5.9 レポートのカスタマイズ

ライブラリ機能で自分専用のレポートを作ります。
基礎書籍換算 約 12 ページ

この章で学ぶこと

  • ライブラリの仕組み(コレクション・トピック・レポート)
  • 詳細レポートの指標やディメンションを編集する方法
  • 概要レポートにサマリー カードを追加する方法
  • コレクションとトピックを作って、左メニューを作り替える方法
  • チームで使いやすいメニューの設計

注意 この章で紹介するカスタマイズには、プロパティの 編集者以上 の権限が必要です。カスタマイズしたレポートは、そのプロパティを見るすべての人に反映されるので、チームで相談しながら進めましょう。

ライブラリとは

ライブラリ は、標準レポートの左メニューの構成や、各レポートの内容を管理する機能です。「レポート」の左メニューの一番下にある「ライブラリ」から開けます。

ライブラリでは、レポートは次の 3 つの階層で管理されています。

コレクション(例:ライフサイクル)
└─ トピック(例:集客)
    ├─ 概要レポート(例:集客サマリー)
    └─ 詳細レポート(例:ユーザー獲得、トラフィック獲得)
階層役割左メニューでの表示
コレクションレポートの大きなまとまり見出し(「ライフサイクル」「ユーザー」など)
トピックコレクションの中の小さなまとまり折りたたみ可能な項目(「集客」「エンゲージメント」など)
レポート個々のレポートクリックできる項目

レポートには、概要レポート(カードが並ぶサマリー)と 詳細レポート(グラフと表のレポート)の 2 種類があります。

ライブラリでできること

  • 既存のレポートを編集する(指標・ディメンション・グラフの変更)
  • 既存のレポートをコピーして、新しいレポートを作る
  • 新しいレポートをゼロから作る
  • コレクションやトピックを作り、左メニューの構成を変える
  • コレクションを「公開」して、左メニューに表示する、または「非公開」にして隠す

詳細レポートの編集

最もよく使うのが、詳細レポートの編集 です。たとえば、「ランディング ページ レポートにエンゲージメント率とキーイベント率を追加したい」という場合に使います。

編集の手順

  1. 編集したいレポートを開き、右上の「レポートをカスタマイズ」(鉛筆のアイコン)を押す
  2. 右側に編集パネルが表示される。次の項目を変更できる
    • ディメンション:表で選べるディメンションの追加・削除・並べ替え、初期表示のディメンションの指定
    • 指標:表に表示する指標の追加・削除・並べ替え
    • グラフ:表の上に表示するグラフの種類(折れ線、棒、散布図)の選択や非表示
    • レポートのフィルタ:レポート全体に常にかけておくフィルタ
    • サマリー カード:概要レポートに表示するカードの作成
  3. 「保存」を押し、次のどちらかを選ぶ
    • 現在のレポートへの変更を保存:元のレポートを上書きする
    • 新しいレポートとして保存:元のレポートは残し、新しいレポートを作る

ポイント 元のレポートを上書きするのが不安な場合は、「新しいレポートとして保存」を選びましょう。新しく作ったレポートは、ライブラリからコレクションのメニューに追加すると、左メニューに表示されます。

カスタマイズの例

レポート追加・変更する内容目的
ランディング ページエンゲージメント率、セッションのキーイベント率を追加入口のページの質を評価しやすくする
トラフィック獲得直帰率を追加UA に慣れた人向けに、なじみのある指標を表示する
ページとスクリーン初期表示のディメンションを「ページパスとスクリーン クラス」に変更URL で分析しやすくする
イベントレポートのフィルタで、自動収集イベントを除外自社で実装したイベントだけを見やすくする
集客サマリーキーイベント別のカードを追加主要な成果を一目で確認できるようにする

レポートのフィルタ

詳細レポートの編集パネルでは、レポートのフィルタ を設定できます。レポートのフィルタは、そのレポートを開いたときに常に適用されるフィルタです。

たとえば、「ブログ記事のランディング ページ」というレポートを作り、レポートのフィルタで「ランディング ページが /blog/ を含む」を設定すると、ブログの担当者が毎回フィルタを設定しなくても、ブログのページだけを見られるようになります。

サマリー カードの追加

概要レポート(集客サマリー、エンゲージメントの概要など)には、カードを追加・削除・並べ替えできます。

カードの追加の手順

  1. 概要レポートを開き、「レポートをカスタマイズ」を押す
  2. 「カードを追加」を押す
  3. 既存のカードから選ぶか、「サマリー カードを作成」で新しいカードを作る
    • ディメンション(例:セッションのデフォルト チャネル グループ)
    • 指標(例:キーイベント数)
    • 表示の形式(棒グラフ、ドーナツ グラフ、表など)
  4. 「保存」を押す

サマリー カードの活用例

  • 主要なキーイベントのカード:「キーイベント名別のキーイベント数」をスナップショットに置いて、毎朝成果を確認する
  • チャネル別の新規ユーザー:集客の担当者が毎週確認するカードを集客サマリーに置く
  • よく売れている商品:EC の担当者向けに、アイテム別の収益のカードを置く

コレクションとトピック

ライブラリでは、左メニューの構成そのものを作り替えることもできます。

新しいコレクションを作る手順

  1. 「ライブラリ」を開き、「コレクションを作成」を押す
  2. テンプレートを選ぶか、「空白」から始める
  3. コレクションの名前を入力する(例:「マーケティング チーム」)
  4. 「トピックを作成」でトピックを追加する(例:「集客」「成果」)
  5. 右側のレポートの一覧から、トピックにレポートをドラッグして追加する
  6. 「保存」を押す
  7. ライブラリの一覧でコレクションの「︙」を押し、「公開」を選ぶ

公開すると、左メニューにコレクションが表示されます。不要なコレクションは「非公開」にすると、左メニューから隠せます(削除はされません)。

注意 既定の「ライフサイクル」や「ユーザー」のコレクションを非公開にすると、ほかのメンバーも左メニューで見られなくなります。既定のコレクションはそのまま残し、チーム用のコレクションを追加する形で始めるのが安全です。

チーム向けのメニュー設計

最後に、チームで使いやすい左メニューを設計するための考え方を紹介します。

役割ごとのコレクションを作る

チームの役割によって、よく見るレポートは異なります。

コレクション主な利用者トピックとレポートの例
経営サマリー経営層、事業責任者成果(キーイベント、収益)、集客の全体像
マーケティングマーケティング担当集客(チャネル別、キャンペーン別)、ランディング ページ
コンテンツ編集・制作担当ページとスクリーン、ブログのランディング ページ、サイト内検索
ECEC 担当収益化、e コマース購入数、購入経路

設計のポイント

  • よく見るレポートを上に置く:毎日・毎週見るレポートを上位に配置する
  • 名前をわかりやすくする:「トラフィック獲得」のような GA4 の用語ではなく、「流入元別の訪問と成果」のように、チームの誰が見てもわかる名前にする(レポートのタイトルは編集できる)
  • レポートの数を絞る:レポートが多すぎると、どれを見ればよいかわからなくなる。各トピックのレポートは 3〜5 個程度に絞る
  • 定期的に見直す:使われていないレポートは整理する

ビジネス目標のコレクション

プロパティの作成時にビジネス目標(第 2 部)を選んでいる場合、「ビジネス目標」のようなコレクションが用意されていることがあります。これは、選んだ目標(見込み顧客の発掘、オンライン販売の促進など)に関連するレポートをまとめたものです。自社に合っていれば、そのまま使ったり、編集して使ったりしましょう。

よくある質問

Q. レポートのカスタマイズは、ほかのユーザーの画面にも反映されますか。

A. ライブラリで編集・公開したレポートやコレクションは、そのプロパティを見る すべてのユーザーの左メニュー に反映されます。自分だけの見やすさのために変更すると、ほかの人が「いつものレポートがなくなった」と困ることがあります。メニューを変えるときは、チームに事前に知らせましょう。

Q. カスタマイズの操作ができません。

A. ライブラリやレポートの編集には、プロパティの 編集者以上 の権限が必要です(第 2 部)。閲覧者やアナリストの権限では、レポートの公開や、左メニューの変更はできません。自分の分析のために表を作りたいだけであれば、探索(第 6 部)を使うのがおすすめです。

Q. 元のレポートに戻したいときは、どうすればよいですか。

A. ライブラリの中で、GA4 が最初から用意している デフォルトのレポートやコレクション は、編集したものとは別に残っています。カスタマイズしたレポートの公開をやめて、元のレポートを公開し直せば、元の状態に戻せます。大きく変更する前は、元のレポートを コピーしてから 編集すると安心です。

Q. どのくらいカスタマイズすればよいですか。

A. 最初は、よく使うレポートを 見つけやすくする(並び順を変える、不要なレポートを非公開にする)程度から始めましょう。指標やディメンションを大きく変えると、ほかの資料や研修の説明と、画面が合わなくなることがあります。

実践ワーク

自社のチームの左メニューを、次の手順で設計してみましょう。

  1. チームのメンバーが、日ごろよく見るレポートを 5 つ書き出す(聞き取りをしてもよい)
  2. 逆に、ほとんど使われていないレポートを書き出す
  3. 「集客を見る人」「コンテンツを見る人」「成果を見る人」など、役割ごとに必要なレポートを分ける
  4. 役割ごとのトピックを持つコレクションの案を作る
  5. ライブラリで、まず コピーしたコレクション として作り、数週間使ってもらってから、元のコレクションと入れ替えるかを決める
コレクションの案の例:「サイト運営チーム」
トピック 1:集客 ─ トラフィック獲得、ランディング ページ
トピック 2:コンテンツ ─ ページとスクリーン、サイト内検索(カスタム レポート)
トピック 3:成果 ─ キーイベント、問い合わせフォーム別(カスタム レポート)

メニューの設計は、使ってもらいながら見直すことが大切です。四半期に 1 回程度、使われているかを確認しましょう。

まとめ

  • ライブラリでは、レポートをコレクション → トピック → レポートの 3 階層で管理する
  • 詳細レポートは、指標・ディメンション・グラフ・レポートのフィルタを編集でき、新しいレポートとして保存できる
  • 概要レポートには、サマリー カードを追加して、よく見る指標を集められる
  • コレクションを作って公開すると、左メニューの構成を作り替えられる
  • 役割ごとのコレクション、わかりやすい名前、絞り込まれたレポート数で、チームで使いやすいメニューにする

これで第 5 部は終わりです。理解度クイズ で確認してみましょう。次の第 6 部では、標準レポートでは答えられない疑問を、探索レポートで自由に深掘りする方法を学びます。