / メディア」に切り替えて、Unassigned になっている流入の値を確認し、UTM の命名規則を見直しましょう(第 8 部)。

Q. Direct が多すぎる気がします。

A. Direct には、ブックマークや URL の直接入力のほかに、メールやアプリからのリンク、メッセージ アプリでの共有(ダーク ソーシャル)、リファラーが送られない環境からの流入などが含まれます(第 8 部)。ランディング ページ別に Direct を見て、深い階層のページが多い場合は、UTM の付け忘れや共有による流入の可能性を考えましょう。

Q. チャネル別の数値は、どのくらいの頻度で見ればよいですか。

A. 担当者は 週次 で、急な変化がないかを確認するのがおすすめです。施策の評価や予算の判断は、月次や四半期の単位で、前年同期と比べて行います。

実践ワーク

トラフィック獲得のレポートで、次の表を作ってみましょう。

チャネルセッション数構成比エンゲージメント率キーイベント数セッションのキーイベント率前年同月比(セッション)
Organic Search
Direct
Paid Search
Referral
Organic Social
その他

表ができたら、次の 3 つの問いに答えてみましょう。

  1. 量(セッション数)が最も多いチャネルと、質(キーイベント率)が最も高いチャネルは同じか
  2. 前年同月と比べて、最も伸びたチャネルと、最も落ちたチャネルはどれか
  3. 落ちたチャネルについて、この章の「自然検索が落ちたとき」と同じ手順で、原因を切り分けられるか

答えをもとに、来月に注力するチャネルを 1 つ選び、その理由を 1 行で書いてみましょう。

まとめ

  • 集客レポートには、ユーザー獲得(新規ユーザーの獲得元)とトラフィック獲得(訪問ごとの流入元)がある
  • ユーザー獲得は「新しい人を連れてくる力」、トラフィック獲得は「訪問を生み出す力と訪問の質」でチャネルを評価する
  • 表の左上のディメンションを切り替えて、チャネル → 参照元 / メディアと掘り下げる
  • チャネルの役割に合った評価軸を持ち、キーイベント率だけで判断しない
  • 数値の変化の原因は、大きな単位から小さな単位へと順番に絞り込んで探す

次の章では、ユーザーがサイトの中で何をしたのかを分析する、エンゲージメント レポートの使い方を学びます。