8.6 その他の広告媒体の計測
この章で学ぶこと
- Meta・LINE・Yahoo! などの広告に UTM を設計する方法
- 広告の費用データを GA4 に取り込む方法
- 広告媒体の管理画面と GA4 の数値が違う理由
- ビュースルー(広告を見ただけ)の成果の考え方
他媒体の UTM 設計
Google 広告は、自動タグ設定によって GA4 と自動的に連携できますが、それ以外の広告媒体(Meta 広告、LINE 広告、Yahoo! 広告、X 広告、TikTok 広告、各種のディスプレイ広告など)は、UTM パラメータ を付けないと、GA4 で正しく識別できません。
媒体ごとの UTM の例
| 媒体 | utm_source | utm_medium | 判定されるチャネル |
|---|---|---|---|
| Meta 広告(Facebook / Instagram) | facebook または instagram | paid_social | Paid Social |
| LINE 広告 | line | paid_social | Paid Social |
| X 広告 | x | paid_social | Paid Social |
| TikTok 広告 | tiktok | paid_social | Paid Social |
| Yahoo! 広告(検索広告) | yahoo | cpc | Paid Search |
| Yahoo! 広告(ディスプレイ広告) | yahoo | display | Display |
| Microsoft 広告(検索) | bing | cpc | Paid Search |
| その他のディスプレイ広告 | 媒体名 | display | Display |
utm_campaign には、広告媒体の管理画面でのキャンペーン名や ID と対応する値を入れておくと、媒体の管理画面のデータと GA4 のデータを突き合わせやすくなります。
動的なパラメータを使う
多くの広告媒体には、広告のクリック時に、キャンペーン名や広告の ID などを URL に 自動的に埋め込む 機能(動的パラメータ、マクロ)があります。
Meta 広告の例(URL パラメータの設定):
utm_source=facebook&utm_medium=paid_social&utm_campaign={{campaign.name}}&utm_content={{ad.name}}
動的パラメータを使うと、広告ごとに手作業で UTM を設定する必要がなくなり、付け間違いも防げます。使える書式は媒体ごとに異なるので、各媒体のヘルプを確認しましょう。
注意 広告媒体によっては、独自のクリック ID(Meta の
fbclid、Yahoo! のyclidなど)が URL に自動で付きます。これらのパラメータは、GA4 の流入元の判定には使われないため、UTM は別に付ける必要があります。
コスト データのインポート
Google 広告以外の広告の 費用 は、そのままでは GA4 にありません。GA4 で、すべての広告媒体の費用対効果(ROAS や CPA)を並べて比べたい場合は、コスト データのインポート を使います。
インポートの流れ
- 各広告媒体の管理画面から、日別・キャンペーン別の費用、クリック数、表示回数のデータを書き出す
- GA4 の形式に合わせて、CSV ファイルを作る
- GA4 の管理画面の「データのインポート」で、「費用データ」を選んでアップロードする
CSV の項目の例
| 項目 | 内容 |
|---|---|
utm_source | 参照元(UTM と同じ値) |
utm_medium | メディア(UTM と同じ値) |
utm_campaign | キャンペーン名(UTM と同じ値) |
utm_id | キャンペーン ID(キーとして使う) |
date | 日付 |
daily_impressions | 表示回数 |
daily_clicks | クリック数 |
daily_cost | 費用 |
インポートした費用データは、UTM の値(utm_id、utm_source、utm_medium など)をキーにして、GA4 のセッションやキーイベントのデータと結びつけられます。そのため、UTM の値とインポートするデータの値を、正確にそろえる 必要があります。
ポイント コスト データのインポートは、手作業で行うと手間がかかります。広告の数が多い場合は、Looker Studio(第 10 部)で、GA4 のデータと各広告媒体のデータ(コネクタやスプレッドシート経由)を並べて表示する方法も検討しましょう。
媒体管理画面との数値差
広告媒体の管理画面に表示される「コンバージョン数」と、GA4 で見たその媒体からの「キーイベント数」は、多くの場合大きく異なります。
数値が違う主な理由
| 原因 | 広告媒体の管理画面 | GA4 |
|---|---|---|
| 計測の方法 | 媒体のタグ(ピクセル)やサーバー連携 | GA4 のタグ |
| アトリビューション | 媒体の広告がクリック(または表示)されていれば、その媒体の成果として数える | GA4 のアトリビューション モデルで、すべてのチャネルの中で割り振る |
| ビュースルー | 広告を見ただけの人の成果も含めることが多い | 含まない(Google の一部の広告を除く) |
| 成果の期間 | 媒体ごとの設定(クリック後 7 日、表示後 1 日など) | GA4 のルックバック ウィンドウ |
| 日付の基準 | 広告のクリック(表示)の日 | キーイベントが発生した日 |
| デバイスをまたぐ成果 | 媒体のログイン情報で、デバイスをまたいで結びつけられる | GA4 で同じユーザーと識別できる範囲のみ |
| 重複 | 複数の媒体がそれぞれ「自分の成果」として数える | 1 つの成果を割り振るので、合計は実際の成果の数になる |
重複の問題
特に注意したいのが 重複 です。
あるユーザーが、
Meta 広告をクリック → LINE 広告をクリック → Google 広告をクリック → 購入
Meta 広告の管理画面:コンバージョン 1 件
LINE 広告の管理画面:コンバージョン 1 件
Google 広告の管理画面:コンバージョン 1 件
→ 媒体の管理画面の合計:3 件(実際の購入は 1 件)
GA4(データドリブン):1 件の購入を 3 つの媒体に割り振る(例:0.3 + 0.2 + 0.5)
各媒体の管理画面の数値を合計すると、実際の成果よりも多くなってしまいます。媒体をまたいで比べるときは、GA4 のように 1 つの基準で割り振ったデータ を使うのが公平です。
ポイント 媒体の管理画面の数値は、その媒体の中での最適化(どの広告やターゲットが良いか)に使い、GA4 の数値は、媒体をまたいだ比較と予算配分 に使う、と使い分けるのが一般的です。
ビュースルーの考え方
ビュースルー コンバージョン とは、広告を クリックせずに見ただけ のユーザーが、あとで(別の経路から)サイトを訪れて成果に至ったものです。
ユーザーが Instagram で広告を見る(クリックはしない)
↓ 2 日後
Google で商品名を検索してサイトに訪れ、購入する
→ Meta 広告の管理画面:ビュースルー コンバージョン 1 件
→ GA4:Organic Search(または Paid Search)の成果
ビュースルーの評価の難しさ
ビュースルーは、広告の 認知の効果 を表している可能性がある一方で、「広告を見なくても買っていた人」を含んでいる可能性もあります。
| 立場 | 主張 |
|---|---|
| ビュースルーを評価すべき | 広告を見て商品を知った人が、あとで検索して購入している。広告の認知効果を無視すると、広告の価値を過小評価する |
| ビュースルーは割り引いて見るべき | 広告を見たかどうかに関係なく、もともと購入するつもりだった人も含まれる。媒体の数値をそのまま信じると、広告の価値を過大評価する |
ビュースルーの効果を確かめるには
ビュースルーの本当の効果を確かめるには、広告を見せたグループと見せなかったグループ を比べる方法(リフト テスト、増分効果の測定)が有効です。いくつかの広告媒体は、このようなテストの機能を提供しています。詳しくは次の章の「増分効果」で扱います。
まとめ
- Google 以外の広告には、媒体ごとに決めた UTM を付け、
utm_mediumをpaid_social、cpc、displayなどにする - 広告媒体の動的パラメータを使うと、UTM の設定を自動化できる
- 他媒体の費用は、コスト データのインポートで GA4 に取り込める(UTM の値をそろえる必要がある)
- 媒体の管理画面と GA4 の数値は、アトリビューション・ビュースルー・重複などの違いで一致しない
- 媒体の数値は媒体内の最適化に、GA4 の数値は媒体をまたいだ比較に使う
次の章では、チャネルごとの費用対効果を比べて、広告の予算配分を判断する方法を学びます。