6.8 オーディエンスの作成と活用
この章で学ぶこと
- オーディエンスとは何か、セグメントとの違い
- オーディエンスの作成手順と、条件の設定
- 予測オーディエンスと予測指標
- オーディエンス トリガーで、条件を満たしたときにイベントを発生させる方法
オーディエンスとは
オーディエンス は、条件に合うユーザーの リスト です。一度作ると、条件に合うユーザーが自動的に追加され続けます。
オーディエンスとセグメントは、どちらも「条件に合うユーザーを絞り込む」ものですが、使い方が異なります。
| 観点 | セグメント | オーディエンス |
|---|---|---|
| 使える場所 | 探索 | 標準レポートの比較やフィルタ、探索、Google 広告などの連携先 |
| 対象となるデータ | 過去のデータにもさかのぼって適用される | 作成した時点以降 に条件を満たしたユーザーが追加される(一部、過去 30 日のデータで初期化される) |
| 主な用途 | 分析 | 広告の配信、レポートでの継続的な比較、イベントのきっかけ |
| 作成の場所 | 探索の変数パネル | 管理画面の「オーディエンス」 |
ポイント 「分析のために一時的に絞り込みたい」ならセグメント、「継続的にそのユーザーを追いかけたい、広告でアプローチしたい」ならオーディエンス、と使い分けましょう。
オーディエンスの使い道
| 使い道 | 例 |
|---|---|
| Google 広告でのリマーケティング | カートに商品を入れたが購入しなかったユーザーに、広告を配信する |
| 標準レポートでの比較 | 「会員」のオーディエンスと「非会員」を比較して、行動の違いを見る |
| 探索での分析 | オーディエンスのディメンション(「オーディエンス名」)で集計する |
| オーディエンス トリガー | オーディエンスに追加されたときに、イベントを発生させる |
| リアルタイム レポート | 今サイトにいるユーザーのうち、どのオーディエンスの人が多いか |
作成手順
基本の手順
- 管理画面の「データの表示」→「オーディエンス」を開く
- 「新しいオーディエンス」を押す
- 次のどれかを選ぶ
- カスタム オーディエンスを作成する:条件をゼロから設定する
- おすすめのオーディエンス:よく使われるオーディエンスのテンプレートから選ぶ(全般、テンプレート、予測など)
- 条件を設定する(セグメントとほぼ同じ方法。第 5 章)
- メンバーシップの有効期間 を設定する
- 名前と説明を入力して「保存」を押す
条件の設定
オーディエンスの条件の設定は、ユーザー セグメントとほぼ同じです。
- ディメンションや指標、イベントの条件を AND / OR で組み合わせる
- シーケンス(行動の順番)を条件にする
- 除外条件を設定する
メンバーシップの有効期間
メンバーシップの有効期間 は、ユーザーが条件を満たしてから、オーディエンスに 何日間とどまるか を決める設定です。
| 有効期間の例 | 使いどころ |
|---|---|
| 7 日 | カゴ落ちしたユーザーに、すぐにリマインドしたい |
| 30 日(既定) | 一般的なリマーケティング |
| 90 日〜540 日 | 検討期間の長い商材(BtoB、不動産など)、休眠顧客の掘り起こし |
| 上限に設定 | 「会員」のように、一度条件を満たしたらずっと含めたい |
有効期間が過ぎると、ユーザーはオーディエンスから外れます(再び条件を満たせば、また追加されます)。
オーディエンスの例
| オーディエンス名 | 条件 | 有効期間 |
|---|---|---|
| カゴ落ちユーザー | add_to_cart を発生させ、かつ purchase を完全に除外 | 7 日 |
| 料金ページ閲覧・未問い合わせ | /pricing/ を表示し、かつ generate_lead を完全に除外 | 30 日 |
| 購入者 | purchase を発生させた | 540 日 |
| エンゲージメントの高いユーザー | セッション数 ≧ 3 かつ 平均エンゲージメント時間 ≧ 60 秒 | 30 日 |
| ブログの愛読者 | /blog/ のページを 5 回以上表示 | 60 日 |
注意 オーディエンスは、作成した時点から(一部は過去 30 日分のデータをもとに)ユーザーが集まり始めます。広告で使いたいオーディエンスは、広告の配信を始める前に、余裕をもって作っておきましょう。また、Google 広告で配信するには、オーディエンスに一定の人数(ディスプレイ ネットワークで 100 人以上など)が必要です。
オーディエンスの上限
1 つのプロパティで作成できるオーディエンスの数には上限があります(執筆時点の無料版で 100 個)。使わなくなったオーディエンスは、アーカイブして整理しましょう。
予測オーディエンス
GA4 には、機械学習を使って ユーザーの将来の行動を予測する 機能があります。この予測をもとに作るのが 予測オーディエンス です。
予測指標
| 予測指標 | 意味 |
|---|---|
| 購入の可能性 | 過去 28 日間にアクティブだったユーザーが、今後 7 日以内に購入する可能性 |
| 離脱の可能性 | 過去 7 日以内にアクティブだったユーザーが、今後 7 日以内にアクティブでなくなる可能性 |
| 予測収益 | 過去 28 日間にアクティブだったユーザーが、今後 28 日間にもたらすと予測される収益 |
予測オーディエンスの例
| オーディエンス | 条件 | 使い方 |
|---|---|---|
| 7 日以内に購入する可能性が高いユーザー | 購入の可能性が上位 | 広告の入札を強める、限定オファーを出す |
| 7 日以内に離脱する可能性が高いユーザー | 離脱の可能性が上位 | 引き留めの施策(メール、プッシュ通知など) |
| 予測収益が上位のユーザー | 予測収益が上位 | 優良顧客向けの施策 |
予測指標を使うための条件
予測指標は、すべてのプロパティで使えるわけではありません。主な条件は次のとおりです(執筆時点)。
purchase(またはin_app_purchase)イベントを計測している(購入の可能性・予測収益の場合)- 一定期間に、条件を満たしたユーザーと満たさなかったユーザーが、それぞれ一定数(例:過去 28 日間の 7 日間で、それぞれ 1,000 人以上)いる
- モデルの品質が一定期間維持されている
条件を満たしていない場合、予測オーディエンスのテンプレートは「利用不可」と表示されます。
ポイント 予測指標は、アクセス数や購入数の多い EC サイトやアプリで威力を発揮します。条件を満たしていない中小規模のサイトでは、通常のオーディエンス(カゴ落ちなど)を工夫して使いましょう。
オーディエンス トリガー
オーディエンス トリガー は、ユーザーがオーディエンスに 追加されたとき に、新しいイベントを発生させる機能です。
設定の手順
- オーディエンスの作成画面で、「オーディエンス トリガー」の「新規作成」を押す
- 発生させるイベントの名前を入力する(例:
became_engaged_user) - 必要に応じて、「オーディエンスのメンバーシップが更新されたときに追加のイベントをログに記録」をオンにする
- 保存する
オーディエンス トリガーの使いどころ
オーディエンス トリガーで発生させたイベントは、通常のイベントと同じように扱えます。
| 使いどころ | 例 |
|---|---|
| キーイベントにする | 「エンゲージメントの高いユーザーになった」をキーイベントにして、広告の最適化に使う |
| 達成の数を数える | 「ブログの愛読者になった」人が月に何人いるかを数える |
| 複雑な条件の成果を作る | 「3 回以上訪問し、料金ページも見た」のような、単一のイベントでは表せない成果を作る |
注意 オーディエンス トリガーのイベントは、ユーザーがオーディエンスの条件を満たした あと に発生します。発生のタイミングがリアルタイムではないことや、過去にさかのぼって発生しないことに注意しましょう。
オーディエンスの運用
オーディエンスは、作って終わりではありません。次のような運用を心がけましょう。
- 命名ルールを決める:「[用途][条件][有効期間]」のように、名前を見れば内容がわかるようにする(例:
RMK_カゴ落ち_7d) - 説明欄を活用する:作成した目的、作成者、使っている広告キャンペーンを書いておく
- 人数を確認する:オーディエンスの一覧で、各オーディエンスのユーザー数を定期的に確認する。極端に少ないものは条件を見直す
- 整理する:使わなくなったオーディエンスはアーカイブする
まとめ
- オーディエンスは条件に合うユーザーのリストで、作成した時点以降に条件を満たしたユーザーが追加され続ける
- 分析のための一時的な絞り込みはセグメント、継続的な追跡や広告配信はオーディエンス
- メンバーシップの有効期間で、ユーザーがオーディエンスにとどまる日数を決める
- 予測オーディエンスで、購入や離脱の可能性が高いユーザーを狙えるが、一定のデータ量が必要
- オーディエンス トリガーで、オーディエンスへの追加をイベントにし、キーイベントなどに使える
これで第 6 部は終わりです。理解度クイズ で確認してみましょう。次の第 7 部では、成果を計測するキーイベントの設定と、売上につながる EC 計測を詳しく学びます。