8.1 UTM パラメータの設計と運用
この章で学ぶこと
- 5 つの UTM パラメータの役割
- 社内で統一する命名ルールの作り方
- UTM 付きの URL を作るツール
- 管理シートでの運用
- やってはいけない UTM の付け方
5 つの UTM パラメータ
UTM パラメータ は、URL の末尾に付けて、ユーザーがどこから来たのかを GA4 に明示的に伝えるためのパラメータです(第 4 部でも紹介しました)。
https://www.example.co.jp/sale/?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=2026_autumn_sale&utm_content=header_banner
| パラメータ | 役割 | GA4 のディメンション | 例 |
|---|---|---|---|
utm_source(必須) | 流入元のサイトやサービス | 参照元 | newsletter、instagram、line、flyer |
utm_medium(必須) | 流入の種類(媒体の分類) | メディア | email、social、cpc、display、qr |
utm_campaign(推奨) | 施策・キャンペーンの名前 | キャンペーン | 2026_autumn_sale、webinar_1105 |
utm_content | 同じキャンペーンの中での違い(リンクの位置、クリエイティブ) | 手動広告コンテンツ | header_banner、text_link、video_a |
utm_term | キーワード(主に検索広告) | 手動キーワード | ga4_設定 |
このほか、utm_id(キャンペーン ID)、utm_source_platform(流入元のプラットフォーム)、utm_creative_format(クリエイティブの形式)、utm_marketing_tactic(マーケティング戦術)などのパラメータも使えます。
UTM が必要な流入
GA4 は、リファラー(参照元の URL)からも流入元を判定しますが、次のような流入では、UTM を付けないと正しく判定できません。
| 流入 | UTM がない場合 |
|---|---|
| メールマガジン | (direct) / (none) になることが多い(メールアプリはリファラーを送らない) |
| SNS の投稿(特にアプリから) | (direct) になったり、t.co、l.facebook.com などの参照元になったりする |
| LINE のメッセージ | (direct) になることが多い |
| QR コード(チラシ、ポスター、名刺など) | (direct) になる |
| PDF や資料の中のリンク | (direct) になる |
| Google 以外の広告(Meta、LINE、Yahoo! など) | 媒体によっては referral や (direct) になる |
ポイント Google 広告は、自動タグ設定(第 3 章)を有効にしていれば、UTM を付けなくても GA4 で正しく識別されます。それ以外の広告や、メール・SNS・QR コードなどには、UTM を付けましょう。
命名ルールの作り方
UTM は、自由に値を設定できる反面、人によって付け方がばらばら になりやすいものです。表記揺れがあると、同じ施策の数値が別々の行に分かれてしまいます。
表記揺れの例(すべて別の行として集計される)
utm_source=Newsletter
utm_source=newsletter
utm_source=mail_magazine
utm_source=mailmagazine
これを防ぐには、社内で命名ルールを決めて、全員で守る ことが大切です。
基本のルール
| ルール | 理由 |
|---|---|
| すべて小文字にする | GA4 は大文字と小文字を区別するため |
単語の区切りはアンダースコア(_)にする | スペースや記号は URL で変換され、読みにくくなるため |
| 日本語は使わない | URL でエンコードされ、管理しにくくなるため |
utm_medium は決まった値だけを使う | デフォルト チャネル グループの判定に使われるため |
utm_source は媒体ごとに決まった値を使う | 同じ媒体の数値をまとめて見るため |
utm_campaign は「日付_内容」の形式にする | 時期と内容がわかり、並べ替えもしやすいため |
utm_medium の値の一覧(例)
utm_medium の値は、GA4 のデフォルト チャネル グループのルールに合わせて決めると、チャネルが正しく判定されます。
| 流入 | utm_medium | 判定されるチャネル |
|---|---|---|
| メールマガジン | email | |
| SNS の通常の投稿 | social | Organic Social |
| SNS の広告 | paid_social | Paid Social |
| ディスプレイ広告 | display | Display |
| 検索広告(Google 広告以外) | cpc | Paid Search(参照元が検索エンジンの場合) |
| アフィリエイト | affiliate | Affiliates |
| QR コード(印刷物) | qr | Unassigned(必要に応じてカスタム チャネル グループで分類) |
| プレスリリース、外部記事 | referral | Referral |
注意
utm_medium=mailやutm_medium=snsのように、GA4 のルールにない値を使うと、チャネルが「Unassigned」になります。カスタム チャネル グループ(第 2 章)で独自の分類を作る方法もありますが、まずはルールに合う値を使うのが簡単です。
utm_source の値の一覧(例)
| 流入 | utm_source |
|---|---|
| 自社のメールマガジン | newsletter |
| ステップメール | step_mail |
instagram | |
| X | x |
facebook | |
| LINE 公式アカウント | line |
| YouTube の概要欄 | youtube |
| チラシ | flyer |
| 展示会のパンフレット | exhibition |
utm_campaign の形式(例)
[年月日または年月]_[施策の内容]
2026_autumn_sale
20261105_webinar_ga4
202611_newsletter_vol45
URL 生成ツール
UTM 付きの URL を手作業で作ると、入力ミスが起きやすくなります。次のようなツールを使いましょう。
| ツール | 内容 |
|---|---|
| Google の Campaign URL Builder | Google が公開している、UTM 付きの URL を作るウェブ ツール(「Campaign URL Builder」で検索) |
| スプレッドシートの関数 | 管理シートに、パラメータを入力すると URL が自動で作られる関数を入れておく |
| メール配信ツールの機能 | 多くのメール配信ツールには、リンクに UTM を自動で付ける機能がある |
| SNS 管理ツールの機能 | SNS の投稿管理ツールにも、UTM を付ける機能があることが多い |
スプレッドシートで URL を作る例
A 列:リンク先 URL https://www.example.co.jp/sale/
B 列:utm_source newsletter
C 列:utm_medium email
D 列:utm_campaign 2026_autumn_sale
E 列:utm_content header_banner
F 列:完成した URL(関数で作成)
=A2&"?utm_source="&B2&"&utm_medium="&C2&"&utm_campaign="&D2&"&utm_content="&E2
ポイント リンク先の URL に、すでに
?が含まれている場合(例:/products/?category=shoes)は、UTM の前を?ではなく&でつなぐ必要があります。関数で作る場合は、この場合分けも入れておくと安心です。
管理シートでの運用
UTM は、作った URL を 管理シート で一元管理すると、表記揺れを防ぎ、あとからの分析もしやすくなります。
管理シートの項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作成日 | URL を作った日 |
| 作成者 | 誰が作ったか |
| 施策名 | 何の施策か(日本語で OK) |
| 配信日・掲載期間 | いつ使ったか |
| リンク先 URL | UTM を付ける前の URL |
| utm_source / medium / campaign / content / term | 各パラメータの値 |
| 完成した URL | 実際に使う URL |
| 短縮 URL・QR コード | 印刷物などで使う場合 |
| 備考 | 補足 |
運用のルール
- UTM 付きの URL は、必ず管理シートで作る:個人がばらばらに作らない
- 値は、プルダウンで選ぶようにする:
utm_sourceとutm_mediumは、決まった値の一覧から選べるようにすると、表記揺れを防げる - 使う前に動作を確認する:作った URL を開き、リアルタイム レポートで UTM の値が届いているかを確認する(第 5 部)
- 定期的に棚卸しする:GA4 のレポートで、ルールにない値(大文字、表記揺れなど)が出ていないかを確認する
やってはいけない付け方
最後に、UTM の付け方でよくある失敗を紹介します。
1. サイト内のリンクに UTM を付ける
最もやってはいけないのが、自社サイトの中のリンク(トップページのバナーから商品ページへのリンクなど)に UTM を付けることです。
× 自社サイトのトップページのバナー:
/sale/?utm_source=top&utm_medium=banner&utm_campaign=autumn_sale
サイト内のリンクに UTM を付けると、ユーザーがそのリンクをクリックした時点で、流入元の情報が上書き されてしまうことがあります。本当は検索から来たユーザーなのに、「top / banner」から来たように記録され、正しい集客の分析ができなくなります。
サイト内のバナーやリンクの効果を測りたい場合は、UTM ではなく、クリックのイベント(GTM で計測)や、プロモーションのイベント(select_promotion。第 7 部)を使いましょう。
2. 個人情報を入れる
UTM の値に、メールアドレスや会員 ID などの個人情報を入れてはいけません。URL は page_location として GA4 に送られるため、個人情報が GA4 に記録されてしまいます(第 11 部)。
× utm_content=taro@example.com
× utm_term=member_12345
3. Google 広告に手動の UTM と自動タグ設定を混在させる
Google 広告で自動タグ設定(gclid)を使っている場合、手動で UTM を付ける必要はありません。両方を付けると、設定によっては UTM の値が優先され、Google 広告の詳細なデータ(キャンペーン、広告グループ、キーワードなど)と GA4 のデータの連携がうまくいかなくなることがあります(第 3 章)。
4. 値に意味のない文字列を使う
utm_campaign=cp001 のように、管理番号だけの値を使うと、あとで GA4 のレポートを見ても何の施策かわかりません。管理シートを見なくても内容がわかる値にしましょう。
まとめ
- UTM パラメータは、メール・SNS・QR コード・Google 以外の広告など、流入元が判定しにくい流入に付ける
- すべて小文字、アンダースコア区切り、日本語を使わない、などの命名ルールを決めて守る
utm_mediumは、GA4 のデフォルト チャネル グループのルールに合う値を使う- URL は管理シートで一元管理し、値はプルダウンで選ぶようにして表記揺れを防ぐ
- サイト内のリンクに UTM を付けない、個人情報を入れない
次の章では、自社に合ったチャネルの分類を作る、カスタム チャネル グループの使い方を学びます。