5.7 ユーザー属性とテクノロジー レポート

どんな人がどんな環境で見ているかを把握します。
基礎書籍換算 約 8 ページ

この章で学ぶこと

  • ユーザー属性の概要と詳細レポートの使い方
  • テクノロジーの概要と詳細レポートの使い方
  • スマホ最適化の優先度を判断する方法
  • アクセシビリティの改善につながるヒント

ユーザー属性の詳細

「レポート」→「ユーザー」→「ユーザー属性」には、ユーザーの地域、言語、年齢、性別、インタレストに関するレポートがあります。

レポート内容
ユーザー属性の概要国、市区町村、性別、インタレスト、年齢、言語のカード
ユーザー属性の詳細選んだディメンションごとの詳細な表

ユーザー属性の詳細 レポートでは、表の左上のディメンションを切り替えて、次のような切り口で見られます。

  • 国、地域、市区町村
  • 言語
  • 年齢
  • 性別
  • インタレスト カテゴリ

各行には、ユーザー数、新規ユーザー数、エンゲージのあったセッション数、エンゲージメント率、キーイベント数、総収益などが表示されます。

ユーザー属性レポートの使い方

第 4 部で説明したとおり、年齢・性別・インタレストのデータは、一部のユーザーの推定を含むデータです。次のような 大まかな確認 に使いましょう。

確認すること例
ターゲットに届いているか20〜30 代向けの商品のサイトに、その年代のユーザーが来ているか
想定外の層が来ていないかBtoB のサイトに、関係のない層からのアクセスが増えていないか
地域の偏り店舗のある地域からのアクセスがどれくらいか
言語の分布海外からのアクセスがあり、多言語対応を検討する価値があるか

ポイント 地域別のレポートでは、「国」で全体を見たあと、「地域」(都道府県)に切り替えると、国内のどこからアクセスが多いかがわかります。店舗ビジネスでは、出店エリアと、ウェブのアクセスが多いエリアのずれを確認すると、新しい出店や地域限定の広告の参考になります。

年齢・性別が表示されない場合

ユーザー属性の年齢や性別のカードが空になっている、または「unknown」ばかりの場合は、次のような原因が考えられます。

  • Google シグナルが有効になっていない(第 2 部)
  • しきい値が適用されている(期間を長くすると表示されることがある)
  • そもそもアクセス数が少ない

テクノロジーの詳細

「レポート」→「ユーザー」→「テクノロジー」には、ユーザーの端末やブラウザに関するレポートがあります。

レポート内容
テクノロジーの概要プラットフォーム、OS、デバイス カテゴリ、ブラウザ、画面の解像度、アプリのバージョンなどのカード
テクノロジーの詳細選んだディメンションごとの詳細な表

テクノロジーの詳細 レポートでは、次のようなディメンションに切り替えられます。

  • ブラウザ
  • デバイス カテゴリ
  • デバイスのモデル
  • 画面の解像度
  • アプリのバージョン(アプリの場合)
  • プラットフォーム
  • OS のバージョン
  • オペレーティング システム

スマホ最適化の判断材料

テクノロジーのレポートが最も役立つのは、スマホへの対応をどこまで優先するか を判断するときです。

ステップ 1:デバイスの比率を確認する

テクノロジーの詳細レポートで「デバイス カテゴリ」を表示し、mobile / desktop / tablet の比率を確認します。

デバイス カテゴリユーザーの割合(例)
mobile68%
desktop29%
tablet3%

多くのサイトでは、スマホのユーザーが過半数を占めています。BtoB サイトでは、パソコンの割合が高いこともあります。

ステップ 2:デバイスごとの成果を比べる

同じ表で、デバイスごとのエンゲージメント率とキーイベント率を比べます。

デバイス カテゴリユーザーの割合エンゲージメント率キーイベント率
mobile68%52%0.9%
desktop29%70%2.6%

(数値は例)

スマホのユーザーが多いのに、スマホのエンゲージメント率やキーイベント率がパソコンより大きく低い場合、スマホの体験に改善の余地がある 可能性があります。

ステップ 3:どのページで差が大きいかを確認する

探索レポート(第 6 部)で、「ランディング ページ × デバイス カテゴリ」の表を作り、差が特に大きいページを探します。

  • 差が大きいページをスマホで実際に開き、表示が崩れていないか、文字が小さすぎないか、ボタンが押しにくくないかを確認する
  • フォームのページで差が大きい場合は、入力項目の多さや、スマホでの入力のしにくさを確認する

ポイント 開発者や制作担当者は、パソコンでサイトを確認することが多いため、スマホでの不具合に気づきにくいものです。デバイス別の数値の差は、「スマホで実際に操作してみる」きっかけとして使いましょう。

画面の解像度でデザインの優先度を決める

「画面の解像度」のディメンションを見ると、ユーザーが使っている画面の大きさの分布がわかります。

例)画面の解像度別のユーザー
390x844    22%  (iPhone の一般的な機種)
393x852    15%
1920x1080  12%  (一般的なパソコンのモニター)
430x932     9%
1536x864    6%
...

デザインやサイトの改修のときに、上位の解像度で表示を確認するようにすると、多くのユーザーにとって見やすいサイトになります。

アクセシビリティへの示唆

テクノロジーのデータは、アクセシビリティ(さまざまな人や環境で使いやすいこと)の改善のヒントにもなります。

データ示唆
古い OS やブラウザのユーザーがいる新しい技術だけに頼ったデザインでは、表示できない人がいる
小さい画面のユーザーが多い文字の大きさ、ボタンの大きさ、余白に配慮が必要
タブレットのユーザーがいるスマホとパソコンの中間の画面幅でも崩れないか確認が必要
特定のブラウザでエンゲージメントが低いそのブラウザでの表示や動作の確認が必要

ただし、GA4 のデータでは、スクリーン リーダーなどの支援技術を使っているかどうかはわかりません。アクセシビリティの改善は、GA4 のデータだけに頼らず、ガイドライン(JIS X 8341-3 や WCAG など)に沿った点検や、実際のユーザーの声とあわせて進めましょう。

注意 「古いブラウザのユーザーは少ないから、対応しなくてよい」と判断する前に、そのユーザーのキーイベント率や収益も確認しましょう。人数は少なくても、成果への貢献が大きい場合があります(たとえば、会社の古いパソコンから注文する法人のお客様など)。

よくある質問

Q. 画面の解像度のデータは、何に使えますか。

A. ユーザーがどのくらいの大きさの画面でサイトを見ているかがわかるので、デザインの確認の基準 に使えます。上位の解像度でサイトを表示して、ボタンや文字が見切れていないか、ファーストビューで重要な情報が見えるかを確認しましょう。

Q. 古い OS やブラウザのユーザーは、どのくらいまで対応すべきですか。

A. 割合と、そのユーザーの 成果への貢献 の両方で判断します。割合が小さくても、キーイベントが多いなら、対応する価値があります。逆に、割合が小さく、成果も少ない環境は、表示が大きく崩れないことを確認する程度にとどめる判断もあります。

Q. アプリのバージョンのデータは、どう使いますか。

A. アプリを計測している場合、アプリのバージョンごとに、クラッシュやエンゲージメント、キーイベントを比べられます。新しいバージョンを公開したあとに、特定のバージョンでエンゲージメントが下がっていれば、不具合の可能性があります(第 2 部の第 7 章)。

Q. アクセシビリティの改善の効果は、GA4 で測れますか。

A. GA4 だけで、アクセシビリティの改善を直接測るのは難しいですが、改善の前後で、エンゲージメント率やフォームの完了率、特定のデバイスやブラウザでの離脱の変化を比べることで、間接的に効果を確かめられます。ユーザーへのヒアリングや、アクセシビリティの検査ツールと組み合わせましょう。

実践ワーク

テクノロジーのレポートを使って、「確認すべき環境」の一覧を作りましょう。

  1. デバイス カテゴリ × OS × ブラウザの組み合わせで、ユーザー数の上位 10 件を書き出す
  2. それぞれのエンゲージメント率とキーイベント率を書き出す
  3. 全体の平均より、エンゲージメント率が大きく低い組み合わせに印を付ける
  4. 印を付けた環境で、実際にサイトを表示し、問題がないかを確認する(実機がなければ、ブラウザの開発者ツールの端末のシミュレーションを使う)
環境(デバイス / OS / ブラウザ)ユーザー数エンゲージメント率キーイベント率確認の結果

問題が見つかったら、制作の担当者に、環境と再現の手順を添えて修正を依頼しましょう。

まとめ

  • ユーザー属性レポートでは、地域・言語・年齢・性別・インタレストの大まかな傾向を確認する
  • 年齢や性別が表示されない場合は、Google シグナルやしきい値を確認する
  • テクノロジー レポートでデバイスの比率と成果を比べ、スマホ最適化の優先度を判断する
  • 差が大きいページは、実際にスマホで操作して確認する
  • 画面の解像度や OS のデータは、デザインやアクセシビリティの改善のヒントになる

次の章では、どのレポートでも使える、比較・フィルタ・セカンダリ ディメンションなどの操作テクニックを学びます。