6.2 自由形式

最もよく使うクロス集計で、仮説を素早く確かめます。
実践書籍換算 約 12 ページ

この章で学ぶこと

  • 自由形式で行と列を設定してクロス集計を作る方法
  • ビジュアリゼーション(表・グラフ)の切り替え
  • ネストした行で、ディメンションを階層的に見る方法
  • フィルタで結果を絞り込む方法
  • 実例:デバイス × チャネルで成果を比べる

行と列の設定

自由形式 は、探索で最もよく使う手法です。行と列にディメンションを、値に指標を配置して、クロス集計表(ピボット テーブル)を作れます。

基本の手順

  1. 「探索」→「空白」(または「自由形式」のテンプレート)を開く
  2. 変数パネルで期間を設定する
  3. 「ディメンション」の「+」を押し、使いたいディメンションを選んで「インポート」する(例:デバイス カテゴリ、セッションのデフォルト チャネル グループ)
  4. 「指標」の「+」を押し、使いたい指標を選んで「インポート」する(例:セッション、エンゲージメント率、キーイベント)
  5. タブの設定パネルで、ディメンションを「行」に、指標を「値」にドラッグする
  6. 必要に応じて、ディメンションを「列」にもドラッグする

行だけを使う

まずは、行にディメンションを 1 つ、値に指標を複数置いた、シンプルな表から始めましょう。

セッションのデフォルト チャネル グループセッションエンゲージメント率キーイベント
Organic Search8,50066.2%170
Direct3,20058.4%80
Organic Social2,10041.3%8

(数値は例)

これは標準レポートのトラフィック獲得とほぼ同じ表ですが、探索では、ここから自由に切り口を追加していけます。

列を使う

列にディメンションを置くと、行と列の組み合わせごとに指標が表示されます。

チャネル \ デバイスmobile セッションdesktop セッションtablet セッション
Organic Search5,6002,700200
Direct1,9001,200100
Organic Social1,85022030

(数値は例)

列にディメンションを置くと、値に複数の指標がある場合、表が横に長くなります。列を使うときは、値の指標を 1〜2 個に絞ると見やすくなります。

表示する行数と行の開始

タブの設定パネルの「行」の下には、次のような設定があります。

設定内容
最初の行何行目から表示するか
表示する行数何行表示するか(最大 500)
ネストされた行複数の行のディメンションを階層的に表示するか

列にも、表示する列のグループの数などの設定があります。

ポイント 値の指標の見出しをクリックすると、その指標で並べ替えができます。また、表のセルを右クリックすると、「選択項目のみを含める」「選択項目を除外」「セグメントを作成」などのメニューが表示され、その場で絞り込みやセグメントの作成ができます。

ビジュアリゼーションの切り替え

タブの設定パネルの「ビジュアリゼーション」で、結果の表示方法を切り替えられます。

ビジュアリゼーション向いている分析
表数値を正確に比べる。最も基本
ドーナツ グラフ全体に占める割合(項目が少ないとき)
折れ線グラフ時間の推移(行のディメンションに「日付」などを使う)
散布図2 つの指標の関係(例:セッション数とキーイベント率)
棒グラフ項目どうしの比較
地図地域ごとの分布

折れ線グラフで推移を見る

折れ線グラフを選ぶと、期間を日・週・月ごとに区切った推移が表示されます。行に置いたディメンションの値ごとに線が分かれます。

たとえば、行に「セッションのデフォルト チャネル グループ」を置いて折れ線グラフにすると、チャネルごとのセッション数の推移を 1 つのグラフで比べられます。

散布図で関係を見る

散布図を選ぶと、行のディメンションの値ごとに、2 つの指標の関係を点で表示できます。

キーイベント率
  │          ● Email
  │
  │   ● Paid Search
  │                  ● Organic Search
  │        ● Direct
  │                          ● Organic Social
  └────────────────────────── セッション数

右上(量も質も高い)、左上(量は少ないが質が高い)、右下(量は多いが質が低い)のように、チャネルやページの位置づけを一目で把握できます。第 5 部のランディング ページの「量と質の 2 軸」での評価にも使えます。

ネストした行

行に複数のディメンションを置くと、初期状態では、すべての組み合わせが 1 行ずつ並びます。「ネストされた行」を「はい」にすると、最初のディメンションの値ごとにまとめて、その中に 2 つ目のディメンションの値が並ぶ、階層的な表示になります。

ネストなし:
Organic Search  / mobile    5,600
Organic Search  / desktop   2,700
Direct          / mobile    1,900
Direct          / desktop   1,200

ネストあり:
Organic Search              8,300
    mobile                  5,600
    desktop                 2,700
Direct                      3,100
    mobile                  1,900
    desktop                 1,200

ネストした行は、「まず大きな単位で比べ、その中の内訳を見る」という分析に向いています。

フィルタの活用

タブの設定パネルの一番下にある「フィルタ」で、結果を絞り込めます。

フィルタの条件

フィルタには、ディメンションと指標のどちらも使えます。

フィルタの種類条件の例
ディメンションのフィルタページパスが /blog/ で始まる、国が Japan と完全一致する、イベント名が正規表現 ^(generate_lead|sign_up)$ に一致する
指標のフィルタセッション数が 100 以上(母数の少ない行を除外する)

フィルタとセグメントの違い

探索には、フィルタのほかに セグメント(第 5 章)もあります。どちらも「データを絞り込む」機能ですが、絞り込みの単位が異なります。

機能絞り込みの単位例
フィルタ表示する行(ディメンションの値)や、イベント単位ページパスが /blog/ で始まる行だけを表示する
セグメントユーザー・セッション・イベントの集団「購入したことのあるユーザー」の行動全体を見る

「ブログのページの数値だけを見たい」ならフィルタ、「ブログを読んだことのあるユーザーが、ほかに何をしたかを見たい」ならセグメントを使います。

ポイント 指標のフィルタで「セッション数が 100 以上」のように母数の条件を付けておくと、率の指標で並べ替えたときに、母数の少ない行が上位に来るのを防げます(第 4 部)。

実例:デバイス × チャネル

最後に、自由形式を使った分析の実例を紹介します。「スマホのキーイベント率がパソコンより低いのは、どのチャネルでも同じか」を確かめる分析です。

設定

項目設定
期間過去 90 日間
ディメンションセッションのデフォルト チャネル グループ、デバイス カテゴリ
指標セッション、エンゲージメント率、キーイベント、セッションのキーイベント率
行セッションのデフォルト チャネル グループ
列デバイス カテゴリ
値セッションのキーイベント率
フィルタセッションが 100 以上

結果

チャネル \ デバイスmobiledesktop
Organic Search1.2%3.0%
Direct1.5%3.4%
Paid Search2.8%3.1%
Organic Social0.3%0.8%
Email4.1%6.2%

(数値は例)

読み取り

  • ほとんどのチャネルで、スマホのキーイベント率はパソコンの半分以下になっている
  • ただし、Paid Search(検索広告)だけは、スマホとパソコンの差が小さい

次の仮説

Paid Search だけ差が小さいのはなぜでしょうか。検索広告のリンク先は、スマホ向けに作った専用のランディング ページだったとします。そうであれば、「通常のページがスマホで使いにくいことが、スマホのキーイベント率の低さの原因ではないか」という仮説が立ちます。

この仮説を確かめるために、次は「ランディング ページ × デバイス カテゴリ」の表を作ったり、ファネル データ探索(次章)で、スマホのどのステップで離脱が多いかを確認したりします。

ポイント 探索は「1 つの表を作って終わり」ではありません。表から読み取ったことをもとに次の問いを立て、切り口を変えて掘り下げていくのが、探索の本当の使い方です。

よくある質問

Q. 自由形式の表に「(other)」という行が表示されます。

A. (other) は、ディメンションの値の種類が非常に多い(高い カーディナリティ)ときに、上位以外の値がまとめられた行です。URL のクエリ パラメータを含むページの値や、ユーザーごとに違う値をディメンションにすると、出やすくなります。期間を短くする、フィルタで絞る、値の種類が少ないディメンション(ページ パスなど)を使う、などで減らせます。詳しく分析したい場合は、BigQuery を使うと (other) の影響を受けません(第 10 部)。

Q. 行に 2 つ以上のディメンションを入れると、表示に時間がかかります。

A. ディメンションを増やすほど、組み合わせの数が増え、処理に時間がかかります。また、サンプリングがかかりやすくなります(この部の第 1 章)。最初は 1 つのディメンションで全体の傾向を見て、気になる部分を見つけてから、ディメンションを追加するか、フィルタで絞るのが効率的です。

Q. 標準レポートと同じ条件にしたのに、数値が違います。

A. 探索では、期間やセグメント、フィルタの条件に加えて、サンプリング の有無、レポート用識別子、データの保持期間(探索は保持期間の範囲のデータしか使えない)が、標準レポートと違う場合があります。画面の右上のアイコンで、サンプリングがかかっていないかを確認しましょう。

Q. 作った探索を、ほかの人にも見せたいです。

A. 探索は、作った本人だけが見られる状態で保存されます。共有 の操作をすると、同じプロパティの権限を持つ人が「閲覧のみ」で見られるようになります。相手は、複製して自分のものとして編集できます(この部の第 1 章)。

実践ワーク

自由形式で、次の表を作ってみましょう。

行列値フィルタ
ランディング ページデバイス カテゴリセッション数、エンゲージメント率、キーイベント数セッションのデフォルト チャネル グループ = Organic Search

作った表から、次の点を読み取ってみましょう。

  1. 自然検索からのセッションが最も多いランディング ページはどこか
  2. そのページのエンゲージメント率は、スマホとパソコンでどれくらい違うか
  3. キーイベントが多いのに、セッションが少ないページはないか(SEO を強化する候補)

読み取ったことを、「事実」「解釈」「次に確かめたいこと」の 3 つに分けて書き出すと、分析の練習になります(第 12 部)。

まとめ

  • 自由形式では、行と列にディメンションを、値に指標を置いてクロス集計表を作る
  • ビジュアリゼーションを、表・折れ線グラフ・散布図などに切り替えられる
  • ネストした行で、大きな単位の中の内訳を階層的に見られる
  • フィルタは表示する行を、セグメントはユーザーやセッションの集団を絞り込む
  • 表から読み取ったことをもとに次の問いを立て、切り口を変えて掘り下げていく

次の章では、購入や問い合わせまでのステップごとの離脱を分析する、ファネル データ探索の使い方を学びます。