6.3 ファネル データ探索
この章で学ぶこと
- ファネルのステップを定義する方法
- オープン ファネルとクローズ ファネルの違い
- 経過時間と「次の行動」の表示
- ファネルの内訳でデバイスやチャネルごとに比べる方法
- 実例:問い合わせフォームの離脱を分析する
ステップの定義
ファネル とは、ユーザーが成果に至るまでの段階(ステップ)を順番に並べたものです。上の段階から下の段階に進むにつれて人数が減っていく様子が、漏斗(じょうご、funnel)の形に似ていることから、こう呼ばれます。
ファネル データ探索 では、自分でステップを定義し、各ステップに進んだユーザーの数と、ステップの間で離脱したユーザーの数を確認できます。
ステップ 1:製品ページを表示 1,000 人 100%
↓ 40% が離脱
ステップ 2:料金ページを表示 600 人 60%
↓ 50% が離脱
ステップ 3:問い合わせフォームを表示 300 人 30%
↓ 60% が離脱
ステップ 4:問い合わせを完了 120 人 12%
(数値は例)
ステップの作り方
- 「探索」で、テンプレートの「ファネル データ探索」を開く(または手法で「ファネル データ探索」を選ぶ)
- タブの設定パネルの「ステップ」の鉛筆アイコンを押す
- ステップごとに名前と条件を設定する
- 「適用」を押す
ステップの条件には、イベントやページの条件を使います。
| ステップの例 | 条件 |
|---|---|
| 製品ページを表示 | イベント名 = page_view かつ ページパス が /products/ で始まる |
| 料金ページを表示 | イベント名 = page_view かつ ページパス = /pricing/ |
| 問い合わせフォームを表示 | イベント名 = page_view かつ ページパス = /contact/ |
| 問い合わせを完了 | イベント名 = generate_lead |
1 つのステップに複数の条件を「または」でつなぐこともできます。たとえば、「料金ページ または 事例ページを表示」のように設定できます。
ポイント ステップは最大 10 個まで設定できますが、多すぎると読み取りにくくなります。まずは 3〜5 個程度の大きなステップで全体を見て、離脱の多いステップの間を細かく分けていくのがおすすめです。
「次の直後」と「次の間接的」
ステップの間には、つながり方の条件を設定できます。
| つながり方 | 意味 |
|---|---|
| 次の間接的(既定) | 前のステップのあと、間にほかの行動を挟んでもよい |
| 次の直後 | 前のステップの すぐ次 に、そのステップの行動をする |
通常は既定の「間接的」で十分です。「料金ページを見た直後に問い合わせフォームに進んだか」のように、直接の遷移を見たいときだけ「直後」を使います。
ステップの間に 時間の制限(例:「5 分以内に」)を設定することもできます。
オープンとクローズ
ファネルには、オープン ファネル と クローズ ファネル の 2 種類があります。タブの設定パネルの「オープン ファネルにする」のスイッチで切り替えます。
| 種類 | 数え方 | 向いている分析 |
|---|---|---|
| クローズ ファネル(既定) | 最初のステップから順番に 進んだユーザーだけを数える | 決まった手順を順番に進む流れ(購入手続き、会員登録) |
| オープン ファネル | どのステップからでも ファネルに入ったユーザーを数える | 途中から入ることもある流れ(検索から料金ページに直接来るなど) |
例で比べる
ユーザー A:製品ページ → 料金ページ → 問い合わせフォーム → 完了
ユーザー B:(検索から)料金ページ → 問い合わせフォーム → 完了
- クローズ ファネル:ユーザー B はステップ 1(製品ページ)を通っていないので、ファネルに数えられない
- オープン ファネル:ユーザー B はステップ 2(料金ページ)からファネルに入ったとして数えられる
サイトの構造上、途中のページに直接来る人が多い場合は、オープン ファネルで見ると実態に近くなります。購入手続きのように、必ず最初のステップから進む流れでは、クローズ ファネルを使います。
経過時間と次の行動
ファネル データ探索には、ステップの分析を深めるためのオプションがあります。
経過時間を表示する
タブの設定パネルで「経過時間を表示する」をオンにすると、各ステップの間にかかった 平均時間 が表示されます。
ステップ 1 → ステップ 2:平均 2 分 30 秒
ステップ 2 → ステップ 3:平均 4 日 3 時間 ← 料金を見てから問い合わせまでに時間がかかる
ステップ 3 → ステップ 4:平均 3 分 10 秒
経過時間が長いステップの間は、ユーザーが 検討している(社内で相談している、他社と比べているなど)可能性があります。その間に、メールでのフォローや、比較に役立つ資料の提供などの施策を考えられます。
次の行動
タブの設定パネルの「次の行動」にディメンション(「イベント名」や「ページ タイトル」など)を設定すると、各ステップのあとにユーザーが 次に何をしたか を確認できます。
たとえば、「問い合わせフォームを表示」のステップで離脱したユーザーが、次にどのページを見たかがわかります。フォームを見たあとに「よくある質問」のページに移動している人が多ければ、フォームに入力する前に解消したい疑問がある、と考えられます。
ファネルの内訳
タブの設定パネルの「内訳」にディメンションを設定すると、そのディメンションの値ごとにファネルを分けて表示できます。
| 内訳のディメンション | わかること |
|---|---|
| デバイス カテゴリ | スマホとパソコンで、どのステップの離脱率が違うか |
| セッションのデフォルト チャネル グループ | チャネルごとに、どこで離脱しているか |
| 新規 / 既存 | 初めての人とリピーターで、離脱の傾向が違うか |
| 国、地域 | 地域ごとの違い |
例)デバイス カテゴリ別の「フォーム表示 → 完了」の完了率
desktop:55%
mobile :28% ← スマホのフォームに問題がある可能性
tablet :45%
(数値は例)
ポイント タブの設定パネルの「セグメントの比較」にセグメントを追加すると、セグメントごとのファネルを並べて比べることもできます。たとえば、「事例ページを見たユーザー」と「見ていないユーザー」のファネルを比べると、事例ページが問い合わせに与える影響を推測できます(ただし、相関と因果の違いに注意。第 4 部)。
傾向のグラフ
ビジュアリゼーションを「ファネルの傾向」に切り替えると、各ステップのユーザー数の推移を折れ線グラフで確認できます。サイトの改善の前後で、特定のステップの通過率が変わったかを確認するのに便利です。
実例:フォーム離脱の分析
最後に、ファネル データ探索を使った分析の実例を紹介します。BtoB サイトで、「問い合わせフォームを開いた人のうち、送信を完了する人が少ない」という課題を分析します。
ステップの設定
問い合わせフォームが「入力 → 確認 → 完了」の 3 画面で構成されているとします。
| ステップ | 条件 |
|---|---|
| 1. フォームを表示 | ページパス = /contact/ |
| 2. 入力を開始 | イベント名 = form_start(拡張計測機能)かつ ページパス = /contact/ |
| 3. 確認画面を表示 | ページパス = /contact/confirm/ |
| 4. 送信を完了 | イベント名 = generate_lead |
クローズ ファネルで、内訳に「デバイス カテゴリ」を設定します。
結果
| ステップ | desktop | mobile |
|---|---|---|
| 1. フォームを表示 | 500 人 | 800 人 |
| 2. 入力を開始 | 350 人(70%) | 400 人(50%) |
| 3. 確認画面を表示 | 250 人(71%) | 160 人(40%) |
| 4. 送信を完了 | 230 人(92%) | 140 人(88%) |
(数値は例。括弧内は前のステップからの通過率)
読み取り
- スマホでは、「フォームを表示 → 入力を開始」の通過率が 50% と低い。フォームを開いたものの、入力を始めずに離れている人が多い
- さらにスマホでは、「入力を開始 → 確認画面」の通過率が 40% と非常に低い。入力の途中で諦めている人が多い
- 「確認画面 → 完了」はどちらも 90% 前後で、大きな問題はない
改善の仮説
| 離脱の箇所 | 仮説 | 改善案 |
|---|---|---|
| フォーム表示 → 入力開始(スマホ) | 項目が多く見えて、入力する気をなくしている | 必須項目を減らす、項目数を冒頭に表示する |
| 入力開始 → 確認(スマホ) | スマホで入力しにくい項目がある(住所、電話番号の形式など)、エラーがわかりにくい | 入力形式の自動判定、郵便番号からの住所の自動入力、エラーの即時表示 |
改善を実施したら、ファネルの傾向のグラフで、改善の前後で通過率が変わったかを確認します。
注意 拡張計測機能の
form_startは、フォームの最初の操作で 1 回だけ送られます。フォームのどの項目で離脱したかまでは、GA4 の標準の計測ではわかりません。項目ごとの離脱を詳しく知りたい場合は、GTM で項目ごとの入力イベントを計測するか、フォーム分析の専用ツールを使いましょう。
よくある質問
Q. ファネル データ探索の数値が、ほかのレポートのイベントの数と合いません。
A. ファネル データ探索は、各ステップに到達した ユーザーの数(またはセッションの数)を数えます。同じユーザーが同じステップを何回行っても 1 人と数えるため、イベントの数とは一致しません。また、クローズのファネルでは、前のステップを通っていないユーザーは数えられません。
Q. 「直後」と「間接的」の違いは何ですか。
A. ステップの間の関係を指定する設定です。直後 にすると、前のステップのすぐ次に、そのステップのイベントが起きた場合だけを数えます。間接的 にすると、間にほかのイベントがあっても数えます。ページの表示の間には、スクロールなどのイベントが入ることが多いため、通常は「間接的」を使い、厳密な順番を確かめたいときに「直後」を使います。
Q. ファネルのステップは、いくつまで作れますか。
A. ファネル データ探索では、複数のステップを設定できます(上限は GA4 の仕様によります)。ただし、ステップを増やすほど、各ステップの人数が少なくなり、しきい値やばらつきの影響を受けやすくなります。最初は 3〜5 ステップで全体を見て、離脱の多い部分を、別のファネルで細かく分けて見るのがおすすめです。
Q. ステップの条件に、ページの URL とイベントの両方を使えますか。
A. 使えます。たとえば、「page_view で、ページ パスが /cart/ を含む」のように、イベントとパラメータの条件を組み合わせて、1 つのステップを定義できます。URL の構造が変わると条件に一致しなくなるため、可能なら、EC の推奨イベントのように、意味のあるイベント でステップを定義すると、長く使えるファネルになります。
実践ワーク
自社のサイトで、次の 2 つのファネルを作り、比べてみましょう。
| ファネル | ステップ | 種類 |
|---|---|---|
| A:問い合わせまで | トップページ → サービス紹介 → 料金 → フォーム → 送信完了 | クローズ |
| B:問い合わせまで(入口を問わない) | サービス紹介 → 料金 → フォーム → 送信完了 | オープン |
2 つのファネルの違いから、次のことを考えてみましょう。
- トップページを通らずに、サービス紹介や料金のページから入るユーザーはどれくらいいるか
- どちらのファネルでも、離脱が最も多いステップは同じか
- 離脱の多いステップの「次の行動」(離脱したユーザーが次に見たページ)は何か
結果を、デバイス カテゴリの内訳でも確認すると、スマホとパソコンで改善すべき場所が違うことに気づける場合があります。
まとめ
- ファネル データ探索では、成果までのステップを定義し、ステップごとの通過と離脱を確認できる
- クローズ ファネルは最初のステップから順に進んだ人だけを、オープン ファネルは途中から入った人も数える
- 経過時間で検討にかかる時間が、次の行動で離脱した人のその後の行動がわかる
- 内訳やセグメントの比較で、デバイスやチャネルごとにファネルを比べる
- 離脱の多いステップを特定し、仮説を立てて改善し、傾向のグラフで効果を確かめる
次の章では、ユーザーがどのような順番でページを見ているかを可視化する、経路データ探索の使い方を学びます。