6.6 セグメントの重複とユーザー エクスプローラ
この章で学ぶこと
- セグメントの重複で、複数のユーザー グループの重なりを見る方法
- ユーザー エクスプローラで、個々のユーザーの行動を時系列で見る方法
- 個別の行動ログから、改善の仮説を作る方法
- 個別のデータを扱うときのプライバシーへの配慮
セグメントの重複
セグメントの重複 は、最大 3 つのセグメントの 重なり を、ベン図で可視化する手法です。
┌───────────┐
│ モバイル │
│ ユーザー │
┌───┼─────┐ │
│ │ 重なり │ │
│ └─────┼───┘
│ 購入者 │
└───────────┘
「モバイル ユーザー」と「購入者」の重なりを見ると、「スマホで来た人のうち、どれくらいが購入しているか」「購入者のうち、どれくらいがスマホで来ているか」が一目でわかります。
設定の手順
- 「探索」で、テンプレートの「セグメントの重複」を開く
- 変数パネルで、比べたいセグメントを用意する(前の章で作ったものなど)
- タブの設定パネルの「セグメントの比較」に、セグメントを 2〜3 個ドラッグする
- 必要に応じて「内訳」にディメンションを、「値」に指標を追加する
キャンバスには、ベン図と、重なりの組み合わせごとの数値の表が表示されます。
セグメントの重複の使いどころ
| 比べるセグメント | わかること |
|---|---|
| モバイル × デスクトップ × 購入者 | デバイスをまたいで利用しているユーザーの割合と、その購入への影響 |
| ブログ閲覧者 × 製品ページ閲覧者 × リード獲得者 | ブログを読んだ人が製品ページにも進み、リードになっているか |
| 新規ユーザー × 動画視聴者 × 購入者 | 初めての訪問で動画を見た人の購入の状況 |
| メール経由 × SNS 経由 × 購入者 | 複数のチャネルに接触している人の購入の状況 |
重なりの部分を深掘りする
ベン図の重なりの部分をクリック(または右クリック)すると、その部分から 新しいセグメント を作ったり、ユーザーの一覧を表示したりできます。
たとえば、「ブログ閲覧者」と「リード獲得者」の重なりからセグメントを作り、自由形式で「そのユーザーがよく読んでいるブログ記事」を調べると、リードにつながりやすい記事を見つけられます。
ポイント セグメントの重複は、数字そのものよりも「どの重なりが大きいか・小さいか」を直感的につかむための手法です。具体的な数値で比べたいときは、表の数値を確認しましょう。
ユーザー エクスプローラ
ユーザー エクスプローラ は、個々のユーザーの行動を時系列で 確認できる手法です。集計された数値ではなく、1 人ひとりが「いつ、どこから来て、何をしたか」を見られます。
設定の手順
- 「探索」で、テンプレートの「ユーザー エクスプローラ」を開く
- キャンバスに、ユーザーの一覧(アプリ インスタンス ID またはクライアント ID、User-ID など)と、各ユーザーのイベント数、収益などが表示される
- 確認したいユーザーの ID をクリックする
- そのユーザーの行動が、日付ごと・セッションごとに時系列で表示される
ユーザーの詳細画面
ユーザーをクリックすると、次のような情報が表示されます。
| 情報 | 内容 |
|---|---|
| ユーザーの概要 | 最初に訪れた日、最初の流入元、デバイス、地域、LTV など |
| 予測 | 購入の可能性、離脱の可能性など(予測指標が有効な場合) |
| 行動の時系列 | 日付ごとのセッションと、その中のイベントの一覧(ページの表示、スクロール、クリック、購入など) |
| イベントの詳細 | イベントをクリックすると、パラメータとその値が表示される |
2026 年 10 月 20 日
10:15 session_start(google / organic)
10:15 page_view /blog/ga4-setup/
10:17 scroll
10:18 page_view /products/
10:21 page_view /pricing/
2026 年 10 月 24 日
14:02 session_start(newsletter / email)
14:02 page_view /case/company-a/
14:06 page_view /contact/
14:09 generate_lead(form_name = contact)
(例)
セグメントと組み合わせる
ユーザー エクスプローラにセグメントを適用すると、特定のグループのユーザーだけを一覧に表示できます。たとえば、「料金を見たが問い合わせていないユーザー」のセグメントを適用すると、あと一歩で成果に至らなかった人の行動を 1 人ずつ確認できます。
個別ログから仮説を作る
ユーザー エクスプローラは、集計データでは見えない「生の行動」 を見られるのが最大の魅力です。数人分の行動を丁寧に見ると、思いがけない発見があることがあります。
仮説を作る手順
- 目的を決める:「問い合わせに至った人は、どんな行動をしているか」など
- 対象を絞る:セグメントで対象のユーザーを絞り込む
- 数人分を見る:10〜20 人程度の行動を時系列で確認する
- 共通点を探す:多くの人に共通する行動、意外な行動をメモする
- 仮説にする:共通点から、改善の仮説を立てる
- 集計で確かめる:仮説が全体に当てはまるかを、自由形式やファネルなどの集計で確認する
発見の例
| 個別のログで見つけたこと | 仮説 | 集計での確認方法 |
|---|---|---|
| 問い合わせた人の多くが、事例ページを 2 つ以上見ている | 事例が問い合わせの決め手になっている | 事例ページの閲覧数別の問い合わせ率を比べる |
| 購入しなかった人の多くが、配送料のページを見たあとに離脱している | 配送料が購入の障壁になっている | 配送料のページを見た人と見ていない人の購入率を比べる |
| 同じ検索キーワードで何度もサイト内検索している人がいる | 検索結果に求める情報が出てこない | 検索キーワード別の、検索後の離脱率を確認する |
注意 数人分の行動から見つけたことは、あくまで「仮説」です。たまたま見た数人が特殊だった可能性もあります。必ず集計データで、全体に当てはまるかを確認しましょう。
プライバシーへの配慮
ユーザー エクスプローラでは、個々のユーザーの行動を細かく見られるため、プライバシーへの配慮 が特に重要です。
守るべきこと
- 個人を特定しようとしない:ユーザー エクスプローラの ID は匿名の識別子です。社内の顧客データなどと突き合わせて、個人を特定しようとしてはいけません
- 個人情報を送らない:パラメータやユーザー プロパティに、氏名やメールアドレスなどが含まれていないことを確認する(含まれていたら、すぐに計測を止めてデータの削除を検討する。第 11 部)
- 画面の共有に注意する:会議などで画面を共有するときは、個別のユーザーの行動ではなく、集計データを見せる
- 目的を限定する:サイトの改善のための分析に限って使う
権限の制限
ユーザー エクスプローラを含む探索の作成には、アナリスト以上の権限が必要です。また、データ制限(費用・収益)の設定がされているユーザーには、該当する指標が表示されません(第 2 部)。
ポイント ユーザー エクスプローラでは、ユーザーのデータを削除することもできます(「ユーザーを削除」)。プライバシーに関わる問い合わせ(自分のデータを削除してほしいなど)があった場合や、誤って個人情報を送ってしまった場合の対応に使えます。ただし、削除は元に戻せないので、慎重に行いましょう。
まとめ
- セグメントの重複は、最大 3 つのセグメントの重なりをベン図で可視化し、重なりからセグメントを作れる
- ユーザー エクスプローラは、個々のユーザーの行動を時系列で確認できる
- 個別のログからは、集計では見えない発見がある。数人分を丁寧に見て共通点を探し、仮説にする
- 個別のログから作った仮説は、必ず集計データで確かめる
- 個人を特定しようとしない、個人情報を送らない、画面の共有に注意するなど、プライバシーに配慮する
次の章では、同じ時期に獲得したユーザーの定着や価値を比べる、コホート データ探索とユーザー生涯価値を学びます。