6.1 探索レポートの基本

探索の画面構成と、変数・設定の考え方を学びます。
実践書籍換算 約 10 ページ

この章で学ぶこと

  • 探索レポートとは何か、標準レポートとの違い
  • 探索の画面構成(変数パネルとタブ設定)
  • テンプレート ギャラリーの使い方
  • 探索の共有と保存期間
  • サンプリングへの対処

探索とは

探索(探索レポート、Explorations)は、ディメンションと指標を自由に組み合わせて、データを深掘りするための機能です。左メニューの「探索」から開けます。

標準レポートと探索の違いを整理しておきましょう。

観点標準レポート探索
目的日々の状況の把握、定点観測疑問の深掘り、仮説の検証
作る人あらかじめ用意されている(ライブラリで編集可)自分で作る
ディメンションの組み合わせ主なディメンション + セカンダリ 1 つ行と列に複数のディメンションを配置できる
分析手法表とグラフ自由形式、ファネル、経路、セグメントの重複、コホート、ユーザー エクスプローラ、ユーザー生涯価値
セグメント使えない(比較で代用)使える
データの期間長期間(集計済みのデータ)データ保持期間の範囲内(最大 14 か月)
サンプリング原則なしデータ量が多いと起こる
見える人プロパティにアクセスできる全員作成者(共有すると閲覧のみ可)

ポイント 「標準レポートでいつもの数値を見て、気になることがあったら探索で深掘りする」というのが基本の使い分けです。最初から探索で分析を始める必要はありません。

探索の手法

探索では、次の 7 つの手法(テクニック)が使えます。第 6 部では、これらを順番に解説していきます。

手法内容解説する章
自由形式表やグラフでクロス集計を行う第 2 章
ファネル データ探索ステップごとの通過率と離脱を見る第 3 章
経路データ探索ユーザーがたどったページやイベントの順番を見る第 4 章
セグメントの重複複数のセグメントの重なりを見る第 6 章
ユーザー エクスプローラ個々のユーザーの行動を時系列で見る第 6 章
コホート データ探索同じ時期に獲得したユーザーの定着を見る第 7 章
ユーザー生涯価値ユーザーがもたらす長期的な価値を見る第 7 章

変数パネルとタブ設定

探索の画面は、左から順に 変数 パネル、タブの設定 パネル、そして キャンバス(結果の表示エリア)の 3 つに分かれています。

┌──────────┬────────────┬───────────────────────┐
│ 変数        │ タブの設定      │ キャンバス(結果)                     │
│            │               │                                    │
│ 探索名      │ 手法           │  [タブ1] [タブ2] [+]                │
│ 期間        │ ビジュアリゼーション │                                    │
│ セグメント   │ セグメントの比較  │   表やグラフ                          │
│ ディメンション │ 行             │                                    │
│ 指標        │ 列             │                                    │
│            │ 値             │                                    │
│            │ フィルタ         │                                    │
└──────────┴────────────┴───────────────────────┘

変数パネル

変数 パネルは、この探索で「使う材料」を準備する場所です。

項目内容
探索名探索の名前(あとで探しやすい名前を付ける)
期間データの期間。比較期間も設定できる
セグメントこの探索で使うセグメント(第 5 章)
ディメンションこの探索で使うディメンション(「+」で追加)
指標この探索で使う指標(「+」で追加)

変数パネルに追加しただけでは、結果には反映されません。変数パネルで準備した材料を、タブの設定パネルにドラッグ&ドロップ(またはダブルクリック)して、初めて結果に表示されます。

タブの設定パネル

タブの設定 パネルは、準備した材料を「どう使うか」を設定する場所です。設定できる項目は手法によって異なります。自由形式の場合は次のとおりです。

項目内容
手法分析の手法(自由形式、ファネルなど)
ビジュアリゼーション表、ドーナツ グラフ、折れ線グラフ、散布図、棒グラフ、地図
セグメントの比較比較するセグメント(最大 4 つ)
行表の行に置くディメンション
列表の列に置くディメンション
値表に表示する指標
フィルタ結果の絞り込み

タブ

キャンバスの上部には タブ があり、1 つの探索の中に複数の分析(最大 10 個)を作れます。同じ変数(期間、セグメント、ディメンション、指標)を使って、手法を変えた分析を並べておくと便利です。

テンプレート ギャラリー

探索の一覧画面の上部には、テンプレート ギャラリー があります。よく使う分析が、あらかじめ設定された状態で用意されています。

テンプレートの種類例
手法のテンプレート自由形式、ファネル データ探索、経路データ探索、セグメントの重複、ユーザー エクスプローラ、コホート データ探索、ユーザー生涯価値
業種別のテンプレートe コマース、ゲーム など
用途別のテンプレート獲得、コンバージョン、ユーザーの行動 など

初めて探索を使うときは、「空白」から始めるより、テンプレートを開いて中身を見てみるのがおすすめです。設定済みの変数やタブの設定を見ると、探索の組み立て方がわかります。

共有と保存期間

探索の共有

作成した探索は、初期状態では 作成者だけ が見られます。ほかのメンバーに見てもらうには、探索を共有します。

  1. 探索を開き、右上の「共有」アイコンを押す
  2. 「探索を共有」を選ぶ

共有された探索は、同じプロパティにアクセスできるメンバーが 閲覧のみ できます。共有された探索を編集したい場合は、メンバーが自分用にコピー(複製)してから編集します。

注意 探索を共有できるのは、アナリスト以上の権限を持つユーザーです。閲覧者の権限では探索を作成・共有できません(第 2 部)。

探索の保存期間

探索には、次のような作成数の上限があります(執筆時点)。

項目内容
1 人あたりの探索の数1 つのプロパティにつき最大 200 個
共有された探索の数1 つのプロパティにつき最大 500 個

また、探索で使えるデータは データ保持期間 の範囲内です(第 2 部)。データ保持期間が 2 か月のままだと、2 か月より前のデータは探索で分析できません。

探索名の付け方

探索が増えると、どれが何の分析かわからなくなります。次のようなルールで名前を付けると、あとで探しやすくなります。

[目的]_[対象]_[作成者]_[日付]
例)フォーム離脱分析_問い合わせ_yamada_202610

サンプリングへの対処

第 3 部で説明したとおり、探索では、1 回の分析で扱うイベントの数が上限(無料版で 1,000 万件)を超えると サンプリング が行われます。

サンプリングの確認

探索のキャンバスの右上にあるアイコンで、データの状態を確認できます。

アイコン意味
緑のチェックサンプリングされていない(すべてのデータを使っている)
黄色の三角サンプリングされている。アイコンにマウスを乗せると、何%のデータに基づいているかがわかる

サンプリングの回避

方法内容
期間を短くする1 年間の分析を、1 か月ずつに分けて行う
セグメントやディメンションを減らす分析の条件を単純にする
標準レポートを使う同じことが標準レポートでわかるなら、そちらを使う
BigQuery を使うサンプリングなしで、すべてのデータを分析する(第 10 部)

アクセス数がそれほど多くないサイト(1 か月のイベント数が 1,000 万件に満たないサイト)では、サンプリングはほとんど起こりません。大規模なサイトで、長期間のデータを細かく分析したい場合に注意しましょう。

探索の「データの品質」

探索では、サンプリングのほかにも、しきい値(第 3 部)や、カーディナリティの上限による「(other)」の発生などで、データの見え方が変わることがあります。キャンバスの右上のアイコンで、データの品質に関する注意が表示されていないかを確認する習慣をつけましょう。

よくある質問

Q. 探索と標準レポートは、どう使い分ければよいですか。

比べる点標準レポート探索
目的定点観測(毎週・毎月同じ数値を見る)深掘り(特定の問いに答える)
見られる人プロパティの権限を持つすべての人作った人(共有すれば閲覧のみで他の人も)
自由度決まった形式(カスタマイズは可能)ディメンション・指標・セグメントを自由に組み合わせる
データの期間長期間の集計データデータの保持期間の範囲

まず標準レポートで「何かおかしい」「気になる」を見つけ、探索で「なぜか」を調べる、という流れが基本です。

Q. 探索で、使いたいディメンションが見つかりません。

A. 変数パネルの「ディメンション」の「+」を押して、使いたいディメンションを 追加 する必要があります。探索を作った直後は、一部のディメンションしか読み込まれていません。カスタム ディメンションも、登録したあとであれば、同じ方法で追加できます(第 3 部)。

Q. 探索の結果を、毎月同じ形で見たいです。

A. 探索は保存しておけば、期間を変えて何度でも使えます。ただし、毎月決まった数値を、チームで見るのであれば、標準レポートのカスタマイズ(第 5 部)や、Looker Studio(第 10 部)で作るほうが向いています。探索は、問いに答えるための「作業台」と考えましょう。

Q. サンプリングを避ける方法はありますか。

A. 期間を短くする、セグメントやディメンションを減らす、標準レポートで見られる内容は標準レポートで見る、などで、サンプリングがかかりにくくなります。サンプリングのない正確な集計が必要なら、BigQuery エクスポートを使いましょう(第 10 部)。

実践ワーク

テンプレート ギャラリーから「自由形式」を選び、次の設定で探索を作ってみましょう。

  1. 期間:過去 28 日間
  2. ディメンション:デバイス カテゴリ、セッションのデフォルト チャネル グループ
  3. 指標:セッション数、エンゲージメント率、キーイベント数
  4. 行:セッションのデフォルト チャネル グループ
  5. 列:デバイス カテゴリ
  6. 値:セッション数

作ったら、値をエンゲージメント率に変えてみて、チャネル × デバイスで、エンゲージメント率が低い組み合わせを探します。最後に、探索に「チャネル × デバイス」などわかりやすい名前を付けて保存しましょう。この探索は、この部の次の章(自由形式)で、さらに詳しく使います。

まとめ

  • 探索は、ディメンションと指標を自由に組み合わせて深掘りする機能で、7 つの手法がある
  • 画面は、材料を準備する変数パネル、使い方を決めるタブの設定パネル、結果を表示するキャンバスで構成される
  • 初めはテンプレート ギャラリーから始めると、探索の組み立て方がわかる
  • 探索は作成者だけが見られ、共有すると閲覧のみ可能になる。データ保持期間の範囲内のデータしか使えない
  • サンプリングはキャンバス右上のアイコンで確認し、期間の短縮や BigQuery で回避する

次の章では、探索で最もよく使う「自由形式」で、クロス集計を行う方法を学びます。