8.5 SNS とメール施策の効果測定
この章で学ぶこと
- SNS からの流入を正しく計測する方法
- SNS のアプリ内ブラウザで起こる計測の問題
- メールマガジンの配信の効果を測る方法
- 計測しにくい「ダーク ソーシャル」の考え方
SNS 流入の計測
SNS(X、Instagram、Facebook、LINE、YouTube、TikTok など)は、多くの企業が力を入れている集客のチャネルです。GA4 では、SNS からの流入は主に次のように記録されます。
| 流入の種類 | GA4 での記録の例 | チャネル |
|---|---|---|
| SNS の投稿のリンク(UTM なし) | t.co / referral、l.instagram.com / referral、m.facebook.com / referral | Organic Social |
| SNS の投稿のリンク(UTM あり) | instagram / social など、UTM で指定した値 | Organic Social |
| SNS の広告(UTM あり) | facebook / paid_social など | Paid Social |
| SNS アプリからの流入(リファラーなし) | (direct) / (none) | Direct |
UTM を付けて計測する
SNS の投稿のリンクには、できるだけ UTM パラメータ を付けましょう(第 1 章)。UTM を付けると、次のようなことがわかるようになります。
- どの SNS から何人来たか(
utm_source) - どの投稿・キャンペーンから来たか(
utm_campaign) - 同じ投稿の中のどのリンクか、プロフィールのリンクか(
utm_content)
Instagram のプロフィールのリンク:
https://www.example.co.jp/?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=profile
X の投稿(10 月 28 日の新商品の告知):
https://www.example.co.jp/new/?utm_source=x&utm_medium=social&utm_campaign=20261028_new_item
ポイント UTM 付きの URL は長くなるため、SNS では短縮 URL を使うことがあります。短縮 URL のサービスを使う場合も、転送先の URL に UTM が付いていれば、GA4 で正しく計測されます。
SNS の成果の評価
SNS からの流入は、検索や広告に比べて、エンゲージメント率やキーイベント率が低い ことがよくあります。SNS のユーザーは、情報を「探している」のではなく、たまたま「目にした」状態で訪れることが多いためです。
SNS は、キーイベント率だけでなく、次のような観点で評価しましょう。
| 観点 | 見る指標 |
|---|---|
| 新しい人に届いているか | 新規ユーザー数(ユーザー獲得レポート) |
| 関心を持ってもらえたか | エンゲージメント率、平均エンゲージメント時間 |
| また来てもらえるか | SNS で獲得したユーザーのリピート率(コホート) |
| 成果への間接的な貢献 | アトリビューションでの早期の接点としての貢献(第 7 部) |
アプリ内ブラウザの問題
スマホの SNS アプリ(Instagram、X、Facebook、LINE など)で投稿のリンクをタップすると、多くの場合、Safari や Chrome ではなく、SNS アプリの中に組み込まれた アプリ内ブラウザ でページが開きます。
アプリ内ブラウザには、計測に関わるいくつかの問題があります。
| 問題 | 影響 |
|---|---|
| リファラーが送られないことがある | UTM がないと (direct) になる |
| Cookie がアプリごとに分かれている | 同じ人が Instagram のアプリ内ブラウザと Safari で訪れると、別のユーザーとして数えられる |
| Cookie がすぐに消えることがある | リピーターが新規ユーザーとして数えられやすい |
| アプリ内ブラウザで閲覧後、Safari などで開き直して購入する | 購入が SNS の成果として結びつかない |
アプリ内ブラウザへの対策
- UTM を必ず付ける:リファラーがなくても、流入元がわかる
- SNS の成果は間接的にも評価する:アプリ内ブラウザでの閲覧のあと、別のブラウザで購入されることを前提に、新規ユーザー数やアトリビューションの早期の貢献も見る
- ブラウザのディメンションで確認する:テクノロジーのレポートで、ブラウザの値に「Instagram」「Facebook」「Line」などのアプリ内ブラウザがどれくらいあるかを確認する
注意 アプリ内ブラウザでは、ログインの状態やカートの中身が、普段使っているブラウザと共有されません。「SNS から来た人のカゴ落ちが多い」場合は、アプリ内ブラウザでの購入のしにくさが原因かもしれません。
メール配信の計測
メールマガジンやステップメールは、既存の顧客や見込み顧客との接点として、成果につながりやすいチャネルです。
メールのリンクに UTM を付ける
メールのアプリやウェブメールは、多くの場合リファラーを送らないため、UTM を付けないと (direct) になってしまいます。メールのリンクには、必ず UTM を付けましょう。
https://www.example.co.jp/sale/?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=202610_vol45&utm_content=main_banner
| パラメータ | 値の付け方の例 |
|---|---|
utm_source | メールの種類(newsletter、step_mail、cart_reminder) |
utm_medium | email(固定) |
utm_campaign | 配信回や配信日(202610_vol45、20261028_sale) |
utm_content | メールの中のリンクの位置(main_banner、text_link_1、footer) |
多くのメール配信ツールには、リンクに UTM を自動で付ける機能があります。設定しておくと、付け忘れを防げます。
メールの効果の測り方
| 知りたいこと | 見る場所 |
|---|---|
| 配信ごとのセッション数、成果 | トラフィック獲得レポートで、セッションのキャンペーン別に見る |
| メールのどのリンクがクリックされたか | 探索で、セッションの手動広告コンテンツ(utm_content)別に見る |
| メールから来た人の行動 | セグメント(セッションのメディア = email)で、ページや経路を見る |
| メールの長期的な効果 | メールから来た人のリピートや LTV |
メール配信ツールのデータと組み合わせる
GA4 でわかるのは、メールのリンクがクリックされて、サイトに来たあとのことです。配信数・開封率・クリック率 は、メール配信ツールのデータで確認します。
メール配信ツール:配信数 10,000 → 開封 2,500(25%)→ クリック 400(16%)
GA4:セッション 360 → キーイベント 18(5.0%)
(数値は例)
クリック数(配信ツール)とセッション数(GA4)は、計測の漏れやページの表示前の離脱などで一致しません。両方のツールのデータを並べて、配信から成果までの流れを把握しましょう。
ダーク ソーシャル
ダーク ソーシャル とは、LINE のトークや、メッセージ アプリ、メール、チャット ツールなどで、個人どうしで URL が共有される ことによる流入のことです。
友人が LINE のトークで「この記事おもしろいよ」と URL を共有
→ 受け取った人がタップしてサイトに訪れる
→ GA4 では (direct) / (none) として記録される
ダーク ソーシャルの流入は、リファラーも UTM もないため、GA4 では (direct) と区別できません。多くのサイトで、(direct) の中には、ダーク ソーシャルの流入がかなり含まれていると考えられます。
ダーク ソーシャルを推測する方法
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| ランディング ページで推測する | (direct) のランディング ページが、トップページではなく深い階層の記事(URL を覚えて直接入力することは考えにくいページ)なら、共有による流入の可能性が高い |
| 共有ボタンに UTM を付ける | サイトの「LINE で送る」「URL をコピー」ボタンで共有される URL に、UTM(例:utm_source=line_share&utm_medium=social)を付ける |
| 共有のイベントを計測する | 共有ボタンのクリックを share イベント(推奨イベント)で計測し、どの記事がよく共有されているかを知る |
ポイント 「Direct が増えた」とき、それがブックマークや直接入力によるものなのか、ダーク ソーシャルによるものなのかは、ランディング ページを見ると推測しやすくなります。特定の記事の Direct が急に増えていたら、どこかで共有されて話題になっている可能性があります。
まとめ
- SNS の投稿やメールのリンクには、UTM を付けて、流入元とキャンペーンを正しく計測する
- SNS は、キーイベント率だけでなく、新規ユーザー・エンゲージメント・間接的な貢献でも評価する
- SNS のアプリ内ブラウザでは、リファラーや Cookie の問題で、流入元やユーザーが正しく計測されないことがある
- メールの効果は、GA4(サイトでの行動)と配信ツール(配信・開封・クリック)のデータを組み合わせて把握する
- 個人間の共有による流入(ダーク ソーシャル)は (direct) に含まれ、ランディング ページや共有ボタンの計測で推測する
次の章では、Meta や LINE、ディスプレイ広告など、Google 以外の広告媒体を GA4 で評価する方法を学びます。