6.2 自由形式
この章で学ぶこと
- 自由形式で行と列を設定してクロス集計を作る方法
- ビジュアリゼーション(表・グラフ)の切り替え
- ネストした行で、ディメンションを階層的に見る方法
- フィルタで結果を絞り込む方法
- 実例:デバイス × チャネルで成果を比べる
行と列の設定
自由形式 は、探索で最もよく使う手法です。行と列にディメンションを、値に指標を配置して、クロス集計表(ピボット テーブル)を作れます。
基本の手順
- 「探索」→「空白」(または「自由形式」のテンプレート)を開く
- 変数パネルで期間を設定する
- 「ディメンション」の「+」を押し、使いたいディメンションを選んで「インポート」する(例:デバイス カテゴリ、セッションのデフォルト チャネル グループ)
- 「指標」の「+」を押し、使いたい指標を選んで「インポート」する(例:セッション、エンゲージメント率、キーイベント)
- タブの設定パネルで、ディメンションを「行」に、指標を「値」にドラッグする
- 必要に応じて、ディメンションを「列」にもドラッグする
行だけを使う
まずは、行にディメンションを 1 つ、値に指標を複数置いた、シンプルな表から始めましょう。
| セッションのデフォルト チャネル グループ | セッション | エンゲージメント率 | キーイベント |
|---|---|---|---|
| Organic Search | 8,500 | 66.2% | 170 |
| Direct | 3,200 | 58.4% | 80 |
| Organic Social | 2,100 | 41.3% | 8 |
(数値は例)
これは標準レポートのトラフィック獲得とほぼ同じ表ですが、探索では、ここから自由に切り口を追加していけます。
列を使う
列にディメンションを置くと、行と列の組み合わせごとに指標が表示されます。
| チャネル \ デバイス | mobile セッション | desktop セッション | tablet セッション |
|---|---|---|---|
| Organic Search | 5,600 | 2,700 | 200 |
| Direct | 1,900 | 1,200 | 100 |
| Organic Social | 1,850 | 220 | 30 |
(数値は例)
列にディメンションを置くと、値に複数の指標がある場合、表が横に長くなります。列を使うときは、値の指標を 1〜2 個に絞ると見やすくなります。
表示する行数と行の開始
タブの設定パネルの「行」の下には、次のような設定があります。
| 設定 | 内容 |
|---|---|
| 最初の行 | 何行目から表示するか |
| 表示する行数 | 何行表示するか(最大 500) |
| ネストされた行 | 複数の行のディメンションを階層的に表示するか |
列にも、表示する列のグループの数などの設定があります。
ポイント 値の指標の見出しをクリックすると、その指標で並べ替えができます。また、表のセルを右クリックすると、「選択項目のみを含める」「選択項目を除外」「セグメントを作成」などのメニューが表示され、その場で絞り込みやセグメントの作成ができます。
ビジュアリゼーションの切り替え
タブの設定パネルの「ビジュアリゼーション」で、結果の表示方法を切り替えられます。
| ビジュアリゼーション | 向いている分析 |
|---|---|
| 表 | 数値を正確に比べる。最も基本 |
| ドーナツ グラフ | 全体に占める割合(項目が少ないとき) |
| 折れ線グラフ | 時間の推移(行のディメンションに「日付」などを使う) |
| 散布図 | 2 つの指標の関係(例:セッション数とキーイベント率) |
| 棒グラフ | 項目どうしの比較 |
| 地図 | 地域ごとの分布 |
折れ線グラフで推移を見る
折れ線グラフを選ぶと、期間を日・週・月ごとに区切った推移が表示されます。行に置いたディメンションの値ごとに線が分かれます。
たとえば、行に「セッションのデフォルト チャネル グループ」を置いて折れ線グラフにすると、チャネルごとのセッション数の推移を 1 つのグラフで比べられます。
散布図で関係を見る
散布図を選ぶと、行のディメンションの値ごとに、2 つの指標の関係を点で表示できます。
キーイベント率
│ ● Email
│
│ ● Paid Search
│ ● Organic Search
│ ● Direct
│ ● Organic Social
└────────────────────────── セッション数
右上(量も質も高い)、左上(量は少ないが質が高い)、右下(量は多いが質が低い)のように、チャネルやページの位置づけを一目で把握できます。第 5 部のランディング ページの「量と質の 2 軸」での評価にも使えます。
ネストした行
行に複数のディメンションを置くと、初期状態では、すべての組み合わせが 1 行ずつ並びます。「ネストされた行」を「はい」にすると、最初のディメンションの値ごとにまとめて、その中に 2 つ目のディメンションの値が並ぶ、階層的な表示になります。
ネストなし:
Organic Search / mobile 5,600
Organic Search / desktop 2,700
Direct / mobile 1,900
Direct / desktop 1,200
ネストあり:
Organic Search 8,300
mobile 5,600
desktop 2,700
Direct 3,100
mobile 1,900
desktop 1,200
ネストした行は、「まず大きな単位で比べ、その中の内訳を見る」という分析に向いています。
フィルタの活用
タブの設定パネルの一番下にある「フィルタ」で、結果を絞り込めます。
フィルタの条件
フィルタには、ディメンションと指標のどちらも使えます。
| フィルタの種類 | 条件の例 |
|---|---|
| ディメンションのフィルタ | ページパスが /blog/ で始まる、国が Japan と完全一致する、イベント名が正規表現 ^(generate_lead|sign_up)$ に一致する |
| 指標のフィルタ | セッション数が 100 以上(母数の少ない行を除外する) |
フィルタとセグメントの違い
探索には、フィルタのほかに セグメント(第 5 章)もあります。どちらも「データを絞り込む」機能ですが、絞り込みの単位が異なります。
| 機能 | 絞り込みの単位 | 例 |
|---|---|---|
| フィルタ | 表示する行(ディメンションの値)や、イベント単位 | ページパスが /blog/ で始まる行だけを表示する |
| セグメント | ユーザー・セッション・イベントの集団 | 「購入したことのあるユーザー」の行動全体を見る |
「ブログのページの数値だけを見たい」ならフィルタ、「ブログを読んだことのあるユーザーが、ほかに何をしたかを見たい」ならセグメントを使います。
ポイント 指標のフィルタで「セッション数が 100 以上」のように母数の条件を付けておくと、率の指標で並べ替えたときに、母数の少ない行が上位に来るのを防げます(第 4 部)。
実例:デバイス × チャネル
最後に、自由形式を使った分析の実例を紹介します。「スマホのキーイベント率がパソコンより低いのは、どのチャネルでも同じか」を確かめる分析です。
設定
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 期間 | 過去 90 日間 |
| ディメンション | セッションのデフォルト チャネル グループ、デバイス カテゴリ |
| 指標 | セッション、エンゲージメント率、キーイベント、セッションのキーイベント率 |
| 行 | セッションのデフォルト チャネル グループ |
| 列 | デバイス カテゴリ |
| 値 | セッションのキーイベント率 |
| フィルタ | セッションが 100 以上 |
結果
| チャネル \ デバイス | mobile | desktop |
|---|---|---|
| Organic Search | 1.2% | 3.0% |
| Direct | 1.5% | 3.4% |
| Paid Search | 2.8% | 3.1% |
| Organic Social | 0.3% | 0.8% |
| 4.1% | 6.2% |
(数値は例)
読み取り
- ほとんどのチャネルで、スマホのキーイベント率はパソコンの半分以下になっている
- ただし、Paid Search(検索広告)だけは、スマホとパソコンの差が小さい
次の仮説
Paid Search だけ差が小さいのはなぜでしょうか。検索広告のリンク先は、スマホ向けに作った専用のランディング ページだったとします。そうであれば、「通常のページがスマホで使いにくいことが、スマホのキーイベント率の低さの原因ではないか」という仮説が立ちます。
この仮説を確かめるために、次は「ランディング ページ × デバイス カテゴリ」の表を作ったり、ファネル データ探索(次章)で、スマホのどのステップで離脱が多いかを確認したりします。
ポイント 探索は「1 つの表を作って終わり」ではありません。表から読み取ったことをもとに次の問いを立て、切り口を変えて掘り下げていくのが、探索の本当の使い方です。
よくある質問
Q. 自由形式の表に「(other)」という行が表示されます。
A. (other) は、ディメンションの値の種類が非常に多い(高い カーディナリティ)ときに、上位以外の値がまとめられた行です。URL のクエリ パラメータを含むページの値や、ユーザーごとに違う値をディメンションにすると、出やすくなります。期間を短くする、フィルタで絞る、値の種類が少ないディメンション(ページ パスなど)を使う、などで減らせます。詳しく分析したい場合は、BigQuery を使うと (other) の影響を受けません(第 10 部)。
Q. 行に 2 つ以上のディメンションを入れると、表示に時間がかかります。
A. ディメンションを増やすほど、組み合わせの数が増え、処理に時間がかかります。また、サンプリングがかかりやすくなります(この部の第 1 章)。最初は 1 つのディメンションで全体の傾向を見て、気になる部分を見つけてから、ディメンションを追加するか、フィルタで絞るのが効率的です。
Q. 標準レポートと同じ条件にしたのに、数値が違います。
A. 探索では、期間やセグメント、フィルタの条件に加えて、サンプリング の有無、レポート用識別子、データの保持期間(探索は保持期間の範囲のデータしか使えない)が、標準レポートと違う場合があります。画面の右上のアイコンで、サンプリングがかかっていないかを確認しましょう。
Q. 作った探索を、ほかの人にも見せたいです。
A. 探索は、作った本人だけが見られる状態で保存されます。共有 の操作をすると、同じプロパティの権限を持つ人が「閲覧のみ」で見られるようになります。相手は、複製して自分のものとして編集できます(この部の第 1 章)。
実践ワーク
自由形式で、次の表を作ってみましょう。
| 行 | 列 | 値 | フィルタ |
|---|---|---|---|
| ランディング ページ | デバイス カテゴリ | セッション数、エンゲージメント率、キーイベント数 | セッションのデフォルト チャネル グループ = Organic Search |
作った表から、次の点を読み取ってみましょう。
- 自然検索からのセッションが最も多いランディング ページはどこか
- そのページのエンゲージメント率は、スマホとパソコンでどれくらい違うか
- キーイベントが多いのに、セッションが少ないページはないか(SEO を強化する候補)
読み取ったことを、「事実」「解釈」「次に確かめたいこと」の 3 つに分けて書き出すと、分析の練習になります(第 12 部)。
まとめ
- 自由形式では、行と列にディメンションを、値に指標を置いてクロス集計表を作る
- ビジュアリゼーションを、表・折れ線グラフ・散布図などに切り替えられる
- ネストした行で、大きな単位の中の内訳を階層的に見られる
- フィルタは表示する行を、セグメントはユーザーやセッションの集団を絞り込む
- 表から読み取ったことをもとに次の問いを立て、切り口を変えて掘り下げていく
次の章では、購入や問い合わせまでのステップごとの離脱を分析する、ファネル データ探索の使い方を学びます。