5.9 レポートのカスタマイズ
この章で学ぶこと
- ライブラリの仕組み(コレクション・トピック・レポート)
- 詳細レポートの指標やディメンションを編集する方法
- 概要レポートにサマリー カードを追加する方法
- コレクションとトピックを作って、左メニューを作り替える方法
- チームで使いやすいメニューの設計
注意 この章で紹介するカスタマイズには、プロパティの 編集者以上 の権限が必要です。カスタマイズしたレポートは、そのプロパティを見るすべての人に反映されるので、チームで相談しながら進めましょう。
ライブラリとは
ライブラリ は、標準レポートの左メニューの構成や、各レポートの内容を管理する機能です。「レポート」の左メニューの一番下にある「ライブラリ」から開けます。
ライブラリでは、レポートは次の 3 つの階層で管理されています。
コレクション(例:ライフサイクル)
└─ トピック(例:集客)
├─ 概要レポート(例:集客サマリー)
└─ 詳細レポート(例:ユーザー獲得、トラフィック獲得)
| 階層 | 役割 | 左メニューでの表示 |
|---|---|---|
| コレクション | レポートの大きなまとまり | 見出し(「ライフサイクル」「ユーザー」など) |
| トピック | コレクションの中の小さなまとまり | 折りたたみ可能な項目(「集客」「エンゲージメント」など) |
| レポート | 個々のレポート | クリックできる項目 |
レポートには、概要レポート(カードが並ぶサマリー)と 詳細レポート(グラフと表のレポート)の 2 種類があります。
ライブラリでできること
- 既存のレポートを編集する(指標・ディメンション・グラフの変更)
- 既存のレポートをコピーして、新しいレポートを作る
- 新しいレポートをゼロから作る
- コレクションやトピックを作り、左メニューの構成を変える
- コレクションを「公開」して、左メニューに表示する、または「非公開」にして隠す
詳細レポートの編集
最もよく使うのが、詳細レポートの編集 です。たとえば、「ランディング ページ レポートにエンゲージメント率とキーイベント率を追加したい」という場合に使います。
編集の手順
- 編集したいレポートを開き、右上の「レポートをカスタマイズ」(鉛筆のアイコン)を押す
- 右側に編集パネルが表示される。次の項目を変更できる
- ディメンション:表で選べるディメンションの追加・削除・並べ替え、初期表示のディメンションの指定
- 指標:表に表示する指標の追加・削除・並べ替え
- グラフ:表の上に表示するグラフの種類(折れ線、棒、散布図)の選択や非表示
- レポートのフィルタ:レポート全体に常にかけておくフィルタ
- サマリー カード:概要レポートに表示するカードの作成
- 「保存」を押し、次のどちらかを選ぶ
- 現在のレポートへの変更を保存:元のレポートを上書きする
- 新しいレポートとして保存:元のレポートは残し、新しいレポートを作る
ポイント 元のレポートを上書きするのが不安な場合は、「新しいレポートとして保存」を選びましょう。新しく作ったレポートは、ライブラリからコレクションのメニューに追加すると、左メニューに表示されます。
カスタマイズの例
| レポート | 追加・変更する内容 | 目的 |
|---|---|---|
| ランディング ページ | エンゲージメント率、セッションのキーイベント率を追加 | 入口のページの質を評価しやすくする |
| トラフィック獲得 | 直帰率を追加 | UA に慣れた人向けに、なじみのある指標を表示する |
| ページとスクリーン | 初期表示のディメンションを「ページパスとスクリーン クラス」に変更 | URL で分析しやすくする |
| イベント | レポートのフィルタで、自動収集イベントを除外 | 自社で実装したイベントだけを見やすくする |
| 集客サマリー | キーイベント別のカードを追加 | 主要な成果を一目で確認できるようにする |
レポートのフィルタ
詳細レポートの編集パネルでは、レポートのフィルタ を設定できます。レポートのフィルタは、そのレポートを開いたときに常に適用されるフィルタです。
たとえば、「ブログ記事のランディング ページ」というレポートを作り、レポートのフィルタで「ランディング ページが /blog/ を含む」を設定すると、ブログの担当者が毎回フィルタを設定しなくても、ブログのページだけを見られるようになります。
サマリー カードの追加
概要レポート(集客サマリー、エンゲージメントの概要など)には、カードを追加・削除・並べ替えできます。
カードの追加の手順
- 概要レポートを開き、「レポートをカスタマイズ」を押す
- 「カードを追加」を押す
- 既存のカードから選ぶか、「サマリー カードを作成」で新しいカードを作る
- ディメンション(例:セッションのデフォルト チャネル グループ)
- 指標(例:キーイベント数)
- 表示の形式(棒グラフ、ドーナツ グラフ、表など)
- 「保存」を押す
サマリー カードの活用例
- 主要なキーイベントのカード:「キーイベント名別のキーイベント数」をスナップショットに置いて、毎朝成果を確認する
- チャネル別の新規ユーザー:集客の担当者が毎週確認するカードを集客サマリーに置く
- よく売れている商品:EC の担当者向けに、アイテム別の収益のカードを置く
コレクションとトピック
ライブラリでは、左メニューの構成そのものを作り替えることもできます。
新しいコレクションを作る手順
- 「ライブラリ」を開き、「コレクションを作成」を押す
- テンプレートを選ぶか、「空白」から始める
- コレクションの名前を入力する(例:「マーケティング チーム」)
- 「トピックを作成」でトピックを追加する(例:「集客」「成果」)
- 右側のレポートの一覧から、トピックにレポートをドラッグして追加する
- 「保存」を押す
- ライブラリの一覧でコレクションの「︙」を押し、「公開」を選ぶ
公開すると、左メニューにコレクションが表示されます。不要なコレクションは「非公開」にすると、左メニューから隠せます(削除はされません)。
注意 既定の「ライフサイクル」や「ユーザー」のコレクションを非公開にすると、ほかのメンバーも左メニューで見られなくなります。既定のコレクションはそのまま残し、チーム用のコレクションを追加する形で始めるのが安全です。
チーム向けのメニュー設計
最後に、チームで使いやすい左メニューを設計するための考え方を紹介します。
役割ごとのコレクションを作る
チームの役割によって、よく見るレポートは異なります。
| コレクション | 主な利用者 | トピックとレポートの例 |
|---|---|---|
| 経営サマリー | 経営層、事業責任者 | 成果(キーイベント、収益)、集客の全体像 |
| マーケティング | マーケティング担当 | 集客(チャネル別、キャンペーン別)、ランディング ページ |
| コンテンツ | 編集・制作担当 | ページとスクリーン、ブログのランディング ページ、サイト内検索 |
| EC | EC 担当 | 収益化、e コマース購入数、購入経路 |
設計のポイント
- よく見るレポートを上に置く:毎日・毎週見るレポートを上位に配置する
- 名前をわかりやすくする:「トラフィック獲得」のような GA4 の用語ではなく、「流入元別の訪問と成果」のように、チームの誰が見てもわかる名前にする(レポートのタイトルは編集できる)
- レポートの数を絞る:レポートが多すぎると、どれを見ればよいかわからなくなる。各トピックのレポートは 3〜5 個程度に絞る
- 定期的に見直す:使われていないレポートは整理する
ビジネス目標のコレクション
プロパティの作成時にビジネス目標(第 2 部)を選んでいる場合、「ビジネス目標」のようなコレクションが用意されていることがあります。これは、選んだ目標(見込み顧客の発掘、オンライン販売の促進など)に関連するレポートをまとめたものです。自社に合っていれば、そのまま使ったり、編集して使ったりしましょう。
よくある質問
Q. レポートのカスタマイズは、ほかのユーザーの画面にも反映されますか。
A. ライブラリで編集・公開したレポートやコレクションは、そのプロパティを見る すべてのユーザーの左メニュー に反映されます。自分だけの見やすさのために変更すると、ほかの人が「いつものレポートがなくなった」と困ることがあります。メニューを変えるときは、チームに事前に知らせましょう。
Q. カスタマイズの操作ができません。
A. ライブラリやレポートの編集には、プロパティの 編集者以上 の権限が必要です(第 2 部)。閲覧者やアナリストの権限では、レポートの公開や、左メニューの変更はできません。自分の分析のために表を作りたいだけであれば、探索(第 6 部)を使うのがおすすめです。
Q. 元のレポートに戻したいときは、どうすればよいですか。
A. ライブラリの中で、GA4 が最初から用意している デフォルトのレポートやコレクション は、編集したものとは別に残っています。カスタマイズしたレポートの公開をやめて、元のレポートを公開し直せば、元の状態に戻せます。大きく変更する前は、元のレポートを コピーしてから 編集すると安心です。
Q. どのくらいカスタマイズすればよいですか。
A. 最初は、よく使うレポートを 見つけやすくする(並び順を変える、不要なレポートを非公開にする)程度から始めましょう。指標やディメンションを大きく変えると、ほかの資料や研修の説明と、画面が合わなくなることがあります。
実践ワーク
自社のチームの左メニューを、次の手順で設計してみましょう。
- チームのメンバーが、日ごろよく見るレポートを 5 つ書き出す(聞き取りをしてもよい)
- 逆に、ほとんど使われていないレポートを書き出す
- 「集客を見る人」「コンテンツを見る人」「成果を見る人」など、役割ごとに必要なレポートを分ける
- 役割ごとのトピックを持つコレクションの案を作る
- ライブラリで、まず コピーしたコレクション として作り、数週間使ってもらってから、元のコレクションと入れ替えるかを決める
コレクションの案の例:「サイト運営チーム」
トピック 1:集客 ─ トラフィック獲得、ランディング ページ
トピック 2:コンテンツ ─ ページとスクリーン、サイト内検索(カスタム レポート)
トピック 3:成果 ─ キーイベント、問い合わせフォーム別(カスタム レポート)
メニューの設計は、使ってもらいながら見直すことが大切です。四半期に 1 回程度、使われているかを確認しましょう。
まとめ
- ライブラリでは、レポートをコレクション → トピック → レポートの 3 階層で管理する
- 詳細レポートは、指標・ディメンション・グラフ・レポートのフィルタを編集でき、新しいレポートとして保存できる
- 概要レポートには、サマリー カードを追加して、よく見る指標を集められる
- コレクションを作って公開すると、左メニューの構成を作り替えられる
- 役割ごとのコレクション、わかりやすい名前、絞り込まれたレポート数で、チームで使いやすいメニューにする
これで第 5 部は終わりです。理解度クイズ で確認してみましょう。次の第 6 部では、標準レポートでは答えられない疑問を、探索レポートで自由に深掘りする方法を学びます。