6.5 セグメントの作り方

分析対象を絞り込むセグメントを自在に作ります。
実践書籍換算 約 12 ページ

この章で学ぶこと

  • ユーザー・セッション・イベントの 3 種類のセグメントの違い
  • 条件の組み立て方(AND / OR、条件のスコープ)
  • 行動の順番を条件にするシーケンス
  • 除外条件の使い方
  • すぐに使えるセグメントの例

3 種類のセグメント

セグメント は、条件に合うデータだけを分析の対象にする機能です。探索で使えます。標準レポートの「比較」と似ていますが、より細かい条件を設定できます。

セグメントには、どの単位で絞り込むか によって 3 つの種類があります。

種類絞り込む単位含まれるデータ
ユーザー セグメントユーザー条件を満たしたユーザーの、期間内の すべての イベント
セッション セグメントセッション条件を満たしたセッションの、そのセッション内の すべての イベント
イベント セグメントイベント条件を満たした イベントだけ

例で比べる

「購入」を条件にしたセグメントを、3 種類で作ったとします。あるユーザーが、期間内に次の 3 回の訪問をしたとしましょう。

セッション 1:ブログ記事を閲覧(購入なし)
セッション 2:商品ページを閲覧 → 購入
セッション 3:マイページで注文状況を確認(購入なし)
セグメントの種類含まれるデータ
ユーザー セグメント(購入したユーザー)セッション 1・2・3 のすべてのイベント
セッション セグメント(購入があったセッション)セッション 2 のすべてのイベント
イベント セグメント(購入イベント)セッション 2 の purchase イベントだけ

どれを選ぶか

知りたいこと選ぶセグメント
購入した人は、ふだんどんなページを見ているかユーザー セグメント
購入があった訪問では、どこから来て、何ページ見たかセッション セグメント
購入というイベントそのものの内訳(商品、金額など)イベント セグメント

ポイント 迷ったら「人を見たいのか、訪問を見たいのか、行動そのものを見たいのか」を考えましょう。最もよく使うのはユーザー セグメントとセッション セグメントです。

条件の組み立て方

セグメントの作成手順

  1. 探索の変数パネルの「セグメント」の「+」を押す
  2. 「ユーザー セグメント」「セッション セグメント」「イベント セグメント」のどれかを選ぶ(または候補のセグメントから選ぶ)
  3. セグメントの名前を入力する
  4. 「新しい条件を追加」で、ディメンションや指標、イベントを選び、条件を設定する
  5. 「保存して適用」を押す

AND と OR

1 つのセグメントに、複数の条件を組み合わせられます。

組み合わせ意味例
AND(かつ)すべての条件を満たすデバイス = mobile かつ 国 = Japan
OR(または)いずれかの条件を満たすページパスが /pricing/ または /case/ を含む

条件のブロックの中に「OR」で条件を追加し、ブロックどうしを「AND」でつなぐ、という形で組み立てます。

条件ブロック 1:セッションのデフォルト チャネル グループ = Organic Search
                または セッションのデフォルト チャネル グループ = Paid Search
  かつ
条件ブロック 2:デバイス カテゴリ = mobile
→ 「検索(自然・広告)から来た、スマホのユーザー」

条件のスコープ

ユーザー セグメントで複数の条件を組み合わせるとき、条件をどの範囲で満たせばよいか(条件のスコープ)を選べます。

条件のスコープ意味
すべてのセッションで期間内のどこかで、各条件を満たせばよい(条件が別々のセッションで満たされてもよい)
同じセッション内1 つのセッションの中で、すべての条件を満たす
同じイベント内1 つのイベントで、すべての条件を満たす

たとえば「料金ページを見た」かつ「問い合わせをした」という条件で、

  • 「すべてのセッションで」なら、月曜に料金ページを見て、金曜に問い合わせた人も含まれる
  • 「同じセッション内」なら、1 回の訪問の中で料金ページを見て問い合わせた人だけが含まれる

指標の条件

条件には、ディメンションだけでなく指標も使えます。

  • セッション数が 3 以上のユーザー(何度も来ている人)
  • 総収益が 10,000 円以上のユーザー(購入額の大きい人)
  • エンゲージメント時間が 60 秒以上のセッション(じっくり見た訪問)

シーケンス条件

シーケンス は、行動の順番 を条件にする機能です。「A をしたあとに B をした」ユーザーやセッションを絞り込めます。

シーケンスの作成

  1. ユーザー(またはセッション)セグメントの作成画面で、「シーケンスを追加」を押す
  2. ステップ 1 の条件を設定する(例:ページパス = /products/)
  3. 「ステップを追加」で、ステップ 2 の条件を設定する(例:イベント名 = add_to_cart)
  4. 必要に応じて、ステップの間のつながり方(「次の直後」「次の間接的」)や時間の制限を設定する
シーケンスの例:
ステップ 1:ページパスが /blog/ を含む(ブログを読んだ)
  その後(間接的に)
ステップ 2:イベント名 = generate_lead(問い合わせた)
→ 「ブログを読んだあとに問い合わせたユーザー」

シーケンスの使いどころ

シーケンスの例わかること
ブログ → 問い合わせコンテンツ マーケティングの貢献
サイト内検索 → 購入検索機能が購入につながっているか
カート追加 → 30 分以内に購入しなかったカゴ落ちしたユーザーの特徴
動画を最後まで視聴 → 資料請求動画の効果

ポイント シーケンスのステップの間に「時間の制約」を設定すると、「カートに追加してから 1 日以内に購入した」のように、行動の間隔も条件にできます。

除外条件

セグメントには、除外 の条件も設定できます。セグメントの作成画面で「除外するグループを追加」を押すと、条件に合うユーザーやセッションを、セグメントから取り除けます。

除外の種類意味
一時的に除外条件を満たした期間(セッションなど)だけを除外する
完全に除外一度でも条件を満たしたユーザーを、完全に除外する

除外の例

  • 購入したことのないユーザー:「イベント名 = purchase」を完全に除外する
  • 社内の人を除いたユーザー:社内の人を示すユーザー プロパティを持つユーザーを除外する
  • 問い合わせをしていないのに料金ページを見たユーザー:「料金ページを表示」を条件にし、「generate_lead」を完全に除外する

最後の例は、「料金まで見たのに問い合わせていない人」、つまり あと一歩のユーザー を探す分析に使えます。こうしたユーザーをオーディエンスにして、広告やメールでアプローチすることもできます(第 8 章)。

よく使うセグメント集

最後に、すぐに使えるセグメントの例を紹介します。

ユーザー セグメント

セグメント名条件
購入者イベント名 = purchase
未購入者イベント名 = purchase を完全に除外
リード獲得者イベント名 = generate_lead
ヘビー ユーザーセッション数 ≧ 5
モバイル ユーザーデバイス カテゴリ = mobile
検索からの新規ユーザー最初のユーザーのデフォルト チャネル グループ = Organic Search
料金を見たが未問い合わせページパス = /pricing/ かつ generate_lead を完全に除外

セッション セグメント

セグメント名条件
キーイベントのあったセッションキーイベント数 > 0(または特定のイベント名)
広告からのセッションセッションのメディア = cpc
ブログから始まったセッションランディング ページが /blog/ を含む
エンゲージのなかったセッションセッションのエンゲージメント = 0
サイト内検索のあったセッションイベント名 = view_search_results

セグメントの再利用

探索で作ったセグメントは、その探索の中で使えます。ほかの探索でも使いたい場合は、セグメントを作るときに、既存の探索からインポートするか、同じ条件で作り直します。また、セグメントの作成画面で「オーディエンスを作成」にチェックを入れると、同じ条件でオーディエンスを作れます(第 8 章)。

注意 セグメントの条件が細かすぎると、該当するユーザーが少なくなり、しきい値でデータが表示されなかったり、偶然の影響を受けやすくなったりします。セグメントを適用したら、まず該当するユーザー数やセッション数を確認しましょう。

よくある質問

Q. ユーザー セグメントとセッション セグメントは、どちらを使えばよいですか。

A. 何を比べたいか で選びます。「料金ページを見たことがある人は、その後どれくらい問い合わせているか」のように、人の単位で見たいならユーザー セグメントです。「料金ページを見た訪問では、問い合わせが起きやすいか」のように、1 回の訪問の単位で見たいならセッション セグメントです。同じ条件でも、選ぶ種類によって結果が大きく変わることがあるので、分析の問いを先に言葉にしておきましょう。

Q. セグメントを適用したら、データがほとんどなくなりました。

A. 条件が厳しすぎる、条件の値の表記が違う(大文字・小文字、末尾のスラッシュなど)、期間が短い、のいずれかが多い原因です。セグメントの編集画面の右側に表示される 概要(条件に一致するユーザー数など)を見ながら、条件を一つずつ追加して確認しましょう。

Q. 作ったセグメントを、別の探索でも使えますか。

A. 探索で作ったセグメントは、その探索の中に保存されます。別の探索で使いたい場合は、その探索で同じ条件のセグメントを作り直すか、探索を複製して使います。よく使うセグメントの条件は、チームで共有する文書にまとめておくと便利です。

Q. セグメントとオーディエンスの違いは何ですか。

比べる点セグメントオーディエンス
使う場所探索の中標準レポート、探索、広告の配信
過去のデータ期間内の過去のデータに適用できる作成した時点以降に条件を満たしたユーザーが追加される(一部、過去のデータから作られる場合がある)
広告への利用できないGoogle 広告などで使える

探索で条件を試し、効果がありそうな条件をオーディエンスとして作る、という使い方がおすすめです(第 6 部の第 7 章)。

実践ワーク

次の 3 つのセグメントを作り、ユーザー数、エンゲージメント率、キーイベント数を比べてみましょう。

  1. ユーザー セグメント:過去に料金ページを見たユーザー
  2. ユーザー セグメント:料金ページを見たあと、問い合わせをしたユーザー(シーケンス条件)
  3. ユーザー セグメント:料金ページを見たが、問い合わせをしていないユーザー(除外条件)

3 つ目のセグメントは、「検討したが、問い合わせに至らなかった人」です。この人たちが、料金ページのあとにどのページを見ているかを、経路データ探索(この部の第 4 章)で確認すると、問い合わせを妨げている原因のヒントが見つかることがあります。

まとめ

  • セグメントには、ユーザー・セッション・イベントの 3 種類があり、「人・訪問・行動」のどれを見たいかで選ぶ
  • 条件は AND と OR で組み立て、ユーザー セグメントでは条件のスコープも選べる
  • シーケンスで「A のあとに B をした」という行動の順番を条件にできる
  • 除外条件で、「料金を見たが問い合わせていない」のような、あと一歩のユーザーを探せる
  • よく使うセグメントを作っておくと、さまざまな探索で素早く分析できる

次の章では、複数のセグメントの関係を見る「セグメントの重複」と、個々のユーザーの行動を見る「ユーザー エクスプローラ」を学びます。