6.4 経路データ探索
この章で学ぶこと
- 経路データ探索の始点と終点の設定
- ノードを展開して経路をたどる方法
- ページとイベントの表示の切り替え
- 実例:購入直前に見られているページを調べる
始点と終点
経路データ探索 は、ユーザーがサイトの中で どのような順番で ページを見たり、イベントを発生させたりしたかを、木の形(ツリー図)で可視化する手法です。
ファネル データ探索が「決めた道を通ったか」を確認するのに対して、経路データ探索は「実際にどの道を通ったか」を探るのに向いています。
| 手法 | 問い | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ファネル データ探索 | 決めたステップを順番に進んだか、どこで離脱したか | 購入手続きなど、手順が決まっている流れ |
| 経路データ探索 | 実際にどのような順番で行動したか | ユーザーの自由な回遊、想定外の行動の発見 |
始点から見る
経路データ探索の基本は、始点 を決めて、そこから 後ろに向かって 経路をたどる見方です。
始点 ステップ +1 ステップ +2
session_start ─┬─ /(トップ) ─────┬─ /products/
│ ├─ /pricing/
│ └─ (離脱)
├─ /blog/ga4/ ──────┬─ /blog/utm/
│ └─ (離脱)
└─ /products/a/ ─────── /contact/
始点には、次のようなものを設定できます。
session_start(セッションの開始):ユーザーがサイトに来てから、どう回遊したか- 特定のページ(例:トップページ):そのページから、次にどこに進んだか
- 特定のイベント(例:
view_search_results):サイト内検索のあと、何をしたか
終点から見る
経路データ探索では、終点 を決めて、そこから 前に向かって さかのぼることもできます。
ステップ -2 ステップ -1 終点
/products/a/ ───── /pricing/ ──┐
/blog/case/ ───── /case/ ──┼── generate_lead
/ ─────── /contact/ ──┘
終点には、キーイベント(例:purchase、generate_lead)を設定することが多く、「成果の直前に、ユーザーは何を見ていたか」を調べるのに使います。
設定の手順
- 「探索」で、テンプレートの「経路データ探索」を開く
- キャンバスの「最初からやり直す」を押す(テンプレートの初期設定を消す)
- 「始点」または「終点」を押し、ノードの種類(「イベント名」または「ページ タイトルとスクリーン名」など)と、値を選ぶ
- 表示されたツリーのノードをクリックして、経路を展開していく
ノードの展開
経路データ探索のツリーでは、それぞれの箱を ノード と呼びます。ノードをクリックすると、その次(または前)のステップが展開されます。
ノードの見方
- ノードの高さ:そのページやイベントを通ったユーザー(またはイベント)の数を表す。高いほど多い
- ノードの中の数値:そのノードを通った数
- ノードの間の線:ステップの間の移動を表す。太いほど多い
各ステップには、多い順に上位 5 つ程度のノードが表示され、それ以外は「その他(〇件)」のようにまとめられます。
展開のコツ
- 一度にすべてを展開しようとせず、太い線(多い経路)から順に 展開していく
- 気になるノードを右クリックすると、「除外」でそのノードを非表示にしたり、ノードからセグメントを作ったりできる
- 同じページを再読み込みしたときなどに、同じノードが続くことがある。タブの設定パネルの「一意のノードのみを表示」をオンにすると、連続する同じノードがまとめられる
ポイント 経路データ探索のツリーは、展開するほど細かくなり、見たいことがわからなくなりがちです。「トップページから入った人は、次にどこに進むか」のように、問いを 1 つに絞ってから 展開しましょう。
ページとイベントの切り替え
経路データ探索では、各ステップのノードとして何を表示するかを選べます。
| ノードの種類 | 表示されるもの | 向いている分析 |
|---|---|---|
| イベント名 | page_view、scroll、click、generate_lead などのイベント | ページの中での行動も含めた流れ |
| ページ タイトルとスクリーン名 | ページのタイトル | ページの間の回遊 |
| ページパスとスクリーン クラス | ページのパス | ページの間の回遊(URL で見たいとき) |
ステップごとに、ノードの種類を切り替えることもできます。たとえば、始点を「イベント名 = session_start」、次のステップを「ページパス」にすると、「セッションの開始後、最初にどのページを見たか」がわかります。
イベントで見るときの注意
ノードの種類を「イベント名」にすると、page_view、user_engagement、scroll などの自動収集イベントが多く表示され、見たい行動が埋もれることがあります。その場合は、タブの設定パネルのフィルタや、ノードの「除外」で、不要なイベントを非表示にしましょう。
経路データ探索の設定項目
タブの設定パネルには、経路データ探索のための設定項目があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| セグメントの比較 | 特定のセグメントの経路だけを見る |
| ノードの種類 | 各ステップに表示するノードの種類(イベント名、ページなど) |
| 値 | ノードの大きさを表す指標(イベント数、総ユーザー数、アクティブ ユーザー数など) |
| ビュー(経路の種類) | ユーザーの経路として表示するか、セッションの中の経路として表示するか |
| フィルタ | 表示するノードの絞り込み |
| 内訳 | ディメンションの値ごとに分けて表示(デバイス別など) |
注意 経路データ探索は、データ量が多いとサンプリングが起こりやすい手法です。期間を短くする、セグメントで絞り込むなどして、データ量を調整しましょう。
実例:購入直前のページ
最後に、経路データ探索を使った分析の実例を紹介します。EC サイトで、「購入する人は、購入の直前にどのページを見ているか」を調べます。
設定
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 期間 | 過去 30 日間 |
| 終点 | イベント名 = purchase |
| ステップ -1、-2 のノードの種類 | ページパスとスクリーン クラス |
| 値 | 総ユーザー数 |
結果(例)
ステップ -3 ステップ -2 ステップ -1 終点
/products/xxx/ ─┐
/cart/ ───┼── /checkout/ ────────── /checkout/confirm/ ── purchase
/mypage/ ───┘
/reviews/xxx/ ───── /products/xxx/ ────── /cart/ ─ ……
/guide/shipping/ ── /cart/ ───────────── /checkout/ ─ ……
読み取り
- 購入の直前は、当然ながら決済の手続きのページ(
/checkout/、/checkout/confirm/) - さかのぼると、購入する人の多くが レビューのページ(
/reviews/xxx/)や 配送ガイドのページ(/guide/shipping/)を見てから、カートや商品ページに戻っている
仮説と改善
| 発見 | 仮説 | 改善案 |
|---|---|---|
| 購入者の多くがレビューのページを見ている | レビューが購入の決め手になっている | 商品ページの中にレビューの要約を表示する |
| 購入者の多くが配送ガイドを見ている | 送料や配送日数の確認が、購入の前提になっている | 商品ページやカートに、送料と配送日数を表示する |
改善のあとは、「商品ページ → 購入」までのファネル(前章)で、通過率が上がったかを確認します。
ポイント 経路データ探索で見つかるのは、あくまで「購入する人が通った道」です。「レビューを見れば購入する」とは限りません(相関と因果の違い。第 4 部)。改善を実施して、効果を確かめることが大切です。
よくある質問
Q. 経路データ探索で、同じページが続けて表示されます。
A. ページの再読み込みや、同じページの中での操作(タブの切り替えで URL が変わらない場合など)で、同じページの page_view が続けて送られると、経路の中で同じページが続きます。ノードの設定で、一意のノードのみを表示 する設定を使うと、連続する同じノードをまとめて表示できます。
Q. 経路の数値が、ほかのレポートと合いません。
A. 経路データ探索は、期間やセグメントの条件に加えて、各ステップで 表示される上位のノードの数 に限りがあり、それ以外は「〇〇 件以上」のようにまとめられます。また、データ量が多いとサンプリングがかかることもあります。経路データ探索は、細かい数値を確定させるためではなく、行動の流れの傾向をつかむ ために使いましょう。
Q. 終点から逆にたどる分析は、どんなときに使いますか。
A. 「問い合わせの前に、どのページが見られていたか」「離脱の直前に、何をしていたか」を知りたいときに使います。終点にキーイベント(generate_lead など)を設定し、逆向きにたどると、成果に至る前によく見られているページがわかります。そのページは、成果への貢献が大きいページの候補です。
Q. ページの数が多く、経路が細かく分かれすぎてしまいます。
A. ノードの種類を「ページ タイトルとスクリーン名」ではなく、コンテンツ グループ(ページの種類ごとのまとまり)にすると、経路をまとめて見られます。コンテンツ グループは、content_group のパラメータで送ります(第 3 部)。
実践ワーク
次の 2 つの経路データ探索を作り、比べてみましょう。
- 始点 をトップページの
page_viewにして、3 ステップ先まで展開する - 終点 を問い合わせの完了(
generate_leadなど)にして、3 ステップ前まで逆にたどる
2 つの結果から、次の問いに答えます。
| 問い | 確認すること |
|---|---|
| トップページから、ユーザーは主にどこへ進んでいるか | 1 の 1 ステップ目で、上位のノード |
| 問い合わせの前に、よく見られているページはどこか | 2 の 1〜2 ステップ前で、上位のノード |
| 1 で多くの人が進むページと、2 で問い合わせの前に見られているページは、一致しているか | 一致していなければ、トップページから、成果に近いページへの導線を強化する余地がある |
最後の問いの答えは、トップページの改善の具体的な案(どのページへのリンクを目立たせるか)につながります。
まとめ
- 経路データ探索は、ユーザーが実際にどのような順番で行動したかをツリー図で可視化する
- 始点から後ろへ(回遊の流れ)、終点から前へ(成果の直前の行動)たどれる
- ノードは太い経路から順に展開し、問いを 1 つに絞って見る
- ノードの種類はイベント名とページを切り替えられ、不要なイベントは除外する
- 経路から見つかった傾向は仮説として扱い、改善して効果を確かめる
次の章では、探索で分析の対象を絞り込むための、セグメントの作り方を学びます。