5.4 エンゲージメント レポート
この章で学ぶこと
- エンゲージメントの概要レポートで全体の行動をつかむ方法
- イベント レポートでイベントの発生状況を確認する方法
- ページとスクリーン レポートでよく見られているページを確認する方法
- ランディング ページ レポートで入口のページを評価する方法
- 実例:読まれていない記事を探す
エンゲージメントの概要
「レポート」→「ライフサイクル」→「エンゲージメント」には、ユーザーがサイトの中で何をしたのかを分析するレポートがまとめられています。
| レポート | 内容 |
|---|---|
| エンゲージメントの概要 | エンゲージメントに関する主要なカード |
| イベント | イベント名ごとのイベント数やユーザー数 |
| キーイベント | キーイベントごとの件数(表示される場合) |
| ページとスクリーン | ページごとの表示回数やエンゲージメント時間 |
| ランディング ページ | セッションの入口のページごとの成果 |
エンゲージメントの概要 には、次のようなカードが表示されます。
- 平均エンゲージメント時間、ユーザーあたりのエンゲージのあったセッション数、セッションあたりの平均エンゲージメント時間の推移
- 過去 30 分間のユーザー数と、よく見られているページ
- 表示回数とイベント数の推移
- イベント名別のイベント数
- ページ タイトルとスクリーン クラス別の表示回数
- ユーザーのアクティビティの推移(DAU / WAU / MAU)、ユーザーの粘着性
イベント レポート
イベント レポートは、プロパティで記録されているすべてのイベントの一覧と、その発生状況を表示します。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| イベント数 | イベントが発生した回数 |
| 総ユーザー数 | そのイベントを発生させたユーザーの数 |
| ユーザーあたりのイベント数 | 1 人のユーザーが平均して何回そのイベントを発生させたか |
| 合計収益 | そのイベントに紐づく収益(購入イベントなど) |
イベントの詳細を見る
表のイベント名をクリックすると、そのイベントの詳細なレポートが表示されます。詳細レポートでは、次のような情報を確認できます。
- イベント数の推移
- パラメータの値ごとのイベント数(カスタム ディメンションとして登録したパラメータなど)
- 国別、デバイス別などの内訳
たとえば、file_download をクリックすると、どのファイルが多くダウンロードされているかを確認できます(ファイル名のディメンションが使える場合)。
イベント レポートで確認すること
イベント レポートは、分析だけでなく、計測の健全性のチェック にも役立ちます。
| 確認すること | 意味 |
|---|---|
| 想定しているイベントがすべてあるか | 実装したはずのイベントが計測されているか |
| 想定していないイベントがないか | 誰かが追加した、またはプラグインが送っている不明なイベントがないか |
| 同じ意味のイベントが重複していないか | form_submit と contact_submit のように、同じ行動を二重に計測していないか |
| イベント名の表記揺れがないか | CTA_click と cta_click のように大文字・小文字が混在していないか |
| 回数が急に変わったイベントがないか | 計測の不具合や、サイトの変更の影響 |
ポイント イベント レポートは、月に 1 回程度、イベント設計書(第 3 部)と見比べるのがおすすめです。設計書にないイベントが増えていたら、どこから送られているのかを確認しましょう。
ページとスクリーン
ページとスクリーン レポートは、ページ(アプリではスクリーン)ごとの表示回数やエンゲージメントを表示します。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| 表示回数 | ページが表示された回数 |
| ユーザー数 | ページを表示したユーザーの数 |
| ユーザーあたりのビュー | 1 人が平均して何回そのページを表示したか |
| 平均エンゲージメント時間 | ページが前面に表示されていた、ユーザーあたりの平均時間 |
| イベント数 | そのページで発生したイベントの数 |
| キーイベント数 | そのページで発生したキーイベントの数 |
| 総収益 | そのページで発生した収益 |
ディメンションの切り替え
初期状態では「ページ タイトルとスクリーン クラス」が表示されていますが、表の左上から次のようなディメンションに切り替えられます。
- ページパスとスクリーン クラス(URL のパスで見たいとき。分析にはこちらがおすすめ)
- ページ タイトルとスクリーン名
- コンテンツ グループ(設定している場合)
ページとスクリーン レポートで見ること
- よく見られているページ:表示回数の多いページは、サイトの「顔」となるページ。内容が最新か、導線が適切かを定期的に確認する
- よく読まれているページ:平均エンゲージメント時間が長いページは、内容に関心を持たれている可能性がある
- 繰り返し見られているページ:ユーザーあたりのビューが多いページは、何度も参照される重要な情報(料金表、マニュアルなど)の可能性がある
注意 ページとスクリーン レポートの「キーイベント数」は、そのページ で 発生したキーイベントの数です。問い合わせの完了ページでキーイベントを計測している場合、完了ページのキーイベント数は多くなりますが、それ以外のページのキーイベント数はほぼ 0 になります。どのページが成果に貢献しているかを見るには、次のランディング ページ レポートや、探索のファネル・経路(第 6 部)を使いましょう。
ランディング ページ レポート
ランディング ページ レポートは、セッションの最初に表示されたページごとの成果を表示します。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| セッション数 | そのページから始まったセッションの数 |
| ユーザー数 | そのページから訪問を始めたユーザーの数 |
| 新規ユーザー数 | そのページから初めて訪れたユーザーの数 |
| セッションあたりの平均エンゲージメント時間 | そのページから始まった訪問の、平均エンゲージメント時間 |
| キーイベント数 | そのページから始まった訪問で発生したキーイベントの数 |
| 総収益 | そのページから始まった訪問でもたらされた収益 |
ランディング ページ レポートは、セッション単位 で集計されているため、「そのページから入った訪問が、最終的に成果につながったか」を評価できます。
ランディング ページの評価のしかた
ランディング ページは、「量」と「質」の 2 軸で評価すると、改善の優先順位を決めやすくなります。
| 質が高い(エンゲージメント率・キーイベント率が高い) | 質が低い | |
|---|---|---|
| 量が多い(セッション数が多い) | 維持:主力のページ。内容を最新に保つ | 改善の最優先:多くの人が来るのに成果につながっていない。導線や内容を見直す |
| 量が少ない | 集客を強化:成果につながりやすいので、検索や広告で流入を増やす | 後回し:まずはほかのページを優先する |
ポイント ランディング ページ レポートに、エンゲージメント率や「セッションのキーイベント率」が初期状態で表示されていない場合は、レポートのカスタマイズ(第 9 章)で指標を追加しましょう。
実例:読まれていない記事を探す
最後に、エンゲージメント レポートを使った分析の実例を紹介します。オウンドメディアで、「検索から来ているのに読まれていない記事」を探して、リライトの候補にする方法です。
ステップ 1:ランディング ページ レポートを開く
「エンゲージメント」→「ランディング ページ」を開き、期間を過去 90 日間など、ある程度長めに設定します。
ステップ 2:自然検索の訪問に絞り込む
画面上部の「フィルタを追加」(または比較の追加)で、「セッションのデフォルト チャネル グループ」が「Organic Search」と完全一致する条件を設定します。
ステップ 3:記事ページに絞り込む
表の検索ボックスに /blog/ など、記事ページの URL に共通する文字列を入力して、記事ページだけを表示します。
ステップ 4:指標を見比べる
セッション数の多い順に並べ、エンゲージメント率とセッションあたりの平均エンゲージメント時間を確認します。
例)
ランディング ページ セッション エンゲージメント率 平均エンゲージメント時間
/blog/ga4-setup/ 3,200 72.0% 2 分 10 秒
/blog/utm-guide/ 2,800 45.3% 0 分 35 秒 ← 要確認
/blog/bounce-rate/ 1,900 68.5% 1 分 50 秒
/blog/search-console/ 1,500 41.0% 0 分 28 秒 ← 要確認
(数値は例)
セッション数が多いのに、エンゲージメント率やエンゲージメント時間がほかの記事より明らかに低い記事が、リライトの候補です。
ステップ 5:原因の仮説を立てる
| 考えられる原因 | 確認方法 |
|---|---|
| 検索した人が求めている情報と、記事の内容がずれている | Search Console で、その記事に流入しているクエリを確認する |
| 記事の冒頭で結論がわからない | 実際に記事を読んでみる。ヒートマップ ツールで、どこまで読まれているかを確認する |
| スマホで読みにくい | デバイス別にエンゲージメント率を比べる |
| 情報が古い | 記事の公開日・更新日を確認する |
原因の仮説が立ったら、リライトを行い、数週間後に同じ手順でエンゲージメント率の変化を確認します。
よくある質問
Q. 「ページとスクリーン」のレポートで、同じページが複数の行に分かれています。
A. ディメンションを「ページ パスとスクリーン クラス」にしている場合、URL の末尾のスラッシュの有無(/about と /about/)や、大文字・小文字の違いで、別の行になることがあります。ページ タイトルで見ると、同じページのタイトルが同じなら 1 行にまとまります。ただし、タイトルが同じ別のページもまとまってしまうため、目的に合わせて使い分けましょう。
Q. クエリ パラメータ付きの URL が、別々のページとして表示されます。
A. 「ページ パスとスクリーン クラス」は、クエリ パラメータを含まないパスです。クエリ パラメータを含む URL が別々に表示されるのは、「ページ パス + クエリ文字列」などのディメンションを使っている場合です。分析の目的に応じて、ディメンションを選び直しましょう。
Q. 平均エンゲージメント時間が 0 秒のページがあります。
A. そのページを最後に離脱したユーザーのエンゲージメントの時間が、送信される前にページが閉じられた場合などに起きます。また、ページを開いてすぐに別のページに移った場合も、時間は短くなります。1 つのページだけで判断せず、同じ種類のページと比べたり、スクロールの計測と合わせて見たりしましょう。
Q. イベント レポートに、知らないイベントがあります。
A. GA4 が自動で収集するイベント(first_visit、session_start、user_engagement など)や、拡張計測機能のイベント(scroll、click、file_download など)が含まれます(第 3 部)。自社で設定していないのに、見慣れない名前のイベントがある場合は、ほかの人が GTM で追加した可能性があるので、GTM のバージョンの履歴を確認しましょう。
実践ワーク
エンゲージメントのレポートを使って、自社のサイトの「よく読まれているページ」と「読まれていないページ」の一覧を作りましょう。
- 「ページとスクリーン」のレポートで、期間を過去 28 日にする
- 表示回数の多い順に、上位 30 ページを書き出す
- それぞれの平均エンゲージメント時間を書き出し、全体の平均と比べる
- 表示回数が多いのに、平均エンゲージメント時間が全体の平均の半分以下のページに印を付ける
- 印を付けたページを実際に開き、「訪れた人が知りたいことに、すぐ答えているか」を確認する
このワークで見つけたページは、この章の実例(読まれていない記事を探す)の改善の候補になります。改善したら、改善の日付と内容を記録し、1 か月後に同じ指標を比べましょう。
まとめ
- エンゲージメント レポートには、イベント、ページとスクリーン、ランディング ページなどがある
- イベント レポートは、分析だけでなく計測の健全性のチェックにも使う
- ページとスクリーン レポートでよく見られているページを、ランディング ページ レポートで入口としての成果を評価する
- ランディング ページは「量」と「質」の 2 軸で評価し、改善の優先順位を決める
- 「自然検索から多く来ているのに、エンゲージメントが低い記事」は、リライトの有力な候補
次の章では、売上と商品の動きを確認する、収益化レポートの使い方を学びます。