6.5 セグメントの作り方
この章で学ぶこと
- ユーザー・セッション・イベントの 3 種類のセグメントの違い
- 条件の組み立て方(AND / OR、条件のスコープ)
- 行動の順番を条件にするシーケンス
- 除外条件の使い方
- すぐに使えるセグメントの例
3 種類のセグメント
セグメント は、条件に合うデータだけを分析の対象にする機能です。探索で使えます。標準レポートの「比較」と似ていますが、より細かい条件を設定できます。
セグメントには、どの単位で絞り込むか によって 3 つの種類があります。
| 種類 | 絞り込む単位 | 含まれるデータ |
|---|---|---|
| ユーザー セグメント | ユーザー | 条件を満たしたユーザーの、期間内の すべての イベント |
| セッション セグメント | セッション | 条件を満たしたセッションの、そのセッション内の すべての イベント |
| イベント セグメント | イベント | 条件を満たした イベントだけ |
例で比べる
「購入」を条件にしたセグメントを、3 種類で作ったとします。あるユーザーが、期間内に次の 3 回の訪問をしたとしましょう。
セッション 1:ブログ記事を閲覧(購入なし)
セッション 2:商品ページを閲覧 → 購入
セッション 3:マイページで注文状況を確認(購入なし)
| セグメントの種類 | 含まれるデータ |
|---|---|
| ユーザー セグメント(購入したユーザー) | セッション 1・2・3 のすべてのイベント |
| セッション セグメント(購入があったセッション) | セッション 2 のすべてのイベント |
| イベント セグメント(購入イベント) | セッション 2 の purchase イベントだけ |
どれを選ぶか
| 知りたいこと | 選ぶセグメント |
|---|---|
| 購入した人は、ふだんどんなページを見ているか | ユーザー セグメント |
| 購入があった訪問では、どこから来て、何ページ見たか | セッション セグメント |
| 購入というイベントそのものの内訳(商品、金額など) | イベント セグメント |
ポイント 迷ったら「人を見たいのか、訪問を見たいのか、行動そのものを見たいのか」を考えましょう。最もよく使うのはユーザー セグメントとセッション セグメントです。
条件の組み立て方
セグメントの作成手順
- 探索の変数パネルの「セグメント」の「+」を押す
- 「ユーザー セグメント」「セッション セグメント」「イベント セグメント」のどれかを選ぶ(または候補のセグメントから選ぶ)
- セグメントの名前を入力する
- 「新しい条件を追加」で、ディメンションや指標、イベントを選び、条件を設定する
- 「保存して適用」を押す
AND と OR
1 つのセグメントに、複数の条件を組み合わせられます。
| 組み合わせ | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| AND(かつ) | すべての条件を満たす | デバイス = mobile かつ 国 = Japan |
| OR(または) | いずれかの条件を満たす | ページパスが /pricing/ または /case/ を含む |
条件のブロックの中に「OR」で条件を追加し、ブロックどうしを「AND」でつなぐ、という形で組み立てます。
条件ブロック 1:セッションのデフォルト チャネル グループ = Organic Search
または セッションのデフォルト チャネル グループ = Paid Search
かつ
条件ブロック 2:デバイス カテゴリ = mobile
→ 「検索(自然・広告)から来た、スマホのユーザー」
条件のスコープ
ユーザー セグメントで複数の条件を組み合わせるとき、条件をどの範囲で満たせばよいか(条件のスコープ)を選べます。
| 条件のスコープ | 意味 |
|---|---|
| すべてのセッションで | 期間内のどこかで、各条件を満たせばよい(条件が別々のセッションで満たされてもよい) |
| 同じセッション内 | 1 つのセッションの中で、すべての条件を満たす |
| 同じイベント内 | 1 つのイベントで、すべての条件を満たす |
たとえば「料金ページを見た」かつ「問い合わせをした」という条件で、
- 「すべてのセッションで」なら、月曜に料金ページを見て、金曜に問い合わせた人も含まれる
- 「同じセッション内」なら、1 回の訪問の中で料金ページを見て問い合わせた人だけが含まれる
指標の条件
条件には、ディメンションだけでなく指標も使えます。
- セッション数が 3 以上のユーザー(何度も来ている人)
- 総収益が 10,000 円以上のユーザー(購入額の大きい人)
- エンゲージメント時間が 60 秒以上のセッション(じっくり見た訪問)
シーケンス条件
シーケンス は、行動の順番 を条件にする機能です。「A をしたあとに B をした」ユーザーやセッションを絞り込めます。
シーケンスの作成
- ユーザー(またはセッション)セグメントの作成画面で、「シーケンスを追加」を押す
- ステップ 1 の条件を設定する(例:ページパス =
/products/) - 「ステップを追加」で、ステップ 2 の条件を設定する(例:イベント名 =
add_to_cart) - 必要に応じて、ステップの間のつながり方(「次の直後」「次の間接的」)や時間の制限を設定する
シーケンスの例:
ステップ 1:ページパスが /blog/ を含む(ブログを読んだ)
その後(間接的に)
ステップ 2:イベント名 = generate_lead(問い合わせた)
→ 「ブログを読んだあとに問い合わせたユーザー」
シーケンスの使いどころ
| シーケンスの例 | わかること |
|---|---|
| ブログ → 問い合わせ | コンテンツ マーケティングの貢献 |
| サイト内検索 → 購入 | 検索機能が購入につながっているか |
| カート追加 → 30 分以内に購入しなかった | カゴ落ちしたユーザーの特徴 |
| 動画を最後まで視聴 → 資料請求 | 動画の効果 |
ポイント シーケンスのステップの間に「時間の制約」を設定すると、「カートに追加してから 1 日以内に購入した」のように、行動の間隔も条件にできます。
除外条件
セグメントには、除外 の条件も設定できます。セグメントの作成画面で「除外するグループを追加」を押すと、条件に合うユーザーやセッションを、セグメントから取り除けます。
| 除外の種類 | 意味 |
|---|---|
| 一時的に除外 | 条件を満たした期間(セッションなど)だけを除外する |
| 完全に除外 | 一度でも条件を満たしたユーザーを、完全に除外する |
除外の例
- 購入したことのないユーザー:「イベント名 =
purchase」を完全に除外する - 社内の人を除いたユーザー:社内の人を示すユーザー プロパティを持つユーザーを除外する
- 問い合わせをしていないのに料金ページを見たユーザー:「料金ページを表示」を条件にし、「
generate_lead」を完全に除外する
最後の例は、「料金まで見たのに問い合わせていない人」、つまり あと一歩のユーザー を探す分析に使えます。こうしたユーザーをオーディエンスにして、広告やメールでアプローチすることもできます(第 8 章)。
よく使うセグメント集
最後に、すぐに使えるセグメントの例を紹介します。
ユーザー セグメント
| セグメント名 | 条件 |
|---|---|
| 購入者 | イベント名 = purchase |
| 未購入者 | イベント名 = purchase を完全に除外 |
| リード獲得者 | イベント名 = generate_lead |
| ヘビー ユーザー | セッション数 ≧ 5 |
| モバイル ユーザー | デバイス カテゴリ = mobile |
| 検索からの新規ユーザー | 最初のユーザーのデフォルト チャネル グループ = Organic Search |
| 料金を見たが未問い合わせ | ページパス = /pricing/ かつ generate_lead を完全に除外 |
セッション セグメント
| セグメント名 | 条件 |
|---|---|
| キーイベントのあったセッション | キーイベント数 > 0(または特定のイベント名) |
| 広告からのセッション | セッションのメディア = cpc |
| ブログから始まったセッション | ランディング ページが /blog/ を含む |
| エンゲージのなかったセッション | セッションのエンゲージメント = 0 |
| サイト内検索のあったセッション | イベント名 = view_search_results |
セグメントの再利用
探索で作ったセグメントは、その探索の中で使えます。ほかの探索でも使いたい場合は、セグメントを作るときに、既存の探索からインポートするか、同じ条件で作り直します。また、セグメントの作成画面で「オーディエンスを作成」にチェックを入れると、同じ条件でオーディエンスを作れます(第 8 章)。
注意 セグメントの条件が細かすぎると、該当するユーザーが少なくなり、しきい値でデータが表示されなかったり、偶然の影響を受けやすくなったりします。セグメントを適用したら、まず該当するユーザー数やセッション数を確認しましょう。
よくある質問
Q. ユーザー セグメントとセッション セグメントは、どちらを使えばよいですか。
A. 何を比べたいか で選びます。「料金ページを見たことがある人は、その後どれくらい問い合わせているか」のように、人の単位で見たいならユーザー セグメントです。「料金ページを見た訪問では、問い合わせが起きやすいか」のように、1 回の訪問の単位で見たいならセッション セグメントです。同じ条件でも、選ぶ種類によって結果が大きく変わることがあるので、分析の問いを先に言葉にしておきましょう。
Q. セグメントを適用したら、データがほとんどなくなりました。
A. 条件が厳しすぎる、条件の値の表記が違う(大文字・小文字、末尾のスラッシュなど)、期間が短い、のいずれかが多い原因です。セグメントの編集画面の右側に表示される 概要(条件に一致するユーザー数など)を見ながら、条件を一つずつ追加して確認しましょう。
Q. 作ったセグメントを、別の探索でも使えますか。
A. 探索で作ったセグメントは、その探索の中に保存されます。別の探索で使いたい場合は、その探索で同じ条件のセグメントを作り直すか、探索を複製して使います。よく使うセグメントの条件は、チームで共有する文書にまとめておくと便利です。
Q. セグメントとオーディエンスの違いは何ですか。
| 比べる点 | セグメント | オーディエンス |
|---|---|---|
| 使う場所 | 探索の中 | 標準レポート、探索、広告の配信 |
| 過去のデータ | 期間内の過去のデータに適用できる | 作成した時点以降に条件を満たしたユーザーが追加される(一部、過去のデータから作られる場合がある) |
| 広告への利用 | できない | Google 広告などで使える |
探索で条件を試し、効果がありそうな条件をオーディエンスとして作る、という使い方がおすすめです(第 6 部の第 7 章)。
実践ワーク
次の 3 つのセグメントを作り、ユーザー数、エンゲージメント率、キーイベント数を比べてみましょう。
- ユーザー セグメント:過去に料金ページを見たユーザー
- ユーザー セグメント:料金ページを見たあと、問い合わせをしたユーザー(シーケンス条件)
- ユーザー セグメント:料金ページを見たが、問い合わせをしていないユーザー(除外条件)
3 つ目のセグメントは、「検討したが、問い合わせに至らなかった人」です。この人たちが、料金ページのあとにどのページを見ているかを、経路データ探索(この部の第 4 章)で確認すると、問い合わせを妨げている原因のヒントが見つかることがあります。
まとめ
- セグメントには、ユーザー・セッション・イベントの 3 種類があり、「人・訪問・行動」のどれを見たいかで選ぶ
- 条件は AND と OR で組み立て、ユーザー セグメントでは条件のスコープも選べる
- シーケンスで「A のあとに B をした」という行動の順番を条件にできる
- 除外条件で、「料金を見たが問い合わせていない」のような、あと一歩のユーザーを探せる
- よく使うセグメントを作っておくと、さまざまな探索で素早く分析できる
次の章では、複数のセグメントの関係を見る「セグメントの重複」と、個々のユーザーの行動を見る「ユーザー エクスプローラ」を学びます。