5.4 エンゲージメント レポート

サイト内でユーザーが何をしたのかを把握します。
基礎書籍換算 約 12 ページ

この章で学ぶこと

  • エンゲージメントの概要レポートで全体の行動をつかむ方法
  • イベント レポートでイベントの発生状況を確認する方法
  • ページとスクリーン レポートでよく見られているページを確認する方法
  • ランディング ページ レポートで入口のページを評価する方法
  • 実例:読まれていない記事を探す

エンゲージメントの概要

「レポート」→「ライフサイクル」→「エンゲージメント」には、ユーザーがサイトの中で何をしたのかを分析するレポートがまとめられています。

レポート内容
エンゲージメントの概要エンゲージメントに関する主要なカード
イベントイベント名ごとのイベント数やユーザー数
キーイベントキーイベントごとの件数(表示される場合)
ページとスクリーンページごとの表示回数やエンゲージメント時間
ランディング ページセッションの入口のページごとの成果

エンゲージメントの概要 には、次のようなカードが表示されます。

  • 平均エンゲージメント時間、ユーザーあたりのエンゲージのあったセッション数、セッションあたりの平均エンゲージメント時間の推移
  • 過去 30 分間のユーザー数と、よく見られているページ
  • 表示回数とイベント数の推移
  • イベント名別のイベント数
  • ページ タイトルとスクリーン クラス別の表示回数
  • ユーザーのアクティビティの推移(DAU / WAU / MAU)、ユーザーの粘着性

イベント レポート

イベント レポートは、プロパティで記録されているすべてのイベントの一覧と、その発生状況を表示します。

指標意味
イベント数イベントが発生した回数
総ユーザー数そのイベントを発生させたユーザーの数
ユーザーあたりのイベント数1 人のユーザーが平均して何回そのイベントを発生させたか
合計収益そのイベントに紐づく収益(購入イベントなど)

イベントの詳細を見る

表のイベント名をクリックすると、そのイベントの詳細なレポートが表示されます。詳細レポートでは、次のような情報を確認できます。

  • イベント数の推移
  • パラメータの値ごとのイベント数(カスタム ディメンションとして登録したパラメータなど)
  • 国別、デバイス別などの内訳

たとえば、file_download をクリックすると、どのファイルが多くダウンロードされているかを確認できます(ファイル名のディメンションが使える場合)。

イベント レポートで確認すること

イベント レポートは、分析だけでなく、計測の健全性のチェック にも役立ちます。

確認すること意味
想定しているイベントがすべてあるか実装したはずのイベントが計測されているか
想定していないイベントがないか誰かが追加した、またはプラグインが送っている不明なイベントがないか
同じ意味のイベントが重複していないかform_submit と contact_submit のように、同じ行動を二重に計測していないか
イベント名の表記揺れがないかCTA_click と cta_click のように大文字・小文字が混在していないか
回数が急に変わったイベントがないか計測の不具合や、サイトの変更の影響

ポイント イベント レポートは、月に 1 回程度、イベント設計書(第 3 部)と見比べるのがおすすめです。設計書にないイベントが増えていたら、どこから送られているのかを確認しましょう。

ページとスクリーン

ページとスクリーン レポートは、ページ(アプリではスクリーン)ごとの表示回数やエンゲージメントを表示します。

指標意味
表示回数ページが表示された回数
ユーザー数ページを表示したユーザーの数
ユーザーあたりのビュー1 人が平均して何回そのページを表示したか
平均エンゲージメント時間ページが前面に表示されていた、ユーザーあたりの平均時間
イベント数そのページで発生したイベントの数
キーイベント数そのページで発生したキーイベントの数
総収益そのページで発生した収益

ディメンションの切り替え

初期状態では「ページ タイトルとスクリーン クラス」が表示されていますが、表の左上から次のようなディメンションに切り替えられます。

  • ページパスとスクリーン クラス(URL のパスで見たいとき。分析にはこちらがおすすめ)
  • ページ タイトルとスクリーン名
  • コンテンツ グループ(設定している場合)

ページとスクリーン レポートで見ること

  • よく見られているページ:表示回数の多いページは、サイトの「顔」となるページ。内容が最新か、導線が適切かを定期的に確認する
  • よく読まれているページ:平均エンゲージメント時間が長いページは、内容に関心を持たれている可能性がある
  • 繰り返し見られているページ:ユーザーあたりのビューが多いページは、何度も参照される重要な情報(料金表、マニュアルなど)の可能性がある

注意 ページとスクリーン レポートの「キーイベント数」は、そのページ で 発生したキーイベントの数です。問い合わせの完了ページでキーイベントを計測している場合、完了ページのキーイベント数は多くなりますが、それ以外のページのキーイベント数はほぼ 0 になります。どのページが成果に貢献しているかを見るには、次のランディング ページ レポートや、探索のファネル・経路(第 6 部)を使いましょう。

ランディング ページ レポート

ランディング ページ レポートは、セッションの最初に表示されたページごとの成果を表示します。

指標意味
セッション数そのページから始まったセッションの数
ユーザー数そのページから訪問を始めたユーザーの数
新規ユーザー数そのページから初めて訪れたユーザーの数
セッションあたりの平均エンゲージメント時間そのページから始まった訪問の、平均エンゲージメント時間
キーイベント数そのページから始まった訪問で発生したキーイベントの数
総収益そのページから始まった訪問でもたらされた収益

ランディング ページ レポートは、セッション単位 で集計されているため、「そのページから入った訪問が、最終的に成果につながったか」を評価できます。

ランディング ページの評価のしかた

ランディング ページは、「量」と「質」の 2 軸で評価すると、改善の優先順位を決めやすくなります。

質が高い(エンゲージメント率・キーイベント率が高い)質が低い
量が多い(セッション数が多い)維持:主力のページ。内容を最新に保つ改善の最優先:多くの人が来るのに成果につながっていない。導線や内容を見直す
量が少ない集客を強化:成果につながりやすいので、検索や広告で流入を増やす後回し:まずはほかのページを優先する

ポイント ランディング ページ レポートに、エンゲージメント率や「セッションのキーイベント率」が初期状態で表示されていない場合は、レポートのカスタマイズ(第 9 章)で指標を追加しましょう。

実例:読まれていない記事を探す

最後に、エンゲージメント レポートを使った分析の実例を紹介します。オウンドメディアで、「検索から来ているのに読まれていない記事」を探して、リライトの候補にする方法です。

ステップ 1:ランディング ページ レポートを開く

「エンゲージメント」→「ランディング ページ」を開き、期間を過去 90 日間など、ある程度長めに設定します。

ステップ 2:自然検索の訪問に絞り込む

画面上部の「フィルタを追加」(または比較の追加)で、「セッションのデフォルト チャネル グループ」が「Organic Search」と完全一致する条件を設定します。

ステップ 3:記事ページに絞り込む

表の検索ボックスに /blog/ など、記事ページの URL に共通する文字列を入力して、記事ページだけを表示します。

ステップ 4:指標を見比べる

セッション数の多い順に並べ、エンゲージメント率とセッションあたりの平均エンゲージメント時間を確認します。

例)
ランディング ページ                 セッション   エンゲージメント率   平均エンゲージメント時間
/blog/ga4-setup/                    3,200        72.0%               2 分 10 秒
/blog/utm-guide/                    2,800        45.3%               0 分 35 秒  ← 要確認
/blog/bounce-rate/                  1,900        68.5%               1 分 50 秒
/blog/search-console/               1,500        41.0%               0 分 28 秒  ← 要確認

(数値は例)

セッション数が多いのに、エンゲージメント率やエンゲージメント時間がほかの記事より明らかに低い記事が、リライトの候補です。

ステップ 5:原因の仮説を立てる

考えられる原因確認方法
検索した人が求めている情報と、記事の内容がずれているSearch Console で、その記事に流入しているクエリを確認する
記事の冒頭で結論がわからない実際に記事を読んでみる。ヒートマップ ツールで、どこまで読まれているかを確認する
スマホで読みにくいデバイス別にエンゲージメント率を比べる
情報が古い記事の公開日・更新日を確認する

原因の仮説が立ったら、リライトを行い、数週間後に同じ手順でエンゲージメント率の変化を確認します。

よくある質問

Q. 「ページとスクリーン」のレポートで、同じページが複数の行に分かれています。

A. ディメンションを「ページ パスとスクリーン クラス」にしている場合、URL の末尾のスラッシュの有無(/about と /about/)や、大文字・小文字の違いで、別の行になることがあります。ページ タイトルで見ると、同じページのタイトルが同じなら 1 行にまとまります。ただし、タイトルが同じ別のページもまとまってしまうため、目的に合わせて使い分けましょう。

Q. クエリ パラメータ付きの URL が、別々のページとして表示されます。

A. 「ページ パスとスクリーン クラス」は、クエリ パラメータを含まないパスです。クエリ パラメータを含む URL が別々に表示されるのは、「ページ パス + クエリ文字列」などのディメンションを使っている場合です。分析の目的に応じて、ディメンションを選び直しましょう。

Q. 平均エンゲージメント時間が 0 秒のページがあります。

A. そのページを最後に離脱したユーザーのエンゲージメントの時間が、送信される前にページが閉じられた場合などに起きます。また、ページを開いてすぐに別のページに移った場合も、時間は短くなります。1 つのページだけで判断せず、同じ種類のページと比べたり、スクロールの計測と合わせて見たりしましょう。

Q. イベント レポートに、知らないイベントがあります。

A. GA4 が自動で収集するイベント(first_visit、session_start、user_engagement など)や、拡張計測機能のイベント(scroll、click、file_download など)が含まれます(第 3 部)。自社で設定していないのに、見慣れない名前のイベントがある場合は、ほかの人が GTM で追加した可能性があるので、GTM のバージョンの履歴を確認しましょう。

実践ワーク

エンゲージメントのレポートを使って、自社のサイトの「よく読まれているページ」と「読まれていないページ」の一覧を作りましょう。

  1. 「ページとスクリーン」のレポートで、期間を過去 28 日にする
  2. 表示回数の多い順に、上位 30 ページを書き出す
  3. それぞれの平均エンゲージメント時間を書き出し、全体の平均と比べる
  4. 表示回数が多いのに、平均エンゲージメント時間が全体の平均の半分以下のページに印を付ける
  5. 印を付けたページを実際に開き、「訪れた人が知りたいことに、すぐ答えているか」を確認する

このワークで見つけたページは、この章の実例(読まれていない記事を探す)の改善の候補になります。改善したら、改善の日付と内容を記録し、1 か月後に同じ指標を比べましょう。

まとめ

  • エンゲージメント レポートには、イベント、ページとスクリーン、ランディング ページなどがある
  • イベント レポートは、分析だけでなく計測の健全性のチェックにも使う
  • ページとスクリーン レポートでよく見られているページを、ランディング ページ レポートで入口としての成果を評価する
  • ランディング ページは「量」と「質」の 2 軸で評価し、改善の優先順位を決める
  • 「自然検索から多く来ているのに、エンゲージメントが低い記事」は、リライトの有力な候補

次の章では、売上と商品の動きを確認する、収益化レポートの使い方を学びます。