5.3 集客レポート
この章で学ぶこと
- 集客サマリーで流入の全体像をつかむ方法
- ユーザー獲得レポートで新規ユーザーの獲得元を見る方法
- トラフィック獲得レポートで訪問ごとの流入元を見る方法
- チャネルごとに何を評価すべきか
- 実例:自然検索からの流入が落ちたときの調べ方
集客サマリー
「レポート」→「ライフサイクル」→「集客」には、ユーザーがどこから来たのかを分析するレポートがまとめられています。
| レポート | 内容 | 使うディメンションのスコープ |
|---|---|---|
| 集客サマリー(概要) | 集客に関する主要なカードの一覧 | 複数 |
| ユーザー獲得 | 新規ユーザーがどこから来たか | ユーザー(最初のユーザーの〜) |
| トラフィック獲得 | セッション(訪問)がどこから来たか | セッション(セッションの〜) |
| ユーザー獲得コホート | 獲得したユーザーの、その後の行動(表示される場合) | ユーザー |
集客サマリー では、新規ユーザーのチャネル別の内訳、セッションのチャネル別の内訳、Google 広告のキャンペーンの成果などがカードで表示されます。ここで全体像をつかみ、詳しく見たい部分を「ユーザー獲得」や「トラフィック獲得」で掘り下げます。
ユーザー獲得レポート
ユーザー獲得 レポートは、新規ユーザーがどのチャネルから来たか を表示します。行のディメンションは「最初のユーザーのデフォルト チャネル グループ」などのユーザー スコープのディメンションです。
主な指標は次のとおりです。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| 総ユーザー数 / 新規ユーザー数 | そのチャネルで獲得したユーザーの数 |
| リピーター数 | そのチャネルで獲得したユーザーのうち、期間内に再訪したユーザー |
| アクティブ ユーザーあたりの平均エンゲージメント時間 | 獲得したユーザーの関わりの深さ |
| キーイベント数 | 獲得したユーザーが期間内に達成したキーイベント |
| 総収益 | 獲得したユーザーが期間内にもたらした収益 |
ユーザー獲得レポートの読み方
ユーザー獲得レポートは、「新しい人を連れてくる力」 でチャネルを評価するレポートです。
- どのチャネルが新規ユーザーを最も多く獲得しているか
- どのチャネルで獲得したユーザーが、その後キーイベントや収益につながっているか
注意したいのは、このレポートのキーイベントや収益は、獲得したチャネルにすべて割り当てられる ということです。たとえば、自然検索で初めて訪れ、1 か月後にメールから訪れて購入したユーザーの収益は、ユーザー獲得レポートでは「Organic Search」の収益として表示されます。
ポイント ユーザー獲得レポートで、獲得したユーザーの収益が大きいチャネルは、「長い目で見て価値のある顧客を連れてきてくれるチャネル」と考えられます。広告の評価で、初回の成果だけでなく長期的な価値を見たいときに役立ちます。
トラフィック獲得レポート
トラフィック獲得 レポートは、セッションがどのチャネルから来たか を表示します。行のディメンションは「セッションのデフォルト チャネル グループ」などのセッション スコープのディメンションです。
主な指標は次のとおりです。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| ユーザー数 | そのチャネルから訪れたユーザーの数 |
| セッション数 | そのチャネルから始まったセッションの数 |
| エンゲージのあったセッション数 | そのうち、エンゲージのあったセッションの数 |
| エンゲージメント率 | そのチャネルの訪問の質 |
| セッションあたりの平均エンゲージメント時間 | そのチャネルの訪問の深さ |
| イベント数 | そのチャネルの訪問で発生したイベントの数 |
| キーイベント数 | そのチャネルの訪問で発生したキーイベントの数 |
| セッションのキーイベント率 | そのチャネルの訪問のうち、成果につながった割合 |
| 総収益 | そのチャネルの訪問でもたらされた収益 |
トラフィック獲得レポートの読み方
トラフィック獲得レポートは、「訪問を生み出す力」と「訪問の質」 でチャネルを評価するレポートです。日々の集客の分析では、このレポートを最もよく使います。
例)トラフィック獲得レポート(セッションのデフォルト チャネル グループ)
チャネル セッション エンゲージメント率 キーイベント キーイベント率
Organic Search 8,500 66.2% 170 2.0%
Direct 3,200 58.4% 80 2.5%
Organic Social 2,100 41.3% 8 0.4%
Referral 900 63.0% 18 2.0%
Email 600 72.5% 30 5.0%
Paid Search 700 60.1% 21 3.0%
(数値は例)
この例からは、次のようなことが読み取れます。
- 自然検索(Organic Search)が訪問の半分近くを占める主力のチャネル
- メール(Email)は訪問数は少ないが、エンゲージメント率もキーイベント率も最も高い
- SNS(Organic Social)は訪問数はそれなりにあるが、エンゲージメント率もキーイベント率も低い
ディメンションの切り替え
表の左上のディメンション名(「セッションのデフォルト チャネル グループ」)をクリックすると、次のようなディメンションに切り替えられます。
- セッションの参照元 / メディア
- セッションのメディア
- セッションの参照元
- セッションのキャンペーン
- セッションの Google 広告のキャンペーンなど
チャネルで全体を把握し、気になるチャネルがあれば「参照元 / メディア」に切り替えて、その中身を確認するのが基本の流れです。たとえば、Referral のチャネルが増えていたら、参照元 / メディアに切り替えて、どのサイトからのリンクが増えたのかを確認します。
チャネル別の評価軸
チャネルによって、ユーザーの状態や役割が異なります。すべてのチャネルを同じ基準で評価するのではなく、チャネルの役割に合った評価軸 を持ちましょう。
| チャネル | 主な役割 | 主な評価軸 |
|---|---|---|
| Organic Search | 情報を探している人を連れてくる | セッション数の推移、ランディング ページ別のエンゲージメント率とキーイベント率 |
| Paid Search | 今すぐ検討している人を連れてくる | キーイベント率、CPA、ROAS(第 8 部) |
| Organic Social | 認知を広げる、ファンとの接点を作る | 新規ユーザー数、エンゲージメント率、再訪率 |
| Paid Social | 新しい層にリーチする | 新規ユーザー数、キーイベント率、CPA |
| 既存の顧客や見込み顧客を呼び戻す | エンゲージメント率、キーイベント率、配信ごとのセッション数 | |
| Referral | 他サイトからの紹介 | 参照元ごとのセッション数とキーイベント率 |
| Direct | 指名やリピートの訪問(と、判別できない流入) | 推移の傾向(急な変化に注意) |
注意 SNS のキーイベント率が低いからといって、SNS が役に立たないとは限りません。SNS で初めてサイトを知った人が、後で検索やメールから訪れて成果に至ることもあります。チャネルの貢献を正しく評価するには、ユーザー獲得レポートやアトリビューション(第 7 部)もあわせて見ましょう。
実例:自然検索が落ちたとき
最後に、集客レポートを使った分析の実例を紹介します。「先月に比べて、自然検索(Organic Search)からのセッションが 20% 減った」という場合の調べ方です。
ステップ 1:本当に減っているかを確認する
- 期間の比較で、曜日の並びがそろっているか(28 日単位で比べる)
- 前年の同じ時期も同じように減っていないか(季節性)
- ほかのチャネルも同じように減っていないか(サイト全体の問題か、自然検索だけの問題か)
ステップ 2:どの検索エンジンで減っているかを確認する
トラフィック獲得レポートのディメンションを「セッションの参照元 / メディア」に切り替え、google / organic、yahoo / organic、bing / organic などのどれが減っているかを確認します。
- Google だけが減っている → Google の検索結果での順位の変化を疑う
- すべての検索エンジンで減っている → 検索の需要そのものの減少や、サイトの問題を疑う
ステップ 3:どのページで減っているかを確認する
探索レポート(第 6 部)や、「エンゲージメント」→「ランディング ページ」レポートで、チャネルを Organic Search に絞り込み、ランディング ページ別のセッション数を前の期間と比べます。
- 特定のページだけが大きく減っている → そのページの検索順位の低下、タイトルや内容の変更の影響を疑う
- 全体的に少しずつ減っている → 検索エンジンのアルゴリズムの変更や、季節性を疑う
ステップ 4:Search Console で検索結果の状況を確認する
GA4 だけでは、検索結果での順位や表示回数はわかりません。Search Console(第 8 部)で、該当するページのクエリ別の表示回数・クリック数・平均掲載順位を確認します。
| Search Console での状況 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 表示回数が減った | 順位の低下、検索の需要の減少 |
| 表示回数は変わらないが、クリック率が下がった | 検索結果の見え方の変化(タイトルの変更、競合の増加、検索結果のレイアウトの変化) |
| 特定のクエリだけ減った | そのキーワードでの順位の低下 |
ステップ 5:対策を考える
原因の仮説が立ったら、対策を考えます。
- 順位が落ちたページの内容を見直し、情報を最新にする
- タイトルや説明文を見直す
- サイトの技術的な問題(表示速度、インデックスの状況など)を確認する
ポイント このように、「全体 → チャネル → 参照元 → ページ → 外部ツール」と、大きな単位から小さな単位へと順番に絞り込む のが、数値の変化の原因を探す基本の流れです。いきなり細かいデータを見るより、ずっと早く原因にたどり着けます。
よくある質問
Q. ユーザー獲得とトラフィック獲得の数値が違うのは、なぜですか。
A. 集計の単位が違うためです。ユーザー獲得は、ユーザーが 最初に サイトに来たときの流入元で、ユーザーを数えます。トラフィック獲得は、それぞれのセッション の流入元で、セッションを数えます。たとえば、最初は広告から来て、2 回目以降は自然検索から来たユーザーは、ユーザー獲得では広告に、トラフィック獲得では広告と自然検索の両方に数えられます。
Q. Unassigned(未割り当て)のチャネルが増えています。
A. デフォルト チャネル グループのどのルールにも一致しない流入です。多くの場合、UTM の utm_medium の値が、GA4 のルールに合っていない(例:mail、banner、sns など独自の値)ことが原因です。トラフィック獲得のディメンションを「セッションの参照元 / メディア」に切り替えて、Unassigned になっている流入の値を確認し、UTM の命名規則を見直しましょう(第 8 部)。
Q. Direct が多すぎる気がします。
A. Direct には、ブックマークや URL の直接入力のほかに、メールやアプリからのリンク、メッセージ アプリでの共有(ダーク ソーシャル)、リファラーが送られない環境からの流入などが含まれます(第 8 部)。ランディング ページ別に Direct を見て、深い階層のページが多い場合は、UTM の付け忘れや共有による流入の可能性を考えましょう。
Q. チャネル別の数値は、どのくらいの頻度で見ればよいですか。
A. 担当者は 週次 で、急な変化がないかを確認するのがおすすめです。施策の評価や予算の判断は、月次や四半期の単位で、前年同期と比べて行います。
実践ワーク
トラフィック獲得のレポートで、次の表を作ってみましょう。
| チャネル | セッション数 | 構成比 | エンゲージメント率 | キーイベント数 | セッションのキーイベント率 | 前年同月比(セッション) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Organic Search | ||||||
| Direct | ||||||
| Paid Search | ||||||
| Referral | ||||||
| Organic Social | ||||||
| その他 |
表ができたら、次の 3 つの問いに答えてみましょう。
- 量(セッション数)が最も多いチャネルと、質(キーイベント率)が最も高いチャネルは同じか
- 前年同月と比べて、最も伸びたチャネルと、最も落ちたチャネルはどれか
- 落ちたチャネルについて、この章の「自然検索が落ちたとき」と同じ手順で、原因を切り分けられるか
答えをもとに、来月に注力するチャネルを 1 つ選び、その理由を 1 行で書いてみましょう。
まとめ
- 集客レポートには、ユーザー獲得(新規ユーザーの獲得元)とトラフィック獲得(訪問ごとの流入元)がある
- ユーザー獲得は「新しい人を連れてくる力」、トラフィック獲得は「訪問を生み出す力と訪問の質」でチャネルを評価する
- 表の左上のディメンションを切り替えて、チャネル → 参照元 / メディアと掘り下げる
- チャネルの役割に合った評価軸を持ち、キーイベント率だけで判断しない
- 数値の変化の原因は、大きな単位から小さな単位へと順番に絞り込んで探す
次の章では、ユーザーがサイトの中で何をしたのかを分析する、エンゲージメント レポートの使い方を学びます。