8.2 チャネル グループのカスタマイズ
この章で学ぶこと
- デフォルト チャネル グループの分類ルールの仕組み
- カスタム チャネル グループの作り方
- Paid(有料)と Organic(自然)の判定のしかた
- カスタム チャネル グループを運用するときの注意
デフォルトの分類ルール
第 4 部で紹介したとおり、デフォルト チャネル グループ は、参照元とメディアなどの情報をもとに、流入を「Organic Search」「Paid Social」「Email」などのチャネルに分類したものです。
分類は、あらかじめ決められた ルール に従って行われます。主なルールの概要は次のとおりです(実際のルールはより詳細で、Google の公式ヘルプで公開されています)。
| チャネル | ルールの概要 |
|---|---|
| Direct | 参照元が (direct) で、メディアが (not set) または (none) |
| Cross-network | キャンペーン名に cross-network を含む(Google 広告の P-MAX など) |
| Paid Shopping | ショッピング サイトの参照元、またはキャンペーン名が shopping を含み、かつメディアが有料の形式 |
| Paid Search | 検索サイトの参照元で、かつメディアが有料の形式(cpc、ppc、paid で始まるもの など) |
| Paid Social | SNS の参照元で、かつメディアが有料の形式 |
| Paid Video | 動画サイトの参照元で、かつメディアが有料の形式 |
| Display | メディアが display、banner、expandable、interstitial、cpm のいずれか |
| Organic Shopping | ショッピング サイトの参照元、またはキャンペーン名がショッピングに関するもの |
| Organic Social | SNS の参照元、またはメディアが social、social-network、sm など |
| Organic Video | 動画サイトの参照元、またはメディアが video を含む |
| Organic Search | 検索サイトの参照元、またはメディアが organic |
| Referral | メディアが referral、app、link |
参照元またはメディアが email、e-mail、e_mail、e mail | |
| Affiliates | メディアが affiliate |
| Audio | メディアが audio |
| SMS | 参照元またはメディアが sms |
| Mobile Push Notifications | メディアが push で終わる、など |
| Unassigned | どのルールにも当てはまらない |
「検索サイト」「SNS」「動画サイト」「ショッピング サイト」に当たるかどうかは、Google が管理している サイトの一覧 で判定されます。
ルールの順番
ルールは 上から順番に 評価され、最初に当てはまったチャネルに分類されます。たとえば、参照元が facebook.com でメディアが cpc の流入は、Paid Social のルールに当てはまるため、Organic Social にはなりません。
カスタム チャネル グループの作成
デフォルト チャネル グループは便利ですが、自社のマーケティングの分け方と合わないことがあります。
- 「QR コード」の流入を、独自のチャネルとして見たい(デフォルトでは Unassigned)
- 「LINE」を、ほかの SNS と分けて見たい
- 「指名検索の広告」と「一般キーワードの広告」を分けて見たい
- 「提携先サイト」からの紹介を、一般の Referral と分けて見たい
このような場合は、カスタム チャネル グループ を作ります。
作成の手順
- 管理画面の「データの表示」→「チャネル グループ」を開く
- 「新しいチャネル グループを作成」を押す(またはデフォルト チャネル グループをコピーする)
- チャネル グループの名前を入力する(例:「自社用チャネル」)
- チャネルを追加・編集する。各チャネルには、名前と条件を設定する
- チャネルの 順番 を調整する(上にあるルールが優先される)
- 「グループを保存」を押す
チャネルの条件の例
| チャネル名 | 条件 |
|---|---|
| QR Code | セッションのメディア が qr と完全一致 |
| LINE | セッションの参照元 が line を含む |
| Partner Referral | セッションの参照元 が正規表現 partner-a\.com|partner-b\.jp に一致 |
| Brand Paid Search | セッションのキャンペーン が brand を含み、かつデフォルト チャネル グループが Paid Search |
ポイント 最初から作るより、「デフォルト チャネル グループをコピー」してから、必要なチャネルを追加・変更するほうが簡単です。追加したチャネルは、既存のチャネル(Organic Social など)より 上 に置かないと、既存のルールが先に当てはまってしまうことに注意しましょう。
カスタム チャネル グループは過去にも反映される
カスタム チャネル グループは、GA4 の設定の中では珍しく、作成すると過去のデータにも適用 されます。データの収集方法ではなく、集計のしかたを変える設定だからです。そのため、作ってすぐに、過去の期間のデータを新しい分類で見られます。
レポートでの使い方
カスタム チャネル グループを作ると、標準レポートや探索で、新しいディメンションとして使えるようになります。
- トラフィック獲得レポートの表の左上のディメンションの切り替えで、「セッションの〇〇(カスタム チャネル グループ名)」を選ぶ
- 探索の変数パネルで、ディメンションとして追加する
また、作成したカスタム チャネル グループを プライマリ チャネル グループ に設定すると、レポートの既定のチャネルのディメンションとして使われるようになります(プライマリにすると、アトリビューションの集計にも使われます)。
Paid と Organic の判定
チャネルの分類で特に重要なのが、有料(Paid) と 自然(Organic) の区別です。広告の費用対効果を正しく評価するには、有料の流入を正しく判定する必要があります。
有料と判定されるメディアの形式
デフォルトのルールでは、メディアが次のような形式の場合に「有料」と判定されます。
cpc、ppc、retargeting、paid で始まるもの(paid_social、paidsearch など)、cp を含むもの(cpm など)
つまり、SNS の広告に utm_medium=paid_social や utm_medium=cpc を付けていれば Paid Social と判定されますが、utm_medium=ad や utm_medium=sns_ad のように付けると、判定されない(Organic Social や Unassigned になる)ことがあります。
Google 広告の判定
Google 広告は、自動タグ設定(gclid)を有効にしていれば、UTM の値にかかわらず、Paid Search や Display、Paid Video、Cross-network などに正しく判定されます(次章)。
よくある判定のずれ
| 状況 | 結果 | 対策 |
|---|---|---|
| Meta 広告に UTM を付けていない | l.facebook.com / referral などとなり、Organic Social と判定される | utm_medium=paid_social などを付ける |
LINE 広告に utm_medium=line_ad | Unassigned | utm_medium=paid_social、utm_source=line にする |
自社のメールに utm_medium=mail | Unassigned | utm_medium=email にする |
アフィリエイトに utm_medium=asp | Unassigned | utm_medium=affiliate にする、またはカスタム チャネルを作る |
注意 有料の流入が Organic や Unassigned に分類されていると、広告の成果が実際より少なく見え、逆に自然流入の成果が多く見えてしまいます。広告を出稿したら、トラフィック獲得レポートで、その広告の流入が意図したチャネルに分類されているかを必ず確認しましょう。
運用上の注意
数を増やしすぎない
カスタム チャネル グループは、1 つのプロパティで作れる数に上限があります(執筆時点の無料版で 2 つまで)。また、チャネルの数が多すぎると、全体の傾向がつかみにくくなります。
ルールを文書化する
カスタム チャネル グループの条件は、作った人以外にはわかりにくいものです。どのチャネルがどの条件で分類されるかを、UTM の管理シート(前の章)と一緒に文書化しておきましょう。
UTM のルールとあわせて見直す
カスタム チャネル グループは、UTM の命名ルールと密接に関係しています。UTM のルールを変えたら、チャネル グループの条件も見直しましょう。逆に、UTM のルールが整っていれば、カスタム チャネル グループを作らなくても、デフォルト チャネル グループで十分なことも多いです。
ポイント まずは UTM のルールをデフォルト チャネル グループに合わせて整え、それでも分けたいチャネル(QR コード、提携先など)があれば、カスタム チャネル グループを作る、という順番がおすすめです。
まとめ
- デフォルト チャネル グループは、参照元・メディア・キャンペーンのルールを上から順に評価して分類する
- 自社のマーケティングの分け方に合わない場合は、カスタム チャネル グループを作る。過去のデータにも適用される
- 追加したチャネルは、既存のチャネルより上に置かないと、既存のルールが先に当てはまる
- 有料の流入は、メディアの値(
cpc、paid_socialなど)で判定されるため、UTM の付け方が重要 - まずは UTM のルールを整え、必要なチャネルだけをカスタム チャネル グループで追加する
次の章では、Google 広告と GA4 を連携して、広告のデータとサイト内の行動をつなげる方法を学びます。