5.8 レポートの操作テクニック
この章で学ぶこと
- 比較機能で、条件の異なるデータを並べて見る方法
- フィルタでレポートを絞り込む方法
- セカンダリ ディメンションで表を掘り下げる方法
- 並べ替えと検索で目的の行を見つける方法
- レポートの共有とエクスポートの方法
比較機能
比較 は、標準レポートで最もよく使う機能の一つです。条件を指定して比較を作ると、レポートのすべてのグラフと表で、条件ごとの数値が並べて表示されます。
比較の作り方
- レポートの上部にある「比較を追加」(または「すべてのユーザー」の横の「+」)を押す
- 「新しい比較を作成」で、ディメンションを選ぶ(例:デバイス カテゴリ)
- 条件(「次を含む」「次と完全一致」など)と値を選ぶ(例:mobile)
- 「適用」を押す
比較は最大 4 つまで同時に表示できます。たとえば、「すべてのユーザー」「mobile」「desktop」の 3 つを並べると、全体とスマホ・パソコンの違いが一度にわかります。
よく使う比較の例
| 比較 | ディメンションと条件 | わかること |
|---|---|---|
| スマホ vs パソコン | デバイス カテゴリ = mobile / desktop | デバイスによる行動や成果の違い |
| 新規 vs リピーター | 新規 / 既存 = new / returning | 初めての人と、何度も来ている人の違い |
| 検索 vs その他 | セッションのデフォルト チャネル グループ = Organic Search | 自然検索から来た人の特徴 |
| 国内 vs 海外 | 国 = Japan / Japan 以外 | 海外からのアクセスの影響 |
| 特定のキャンペーン | セッションのキャンペーン = 〇〇 | キャンペーンから来た人の行動 |
ポイント 比較は、別のレポートに移動しても保持されます。「スマホ vs パソコン」の比較を作ったまま、集客、エンゲージメント、収益化と順番にレポートを見ていくと、デバイスによる違いを多角的に確認できます。
比較と期間の比較の違い
期間の指定欄で「比較」をオンにすると、期間 の比較ができます(第 1 部)。「比較を追加」は 条件 の比較です。両方を同時に使うこともできますが、表が複雑になるので、最初はどちらか一方を使うのがおすすめです。
フィルタ
フィルタ は、レポートに表示するデータを、条件に合うものだけに絞り込む機能です。
フィルタの付け方
- レポートの上部にある「フィルタを追加」(または比較の横のフィルタのアイコン)を押す
- ディメンションと条件、値を指定する(例:ページパスとスクリーン クラス が
/blog/で始まる) - 「適用」を押す
比較とフィルタの違い
| 機能 | 動作 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 比較 | 条件ごとに数値を 並べて 表示する | 複数の条件の違いを見たいとき |
| フィルタ | 条件に合うデータ だけ を表示する | 特定の範囲に絞って詳しく見たいとき |
たとえば、「ブログのページだけについて、チャネル別の成果を見たい」場合は、ページパスでフィルタをかけてから、トラフィック獲得レポートを見る、という使い方をします。
注意 フィルタを付けたままほかのレポートに移ると、意図せず絞り込まれたデータを見てしまうことがあります。分析が終わったら、フィルタを外すのを忘れないようにしましょう。
セカンダリ ディメンション
セカンダリ ディメンション は、表にもう 1 つディメンションを追加して、行を細かく分ける機能です。
セカンダリ ディメンションの付け方
- 表の左上のディメンション名の横にある「+」を押す
- 追加したいディメンションを選ぶ(検索もできる)
たとえば、トラフィック獲得レポート(セッションのデフォルト チャネル グループ)にセカンダリ ディメンションとして「デバイス カテゴリ」を追加すると、次のような表になります。
| セッションのデフォルト チャネル グループ | デバイス カテゴリ | セッション数 | キーイベント率 |
|---|---|---|---|
| Organic Search | mobile | 5,600 | 1.4% |
| Organic Search | desktop | 2,700 | 3.1% |
| Direct | mobile | 1,900 | 1.8% |
| Direct | desktop | 1,200 | 3.6% |
| Organic Social | mobile | 1,850 | 0.3% |
| … | … | … | … |
(数値は例)
よく使う組み合わせ
| 主なディメンション | セカンダリ ディメンション | わかること |
|---|---|---|
| セッションのチャネル | デバイス カテゴリ | チャネルごとのデバイスの違い |
| セッションのチャネル | ランディング ページ | チャネルごとの入口のページ |
| ランディング ページ | セッションの参照元 / メディア | そのページにどこから来ているか |
| ページパス | ホスト名 | 複数ドメインのどちらのページか |
| イベント名 | ページパス | どのページでそのイベントが発生しているか |
| 国 | 地域 | 国の中の地域の内訳 |
ポイント 標準レポートで指定できるセカンダリ ディメンションは 1 つだけです。3 つ以上のディメンションを組み合わせたい場合や、行と列の両方にディメンションを置きたい場合は、探索レポートの「自由形式」(第 6 部)を使いましょう。
並べ替えと検索
並べ替え
表の列の見出し(指標の名前)をクリックすると、その列で並べ替えができます。もう一度クリックすると、昇順と降順が切り替わります。
| 並べ替えの例 | わかること |
|---|---|
| セッション数の多い順 | 量の大きい行 |
| エンゲージメント率の低い順 | 質に問題のある行(ただし、母数が少ない行に注意) |
| キーイベント率の高い順 | 成果につながりやすい行 |
注意 率の指標で並べ替えると、セッション数がごくわずかな行が上位に来ることがあります(1 セッションでキーイベント 1 件なら 100%)。率で並べ替えるときは、セッション数などの母数もあわせて確認しましょう(第 4 部)。
検索
表の上にある検索ボックスに文字列を入力すると、主なディメンションの値にその文字列を含む行だけが表示されます。
- ページの一覧で
/blog/と入力すると、ブログのページだけが表示される - 参照元 / メディアの一覧で
googleと入力すると、Google に関連する流入だけが表示される - イベントの一覧で
clickと入力すると、名前に click を含むイベントだけが表示される
「〇〇で始まる」「A または B」のような細かい条件で絞り込みたい場合は、検索ボックスではなくフィルタ(正規表現の条件も指定できる)を使いましょう。
表の行数
初期状態では、表には 10 行程度しか表示されません。表の右下にある「1 ページあたりの行数」で、最大 250 行まで表示を増やせます。
共有とエクスポート
レポートの右上にあるアイコンから、レポートを共有したり、ファイルに書き出したりできます。
| 機能 | 内容 | 使いどころ |
|---|---|---|
| リンクを共有 | 表示中のレポートの URL をコピーする | 同じ GA4 にアクセスできる人に、同じ画面を見てもらう |
| ファイルをダウンロード(PDF) | レポートを PDF で保存する | 会議の資料、記録 |
| ファイルをダウンロード(CSV) | 表のデータを CSV で保存する | スプレッドシートで加工・集計する |
| Google スプレッドシートにエクスポート | 表のデータをスプレッドシートに直接書き出す | チームで共有しながら加工する |
共有のときの注意点
- リンクの共有:GA4 のプロパティへのアクセス権がない人は、リンクを開いても見られない
- 比較やフィルタ:リンクを共有すると、期間や比較などの条件も一緒に共有される(条件が意図どおりか確認してから共有する)
- CSV の内容:エクスポートされるのは、表示中の表のデータ(行数の設定に注意)。グラフのデータは含まれないことがある
ポイント 毎月同じレポートを作っている場合は、エクスポートして手作業で加工するより、Looker Studio(第 10 部)でダッシュボードを作ったほうが効率的です。手作業の集計を自動化できます。
よくある質問
Q. 比較を追加したら、表の数値が見にくくなりました。
A. 比較を追加すると、表の各行が比較の数だけ分かれて表示されます。比較が 3 つ以上あると、表が縦に長くなり、読みにくくなります。比較は 2 つまで に絞るか、グラフ(折れ線や棒)で全体の傾向を見てから、気になる部分だけを表で確認しましょう。
Q. フィルタを付けたまま、ほかのレポートに移ると、フィルタは残りますか。
A. 標準レポートで画面の上から付けたフィルタは、基本的にそのレポートを見ている間だけのものです。ほかのレポートに移ると外れることが多いので、同じ条件で複数のレポートを見たい場合は、比較 を使うか、毎回同じ条件を付け直しましょう。決まった条件で何度も見るなら、レポートのカスタマイズ(次の章)で、フィルタ付きのレポートを作っておく方法もあります。
Q. セカンダリ ディメンションを付けたら、行の数が急に増えて合計が合わなくなりました。
A. セカンダリ ディメンションを付けると、1 つの行が、2 つ目のディメンションの値ごとに分かれます。ユーザー数のように 重複を除いて数える指標 は、行に分けると、同じユーザーが複数の行に数えられることがあります。そのため、行の合計と、表の上の合計の行の値が一致しないことがあります。これは異常ではありません(第 4 部)。
Q. 共有のリンクを送ったのに、相手の画面では数値が違って見えるそうです。
A. 相手が、別の 期間 や、別の レポート用識別子、別の権限(データ制限)で見ている可能性があります。共有するときは、期間と、比較・フィルタの条件を、メッセージにも書いておくと、行き違いを防げます。
実践ワーク
次の 3 つの問いに、標準レポートの操作だけで答えてみましょう。
| 問い | 使う操作のヒント |
|---|---|
| 先月、スマホとパソコンで、エンゲージメント率はどれくらい違ったか | 比較で「デバイス カテゴリ」を 2 つ追加する |
| Organic Search から来たセッションで、最も多く見られたランディング ページはどこか | トラフィック獲得、またはランディング ページのレポートで、フィルタとセカンダリ ディメンションを使う |
| 先月と前年同月で、新規ユーザー数が最も増えたチャネルはどれか | 期間の比較を設定し、ユーザー獲得のレポートで、変化率で並べ替える |
答えを出したら、その結果から 考えられる理由 と、次に確かめたいこと を 1 行ずつ書いてみましょう。操作に慣れるだけでなく、「数値を見て考える」練習になります。
まとめ
- 比較を使うと、条件ごとの数値を並べて表示でき、別のレポートに移っても保持される
- フィルタは、条件に合うデータだけに絞り込む。使い終わったら外すのを忘れない
- セカンダリ ディメンションで、表の行をもう 1 つの切り口で分けられる
- 並べ替えと検索で、目的の行を素早く見つける。率で並べ替えるときは母数に注意
- レポートはリンク・PDF・CSV・スプレッドシートで共有・エクスポートできる
次の章では、ライブラリ機能を使って、標準レポートのメニューや内容を自分たち用にカスタマイズする方法を学びます。